道を作ろう4
カインとガーディは、【魔法】の練習をしている訓練場に来ていた。
「まずは、小さい範囲で練習をして、大きくしていこう。ガーディ、【魔法】の準備をするから1mx1mの四角をいくつか描いてくれる?」
ガーディがガリガリと地面に線を引き5個ほど描く。カインはその横で”循環”を始める。256個のストーン分の【魔力】を込めていく。MP:300くらいの【魔力】を”循環”するのは初めてだったため、暴走しそうになる、【魔力】を必死に抑え安定させる。5分程かかって安定させてから呪文の詠唱を始める。
「・・・ストーン」
地面に手をついて力ある言葉を唱えると、ガーディが引いてくれた1mx1mの土が石に変わっていく。発光が収まると所々歯抜けの石畳が出来た。
「ふう、何とか石に変わったけど、歯抜けがあるな。それに石の凸凹も一定じゃないし。石と石との隙間も一定じゃないから奇麗じゃないな」
辛口なコメントをしているカインの横で、ガーディが称賛の目で見つめていた。
「よし、次だけど。イメージしやすいように線を引いてみようかな?ガーディ手伝ってくれる?」
カインとガーディは二人で碁盤の目の様に線を引いていく。
「それじゃ、”循環”開始っと…「・・・ストーン」」
カインは再度”循環”を行い、呪文を唱え力ある言葉を唱える。先ほどと同じように地面が発光し”石畳”に変わった。
「おっ、今度は歯抜けが無いな。線があるとイメージがしやすいからかな?でも線が曲がっている所は歪になったな」
またも、辛口のコメントをしているカインだったが、ガーディは言葉が出なかった。自身は、【魔法】が使えないし知識もないが、【魔法】を使える仲間は複数いた。皆一様に同じ【魔法】を唱えて同じ様な現象を起こしていたが、カインの様に【魔法】を変質させる者はいなかった。
「よーし、次は線をもっと真直ぐ引いて試してみよう。ガーディお願い」
「は、はい」と言いながら、訓練場の端にあった板を定規替わりにして2人で線を引いた。
「3度目の正直と…「・・・ストーン」」
回数を重ねる度に”循環”から呪文を発動するまでがスムーズになっていた。発光が終わると奇麗に並んだ”石畳”があった。
「よおっし! やっと奇麗に出来た。後は、これを連続発動させられるようにならないとな。そうだ、範囲をもう少し大きくして試してみよう。ガーディ 1mx2mで作ってみようか」
また、2人でガリガリと碁盤の目を作成していく。
碁盤の目に手をつき呪文を唱えると、1mx2mでも奇麗に並んだ”石畳”が出来上がった。
「よし、よし!成功! 線の補助があれば範囲を広げても大丈夫だな。ガーディ、屋敷の道でやるよー」
「カイン様、その前にお昼を食べましょう。後は、これの片付けも」
ガーディがそう言って斑に”石畳”になっている訓練場を指さした。
「そうだね、気付いたらお腹がすいてた。すぐ消すから「デリート」」
カインは、空中を撫でるような動作をして”石畳”を消した。
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昼食後、カイン、ガーディ、ランドルフは、屋敷前の道に立っていた。
「まずは、線を引いてからだね。一回やるからランドルフは見てて」
カインとガーディは、慣れた手つきでまたもガリガリと線を引いていく。まずは、直線部を先にやる事にした。屋敷前の道は、門から途中までは直線で玄関前で車寄せの様に緩やかにカーブを描いていた。
カインは今日5度目の「ストーン」を唱えた。線を引いた部分が発光が収まると”石畳”に変わった。見慣れたガーディは当たり前の様に見ていたが、ランドルフは口を開けて驚いていた。
その後、ランドルフは驚きを隠せないまま線を引くのを手伝い、夕食前には屋敷前の道は”石畳”に変わっていた。ガーディと片付けしていたら、ランドルフがルークを呼んで来て完成を報告していた。先ほどのランドルフ同様口を開けて驚いていた。
その姿を見て、カインはガーディとハイタッチをして喜んだ。




