道を作ろう3
”トントントン” カインはガーディと共に執務室の扉をノックした。
「カインです」
「うむ、入りなさい」
ルークの入室の許可と同時にランドルフが扉を開けた。
「ランドルフから計画書を見せてもらった。そして井戸周りの…”石畳”と言ったか。あれも見せてもらった。屋敷の道を”石畳”にする仕事を正式に頼みたい」
「えっ、仕事としてですか?」
ルークからの意外な言葉にカインは驚いた。
「そうだ、井戸の周りだけでも1日がかりなのだから、屋敷の道を”石畳”にすると5日はかかるだろう。それを仕事にせずに行わせるのは、執政者としてできない」
隣でランドルフが頷いていた。
「その代わり屋敷の道が出来たら、この街の”本通り”を”石畳”にして欲しい」
「えっ、街のメインロードですか?1㎞くらいありますよね」
カインは、何回かしか見たことが無いが街の”本通り”を思い出していた。”本通り”は、5mも幅がある。
「父さま、さすがに2人では無理なのでは?終わるまでに1年くらいかかってしまいます」
ちょっとイメージしただけでも、罰ゲームの様になっている。
「いや、2か月くらいで完成させてほしい。そこでランドルフと金貨200枚を予算として使ってよいので一度考えてほしい。ランドルフ頼んだぞ」
「畏まりました」
『2か月後に何かあるのかな?まぁ、まずは屋敷の道が先だしね』
カイン、ガーディ、ランドルフは、今後の事を話し合うために談話室に移動していた。
「まず、何から始めようか? ”石畳”を敷く道の大きさを測る所から?それとも、作業の効率化の相談かな?」
カインは、ランドルフとガーディを見ながら言った。
「カイン坊ちゃま、まず私に”石畳”を敷く作業の手順をご説明して頂けますか? そこから1日の作業量を計算していきたいですね」
うん、うん、と隣でガーディが頷いていた。
カインは、昨日の作業内容を図を描きながらランドルフに説明していく。ガーディも昨日の作業でどこが大変だったかとか、こうすると真っ直ぐ並べられる等を付け加えていた。
「これは、かなりの人数を投入しないと2か月で”本通り”を”石畳”化するのは難しそうですね。そもそも前提がカイン坊ちゃまの【魔法】で7割以上を占めている。 これは、ちょっと…」
ランドルフが何やら考え込んでいる。
「僕なら大丈夫だよ。石を並べるのは大変だけど【魔法】的にはそんなに難しくないし」
自信ありげに伝える。
「そういうわけでは… ふむ」
「今は、”泥”の中に石を一つ一つ並べる方法だけど、例えば、先に石を全部並べてその上から土をかけて隙間を埋めて、土を”泥”化して乾かす方法なら時間も短縮できると思うんだけど」
カインが短縮案を出す。
「カイン様、自分は【魔法】の事は良く分からないですが、カイン様は【魔法】で石を作って、【魔法】で土を”泥”に変えて、それを私達が並べてましたよね。直接【魔法】で土を石に変えれないのですか?」
ガーディが面白い事を言った。
「ガーディ、それ、それだよ。そもそも、【魔法】はイメージなんだから、イメージをしっかりしてから【魔法】を使えば出来るかも。ガーディ凄いね」
カインは、興奮しながら言った。ガーディはカインに褒められて照れていた。ランドルフが一人だけ考え込んでいた。
「早速、試しに行こう! いきなりは失敗するとまずいから、訓練場で練習してからだね。ガーディ行くよ。ランドルフはどうする?」
カインは、ガーディと席を立ちながらランドルフに聞く。
「私は、少し用意をしてから向かいます」
「じゃあ、またあとでね」
カインは、駆け出していた。




