スキル
『よく来ましたね』
あの時聞こえた、女性の声が聞こえた。
目を開けるとそこは白い空間だった。目の前には、やさしく微笑む美しい女性が立っていて道雄は一目で女神様と理解した。
「ここは、どこでしょうか?」
道雄は自分で言っていても、かなり間抜けな質問をしてしまったと思いつつ声に出してしまった。
「変ではないですよ、ここは所謂、神界です。あなたに一言お礼を言いたくて呼んでしまいました。私は女神ガーディアといいます」
女神ガーディア様⁉ この世界の神様の1柱で大地をつかさどる女神様のはず。
「良く勉強をしていますね。道雄さんの地球では大地母神 ガイヤと言われていました」
「道雄さん、あなたは地球での最後の時を覚えていますか?」
少しうつむき加減で女神様は聞いてきた。
「確か、女の子を守って死んだのだと...」
時間が経ったせいなのか、きつい記憶の為忘れ始めていた。
「本当にありがとうございました、あの子は私の孫が依り代としていた子でした。守っていただかなければ、大変な事になっていました。本当にありがとう」
そう言いながら女神様は、道雄の手を握ってきた。
「無事で何よりでした、でも女神様のお孫様でしたら女神様のお力で何とかなったのではないですか?」
ふと、不思議に思い質問してしまった。
「結論から言うと、可能でした。しかし私が手を加えてしまうと地球を始め、この世界にも歪みが発生してしまう所でした。なので、孫の命と世界の2つを守ってもらい感謝します」
「いえいえ、自分の命が役に立てたと知ってとても嬉しいです。生きて来た意味があったと分かっただけで何も言うことありません」
カインとして目覚めてからも、地球の両親のことを考えると少し後悔していた道雄だが人の役に立てた事を嬉しく思った。
「では、そろそろもう一つの仕事をしましょう」
女神様は、そう言いながら自分の前にタブレットのような画面を表示し操作をし始めた。
「ステータス:カイン=サンローゼ」
女神様が唱えると、画面にはカイン=サンローゼの文字といくつかのステータスが見えた。
「あなたは、すでにスキルを持っていますね。そうですか、母親のスキルを継承したのですね」
「えっ、どういうことですか?」
「覚えていませんか、母親のリノールが亡くなる時に何かが移ってきた記憶がありませんか?」
道雄は、カインの記憶を掘り返す。
「確かに、リノール母さまの最期の時に握っていた手が光った様な???」
「そうです、リノールから【回復魔法】のスキルを継承していますよ」
女神様は、タブレットを見ながら説明をしてくれた。
道雄は、リノールを思い出しながら感謝をした。
「それでは、あなたにお礼を込めて3つのスキルを授けたいと思います。ルーレットのボタンを押してください」
道雄の前に”START"と書かれたボタンが表示された。
「えっ、選べたりしないのですか? 異世界転生物だと普通チートなスキルを選べたりするのですが」
道雄は、焦りながら女神様に訴えた。
「以前は、選んでもらったりもしたのですが、世界のバランスを崩しかねないスキルを選んだ転生者の方がいてランダムにしたのです」
女神様は、少し申し訳ない表情で説明をしてきた。
「その代わり、3つにさせていただいたのでご理解ください」
道雄は、あきらめて目の前の”START”ボタンを押した。
ルーレットの様な画面が現れ3つの文字が表示された。
・土魔法
・魔力量無限
・魔法陣魔法
「なんだこれ?」
道雄は、表示されたスキルに愕然とした。




