亡き母からの贈り物
【魔力操作】、【土魔法】、【魔力量無限】、【魔法陣魔法】と順調に授かった【スキル】を使える様になったカイン、でも。もう一つの【スキル】をカインは授かっている。だが、なかなか使う勇気が出なかった。それは、亡き母。リノールから継承した【回復魔法】だ。
カインは、ステータスボードを見て悩んでいた。
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名前:カイン=サンローゼ
年齢: 6
レベル: 2
称号:なし(地球からの転生者 土田 道雄)
中略
スキル:【土魔法:2】、【魔法陣魔法:1】、【回復魔法:1】、【魔力量無限:-】【魔力操作:2】
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「【回復魔法】…リノール母さまから頂いた【スキル】。【魔力操作】を覚えたけど、まだ一度も使ったことが無い。それ以前に【回復魔法】の説明すら確認していない」
「今日こそは、どんな【魔法】が使えるかぐらいは、確認したい。急に使わなくてはならない時に、使えないと取り返しがつかないからなぁ」
重い気持ちを何とか、持ち上げたり、沈んだり、優に1時間くらい葛藤した後、【回復魔法】の内容を確認した。
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【回復魔法】
・怪我や状態異常を回復させる魔法
・回復状態をより強くイメージする事で効果が良くなる。
・Lv.1;ヒール 〈小回復、怪我や傷を癒す。欠損部や失った血液は回復できない〉 MP:10
ディス=ポイズン 〈下級毒を消す事が出来る〉 MP:10
▽
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「想像通りの内容だ。今まで何を恐れていたのだろう。やっぱり最初は【ヒール】か。おっ【ディス=ポイズン】なんてLv1から使えるんだ。最初は毒消し草で毒を治すのかと思った」
カインはあるゲームを思い出して笑った。
「あれ?これはなんだ? ”▽” 白いのは初めてだな? 開けてみようか」
カインは、少し首筋が「ぞ」としたが、”▽”を開けてみる事にした。
『私の、大切なカイン。これが読まれているという事は、願いがかなったのね。分かるかしらお母さんよ。元気にしていますか?私は、すでに亡くなっていると思うけど、お母さんはカインの健康と幸せをいつでも願っているわ。アリスと仲良く。お兄さん達、お父さん、リディアさんとも仲良くね。必ず、この【回復魔法】のスキルがカインの命を救ってくれると思うわ。だから、カインもこの【回復魔法】を使って他の人を救ってあげてね。愛しているわ、カイン。 リノール』
カインは、その場でしゃがみ込んで泣いた。道雄の記憶があるから余計悲しみが深かった。子供二人を残して死んでしまう悲しみ、悔しさ、そして死んでも尚、子供を救おうとするリノールの深い愛を感じて止め処なく涙があふれてくる。
「ありがとうございます、何よりも深い愛を感じます。必ず幸せになってみせます。そして多くの人を救います。そこから見ていてください。ありがとうございます」
カインは、涙が流れるのもそのままに、空に向かってお礼を言い、深く深く頭を下げた。しばらくそのままでいたが涙も止まり、顔を上げた。
「これからは、毎日【回復魔法】も練習して早くレベルを上げるぞ。怪我した人、病気の人を一人でも多く治すんだ」
カインの異世界での生きる意味を見つけた素晴らしい日になった。




