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お姉ちゃんは頑張る。

今回は、アリス視点のお話です。

私は、アリス=サンローゼ。サンローゼ家の第4子で長女。母は、リノール=サンローゼ。とても優しい母でした。でも私が6歳の時に天国に行ってしまいました。その時、母から【身体強化】の【スキル】を貰った。今でも最後の言葉が忘れられない。『私の大切な可愛いアリス。ありがとう私の娘に生まれてくれて。幸せになるのですよ。カインを守ってあげてね』


そう、私はカインを守るの。だってカインのお姉ちゃんだから。でも、カインが5歳の時2人でベッドの上で遊んでいたら、誤ってベッドから落ちてしまった。そして、しばらく動かなかった。あの時は、死んでしまったかと思って自分を責めた。リディア母様を呼びに行って戻っても動いてなくて、絶望しそうになった。でもカインは戻って来てくれた。


カインが元気になるまで、甘いものを我慢して毎日神様に『カインが元気になる様に』とお祈りをした。神様が願いを聞いてくれて、カインは元気になった。でも、元気になった後あまり私にくっついて来なくなった。少し寂しい。


カインは、元気になった後 ”洗礼の儀”に行って、【土魔法】の【スキル】を授かった。その他にも授かったみたいだけど、覚えていない。今度教えてもらおう。それから、カインは朝早くから庭を走る様になった。早起きが苦手な私が少し遅れて起きてくるといつも、カインは汗を少し浮かべた輝く笑顔で『おはようございます、姉さま』と言ってくれる。あれは、本当に眠気が吹き飛ぶ。


カインがまた怪我をした。今度は【魔法】を使おうとしたらしい。父様がすごく怒っていた。でも私は少し嬉しかった。怪我をしたことで、カインの看病が出来て一緒にいられる時間が増えたからだ。カインは本当にかわいい。


ベン兄様が帰ってくると、またカインと遊ぶ時間が減った。カインは、ベン兄様に”魔力操作”を習っているから。私は、それを遠くから隠れて見ていた。すごく大変そうだった、でもカインは楽しそうだった。ちょっと悔しくて、私もベン兄様に”魔力操作”を教えてもらった。でも、”循環”までしか出来なかった。6か月たっても”放出”が出来ない。でもあきらめない。


最近、ソフィア先生に勉強を習い始めた。とても優しい先生だけど勉強は凄く大変。10歳になったら”騎士学院”に入るために頑張っている。頑張っているけど、算術が出来ない。繰り上げのたし算でいつも間違えてしまう。外で遊んでいるカインを見ると無性にイライラして、『なぜ、カインは勉強しないの』と不満を父様に言ってしまった。ごめんね、カイン。


カインが”そろばん”と言うものを作ったらしい。父様とリディア母様がとても喜んでいた。また、少しイライラしていた。


「アリス姉さま~」

カインがあふれる笑顔で走ってきた。あの笑顔を見た途端、イライラが吹き飛んだ。


「どうしたのカイン?」

自然と笑みがこぼれる。


「これ、アリス姉さまの為に作りました」

そう言うと、青味のかかった白い”そろばん”をくれた。


私だけの為にカインが”そろばん”を作ってくれた。本当に嬉しかった。苦手の算術もこの”そろばん”を使って頑張ろう。早くカインを守れるように。


「お姉ちゃん頑張るからね」

私は、カインを抱きしめて決意を固めた。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 2話で「あの日俺は階段から落ち、死にかけたらしい。」とありますが、この回では「カインが5歳の時2人でベッドの上で遊んでいたら、誤ってベッドから落ちてしまった」となっています。 カインの…
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