土魔法の可能性2
「ガーディ、【土魔法】で耕すからちょっと待って」
ガーディが振り返るとカインはにこにこ笑っていた。
「ガーディ、新しいサツマの畑はどのくらいの大きさにするの?」
魔法を使う範囲を決めるために、確認をする。
「そうですね、今年は種芋が沢山あるので昨年より大き目にと考えていますので、このくらい...........でしょうか?」
ガーディは、そう言いながら6mx12mの広さを鍬で線を引く。大体バドミントンのコート位だ。
「オッケー! ちょっとだけ離れてて、「アースディグ」」
カインは、“アースディグ”を18回唱えた。ガーディが引いた線の中の土が次々とひっくり返りふかふかの畑に変わっていく。
「よし、終了! どお?ガーディ?」
「【魔法】とは、すごいものですね。私の12日分の仕事が一瞬とは⁉ これは、いいサツマが実りそうな畑です」
ガーディは、ふかふかの土を触りながら感想を言う。
「それじゃ、さっそく種芋を植えますか?」
「えっ、種芋のまま植えるの? 苗になってからじゃないの?」
「苗からなんて植えませんよ。サツマは芋のまま植えますが…」
ガーディが不思議そうな顔でカインを視ている。
「ねぇねぇ、ガーディ少し種芋を分けてくれない? 僕もサツマ畑を作って育てたいんだ」
「いいですよ、面倒は私が見ますので、この畑の隣に作ってください」
「ありがとう、ガーディ」
『さつま芋は、苗から植えないとあまり収穫数が上がらないって、中学の技術教諭が教えてくれたんだよね。あの先生元気かな?』
カインは、道雄の中学時代に技術教諭とさつま芋の畑を作った事を思い出していた。
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カインは、あの後ガーディから種芋を受け取り、さつま芋苗を作った。そこで役に立ったのが”クリエイトクレイ”の【魔法】だった。種芋から苗を作る時にプランターが必要だったが、それに代わるようなものがこの世界には無く、”クリエイトクレイ”で作ったのだった。
『”クリエイトクレイ”は、結構使い勝手があるな。今度食器とか挑戦してみよう』
苗が順調に育ちカイン専用の畑に植える事にした。結構な数があったのでガーディに頼んで手伝ってもらう。まだ6歳の身体なので畑仕事は大変なのである。
ガーディが植えた種芋からも、小さく苗が発芽していたが、やはりすべての芋からは出ていないようだった。さつま芋の育て方を教えてくれた教諭いわく、さつま芋は種芋から植えると発芽の確率が低く収穫量も増えないと。
「カイン様、この苗を植えればいいんですね」
ガーディは、さつま芋苗をカインから受け取り、そのまま植えようとした。
「待ってガーディ。”畝”を作るよ」
カインが”畝”を作ろうと畑の横に立つ
「”畝”とはなんですか?」
ガーディが聞いてくる。
「うーん、ちょっと説明が難しいから作った後、説明するよ」
カインは、6mx6mの範囲を”アースディグ”で耕した後、”ホール”を応用して5本の”畝”を作る。そこには、高さ30㎝の”畝”が5本出来上がっていた。
「この、盛り上がった土の事を”畝”と言って、水はけを良くしたり太陽が多く当たるので土の温度が上がって作物の成長が良くなるんだ」
中学教諭の受け売りをガーディに説明する。
「すごいですね、今度作付けをする時は行ってみます。でも、カイン様はどこでその様な知識を得たのですか?」
「えっ、えーとぉ、つ、【土魔法】のスキルが教えてくれたんだ」
「【土魔法】のスキルってすごいですね」
素直に、感心するガーディだった。
『ごめんね、ガーディ』
後悔の念に圧し潰されそうになる、カインだった。




