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ベンジャミン3

今日も、ベンジャミンは森に来ていた。ワイリーボアを持って帰ったが、可愛いアリスから上目遣いで『他にも食べてみたいです」なんて頼まれたら断れないベンジャミンだった。


森の中を歩きながら、先ほどの”維持”の訓練を思い出していた。

『さっきは危なかった。”循環”がうまく出来ているおかげかMPが少ないのに凄い威力だった。学院の生徒に教える時は、初めから腕を上げさせてやらないと事故になるな』


昨日とは違い森の少し開けた所に来ていた。

『この辺でホロホロ鳥を見かけたって、猟師のライカが言ってたけどなぁ』

キョロキョロ周りを見渡しながら、考えていた。


『昨日みたいに”放出”を使うと逃げてしまいそうだよね。【魔力視】を使ってみるか』

ホロホロ鳥は、【雷魔法】を使うと言われているので【魔力視】で見えるかもと考えた。


右手の方向に5個の点が動いているのが見えた。

『よし、成功だ。ゆっくり近づこう』


ベンジャミンは、音を立てない様に5個の点が見えた方向に近づいていく。そこは、小さな池があり動物たちの水場になっている所だった。水際に5羽のホロホロ鳥が水を飲んだり、水浴びをしていた。

警戒心が強いためか、必ず1羽は周辺の警戒をしていた。


『ちょっとこれ以上は近づけないな。少し遠いけど頑張ってみよう』

”循環”をいつもの3倍行い”魔法”を発動させる。


「アイスニードル・レイン‼」

無数の氷針がホロホロ鳥を襲う。2羽は複数の氷針が刺さり動かなくなる。残りの3羽は少し傷ついたが飛び立った。そのうちの少し大きなホロホロ鳥がベンジャミンを見つけ向かってくる


”バリバリバリ” ホロホロ鳥の身体が光ると複数の光がベンジャミンを襲った。


「痛って、”雷魔法系”の攻撃を使うのか」

攻撃を左腕に受け、ベンジャミンは大きめの木の陰に身を隠した。その後も複数の光がベンジャミンが隠れている木の周辺に当たり、少し焦げた臭いがする。


「鳥のくせにあんまり調子に乗らない。「アイスブリット」」

氷礫がホロホロ鳥に命中し、絶命する。


「ふぅ、危ない危ない。やられはしないけど怪我するとアリスが悲しむからね」

合計3羽のホロホロ鳥を持って帰り、アリスに抱き付かれ微笑むベンジャミンだった。


---

3日後、カインが”魔力操作”の訓練を終了させた。

『最後のスムーズさは、【魔力操作】スキルも習得できたかもな。 カインにはもっと上を目指してほしいから少し脅かしておこう』

頭をなでてカインをほめる。


「ちなみに、この訓練で出来る”魔力”の塊をそのまま飛ばす事が出来るようになれば、呪文なしで攻撃が出来るからね」

ベンジャミンは”循環”を素早く3倍行い右手から”魔力”塊を飛ばす。


”魔力”塊は、直径50㎝位の木に当たり爆ぜた。木にかなり大きな穴が空き、バキバキバキと音を立てながら後ろに倒れる。それを見たカインが、大きな口を開けて呆れていた。


『よしよし、これで兄の威厳も保てたかな?』


---

新年が明けて2日後ベンジャミンは、学院に戻るために馬車に乗っていた。揺れる馬車の中でカインの訓練で気付いた事をまとめた物を読み返していた。

『今回の里帰りは、中々得るものがあった。カインのおかげで”魔力操作”の訓練方法の改善点も見つかったし。久しぶりにカインとアリスとも遊べて充実してたな。その分父上と母上とはあまり話せなかったけど』


『来年も年越しには、帰って来よう。カインの師としての責任もあるし』

またベンジャミンは口元に笑みを浮かべ、次回の里帰りの事を考えながら帰った。




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― 新着の感想 ―
カイン君が魔力切れで意識を飛ばしかけて体勢を崩したと申告してるので、腕を上げさすより補助台か何かで腕を上の角度に固定したほうが良さそうですね。
[一言] ベンジャミンは、呪文を詠唱せずに呪文名だけで発動していますね。 修行次第でこういうことも出来るんですね。 魔法以前の魔力の球だけで大きな木を倒してましたし、 魔力を使った索敵、魔力視といっ…
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