ベンジャミン2
本日2話目の投稿です。夜になってしまいました。少し長めですがお願いします。
ベンジャミンは、口元に笑みを浮かべながらカインを見つめた。
『今日から王都に帰るまでの短い時間に”魔力操作”を習得させないと、このカインの魔力量だと次に”暴発”を起こすと命にかかわるからな』
『まずは、確認からしないと』
「さてカイン、始める前に少し教えてほしい。父上から聞いている内容では、カインが授かったスキルは【魔法陣魔法】、【土魔法】、【回復魔法】の3つでいいかな?」
ベンジャミンがルークから聞いた内容を確認し始める。
「はい、その3つで合っています」
『カインは、3つも”魔法”系【スキル】を授かるというレアケースに気づいていないんだろうなぁ、【魔力視】で巨大なMPを持っているのは分かるけど具体的な数値も確認しておかないと』
「あとは、ステータスの数値を聞くはタブーだけど大切な事なので今回は正直に教えてほしい。今、魔力(MP)はいくつある?」
「えっと、「ステータス・オープン」、MPは1800です」
「もう一度、言ってもらえるかな?」
「1800です」
『おいおい、想定の斜め上を行ったぞ、MP180 くらいかと思っていたのに…』
「1800...予想の10倍とは...私でも320なのに、私の約6倍とは。これは、教え方を変えないと」
『MP1800もあると、訓練中に集中を切らすと事故が起きるな。あれを使ってMPの制限をしなくては。実証実験もかねて使ってみよう』
「これから、”魔力操作”の訓練を始めるけど”魔力操作”が出来るようになるまで、これを腕に着けて外さないように」
ベンジャミンは、”魔吸器”を腕に取り付けるように指示をする。
”魔吸器”の宝石が蒼く光っていた。
『よしよし、1000以上のMPでも正常に作動しているようだ。”魔吸器”は装着者の吸い取ったMPの1/10を付けている”魔石”に貯めるから一日MP180が溜まっていくな。このサイズの”魔石”だと3000くらいは貯められるから滞在中は持つだろう』
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そうして、カインは”魔力操作”の訓練を始めた。最初こそ手助けをしたが、数日で”循環”を習得してしまった。ベンジャミンは、今日までの訓練を振り返る。
『普通は、”魔力”の塊を移動させる”循環”は、時間をかけて少しずつ移動させては、下腹に戻し移動させるを繰り返しながら”循環”出来るようにする。それを少し無理をして動かしたので大分痛みを感じたみたいだ。まあ、少しだけだし大丈夫だろう』
『さて、次の”放出”は痛いぞ。でも一度貫通すれば、痛みも段々なくなるし此処は心を鬼にして頑張らないとね。かわいい弟の痛む姿はつらいし』
ベンジャミンは、カインの背中に手を当てて魔力を動かし始めた、また、自分の”魔力”でカインを覆い手を離せないようにする。
『カイン、痛くても我慢だ。ここでやめるともっと次は痛いんだ』
「痛い、痛い」
カインが、痛みを感じる度に手を放そうと頑張るのをベンジャミンが”魔力”を強め、手が離れない様にする。
『よし、もう少しだ』
”魔力”が右手を貫通し、左手の中に入って通り抜けた。
「ふう、よく頑張った。でもそのまま”循環”させるからね」
カインから殺気をはらんだ視線が飛んでくる。
『これは、大分嫌われてしまった様な気がする…挽回するか』
「よし、今日はここまで。明日また続きをしよう」
ベンジャミンは、訓練の続きは明日にする事を伝えて休むように言った。
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「さてと、兄を好きになって貰うために頑張るか」
ベンジャミンは、カインに喜んでもらうためにサンローゼ領の魔物が住む大森林に来ていた。
「ランドルフにも『余ったら干し肉にしたいので、自重せずお願いします。』って言われたし頑張るか」
”循環”を始め、手のひらを森の奥の方に向けた後、”魔力”を平たくして飛ばす。
”キンッ” 2時の方向から何かに当たった音がした。
「良し、あっちに獲物発見」
森の奥から”バキバキ”と音を立てながら何かがこちらに向かってくる。小山の様な物が木々の間から見え隠れしながらベンジャミンに向かって一直線に走ってくる。
”ブゥホー”と鳴き声なのか、息遣いか、何か分からないが大きな動物の様だ。
木々の間から飛び出して来たのは、2mを超すワイリーボアだった。
「アイスランス!」
ベンジャミンは、”循環”で高めた魔力を使い電信柱ほどの太さの氷槍をワイリーボアの顔面に放った。
”ゴガァシャン”とものすごい音がして、ワイリーボアの突進は止まった。ワイリーボアは、意識をはっきりさせるために頭を何度か振った後、再びベンジャミンを見た。
「アイススパイク‼」
複数の鋭い大きな氷棘がワイリーボアの足元から現れ、深く突き刺しとどめを刺した。氷棘を伝って血が流れ、大きな血だまりを作る。
「ふむ、これだけ大きければみんなで食べられるかな。「アイススパイク」は血抜きも出来るから便利だよね、あっしまった。どうやって持って帰ろう???」
結局、ベンジャミンは、荷車を取りに一度屋敷に戻ったのだった。




