ベンジャミン
本日から2月ですね。色々な物が流行いるのでお気を付けください。
兄ベンジャミン視点のお話になります。本日の2話目は、午後に更新します。
私の名前は、ベンジャミン=サンローゼ。サンローゼ家の次男だ。現在、魔法士学院の4学年で先日教導士になった。昨年から始めた、魔法の研究が認められた結果である。役職には何も拘りはないが、教導士になると卒業までの授業料は免除になり、研究室と研究費そして給金も貰える。一番嬉しいのは、学食の費用が無料になる所だ。王国内の貴族の子女も通うため、学食のランクも貴族に合わせた”S"ランクがあり、この”S"ランクが無料で食べられる。これが地味にうれしい。
「ベンジャミン様、頼まれていた”魔石”をお持ちしました」
貴族寮付きのメイドが、購入を頼んでいた”魔石”を持ってきてくれた。
「ありがとう」
ベンジャミンは、メイドから”魔石”の入った袋を受け取った。
「ベンジャミン様、何か楽しそうですね」
「そうかな?」
メイドにそう指摘されて、自分が2年ぶりに妹と弟に会えることを殊の外楽しみにしている事に気付いた。
2日後、ベンジャミンはサンローゼ領の領街に向かう乗合馬車に乗っていた。普通、貴族の子弟であれば実家から専用の馬車が迎えに来るのだが、サンローゼ家はあまり裕福ではない為 里帰りなどの時は乗合馬車で帰ってくるのであった。
その乗合馬車の中で、ベンジャミンは5か月前に届いた父 ルークからの手紙を読み返していた。
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ベンジャミン、元気にしているか。息災である事を願っている、何か必要な物などがあったらすぐに連絡をしてくるように。たまには、リディアに手紙を送る様に。
さて、話は変わるが先日 弟のカインが”洗礼の儀”を受けて【土魔法】と【魔法陣魔法】という”魔法”スキルを授かった。そこで2つ頼みがある。
1つ目は、カインに”魔力操作”の方法を教えてほしい。
2つ目は、カインが授かった【魔法陣魔法】スキルとは何かを調べてほしい。
迎えに行けなくて申し訳ないが、同封の金で帰って来てほしい。
楽しみにしている。
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『ふう、要求は分かるけど何をそんなに急いでいるんだろうか? ”魔力操作”が出来なければ必要MPが10倍になるから、普通は成人して訓練すればいいはずなんだけどな? カインはMPが多い?』
読んでいた手紙を片付けながら、思いに耽った。
10日後、漸く領街にベンジャミンは到着した。御者の一人がサンローゼ領の出身だったらしく、ベンジャミンに気付き屋敷まで馬車で送ってくれた。
「おかえりなさいませ、ベンジャミン様」
サンローゼ家の執事の一人が馬車のドアを開けて出迎える。
ベンジャミンが馬車を降りると、大きくなったアリスとカインが玄関先に出て来ていた。
「ベン兄さま、おかえりなさい」
カインは、満面の笑みで兄ベンジャミンを出迎えた。
「やあ、アリスもカインも大きくなったね」
目を細めながら、ベンジャミンは迎えに出ていたアリスとカインに声をかけた。
『なんだ、この”魔力”は?』
大きな”魔力”を感知したベンジャミンは【魔力視】の【スキル】を使ってカインを視た。
『カイン、なんて大きな”魔力”を持っているんだ⁉』
ベンジャミンの【魔力視】には、カインの周りを囲む”魔力”がはっきり視えた。
「父上、手紙でご連絡いただいた件ですが少し詳しく教えてください」
客間に移動しベンジャミンは父ルークに今回の事について質問をした。
・・・
『そうか、それでわざわざ私を呼び戻したんだな。かわいいカインが怪我をしないように”魔力操作”を早く習得させないと。楽しみだ♪』
ベンジャミンは、口元に笑みを浮かべながらカインを見つめた。




