土魔法を使おう3
「【魔法】は、拡大や縮小って普通出来ないんですか?」
「いや、出来るよ」
さらっと、否定する事をベンジャミンは言った。
『なんだそれ?』
カインは少しむくれる。
「ごめん、ごめん、きちんと説明するね。拡大や縮小する時は、普通”呪文”にその言葉を混ぜるんだ。例えば、”アイスウォール”だと色々あって、「~、意思に従い、~」の所を「~、大なる意思に従い、~」や「~、集いて顕現せよ、」を「~、寄りて集いて顕現せよ、」とかにする。でもこれだと長くなるしイメージがうまくいかないとMPだけ消費して拡大しない時がある」
ベンジャミンは、お茶を一口飲み
「だから、”循環”で使用するMPを
上げて拡大する方法を見つけたんだ。”循環”を使うと消費MPは1.5倍で効果は2倍くらいの拡大が出来る。まあ、【魔法】イメージ次第だという説もあるから一概に言えないけどね」
『ふむふむ、色々な方法で試してみよう』
カインは、今後の事を考えながら聞いていた。
「あとは、使えば使うだけ【スキル】のレベルが上がりやすくなるから、毎日訓練は続けるんだよ」
「はい、頑張ります」
「一つ忘れていた。これから教える”瞑想”も毎日行うように。これは、MPの回復を早める方法でとても役に立つよ。やり方は簡単。胡坐をかいて座り、”循環”を行うんだけど”集中”の時に自分の”魔力”ではなく自分の周りにある”魔力”を集めて”循環”するんだ。これは、残念な事に教えるのが難しくてね。だから自己練習で頑張って習得してね」
最後の最後で見放す、ベンジャミンだった。
「は、はぃ、がんばります」
『やはり、羅刹ベンジャミンだった』
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新年になって2日後、ベンジャミンが帰っていった。
『中々に大変な訓練の日々だったけど、初めて【魔法】を使えた時は、達成感が半端なかったなぁ』
ベンジャミンの乗る馬車を見送りながら、辛かった訓練を振り返っていた。
「さて、さて、MPの限界まで【魔法】を使い倒すぞぉー」
ベンジャミンを見送った後、そのまま訓練をしていた庭に移動して、【土魔法】のレベル上げを始める。
「あ、これ外さないとすぐMP切れになっちゃう」
訓練の時につけていた”吸魔器”を外す。
「でも、MPって休息をとらないと回復しないんだよなぁ。どうしよう? ま、いいか。MP切れになったら休んでまた、続ければ」
カインは、いつも通り”循環”を行い、ストーンバレットを唱えた。石礫が3つ飛んでいく。そして、外壁に当たった。
「あ、今日は氷壁が無かったんだ。的が無いとストーンバレットは危ないな。後、使えるのは”ストーン”と”ホール”だしな。”ストーン”だと石が出来るだけだし。”ホール”にしよう」
カインは、”ホール”の呪文を唱える。
「わが、いにしたがい、ひらけ ホール」
カインの目の前にマンホールぐらいの大きさで深さ10㎝の穴?が開いた。
「地味だ...うっ、もうMP切れか。MP20だとだめだな」
カインは、ふらつきながら部屋に戻ってベッドに横になった。




