第5話 だまされてリビエラ
さてさて、2週間振りの再開です。
「さすが只野さん、もうそんなに見つけて来たんですか」
こいつは飯野晃。ここはブックドム。
晃は三日前に知り合った。高校生のせどらーだそうだ。妙に懐いており、ここ三日行く先々で会っては俺にくっ付いて来る。やたらと褒めまくるので、まー悪い気はしない。因みに今回は俺が出てるので俺の一人称だ。俺視点と言う事だな。
「おまえは?まだ二冊かよ」
「へへ」
俺に言われてヘラヘラしてる。こいつやる気あるのかなー?
とりあえず俺と晃はレジを済ませ、店を後にして、近くの喫茶店に入る事にした。
「お前さー、やる気あるの?」
「ありますよ」
晃が俺の問いに相変わらずヘラヘラして答える。
「でも今みたいに三十分かけて二冊とかじゃしょうがないだろ。売値幾らだよ?」
俺が尋ねる。
「一冊五百円位ですかね」
「それじゃ手数料とか送料引いたら、二百円位だろ。直ぐ売れるとも限らないし」
全く話にならないって口調で俺が言った。
「いいんですよ。俺はまだ始めたばかりで試運転中ですから。こうやって只野さんの仕事を見てるだけで今は勉強になるんです。そう言えば前、女連れのせどらー見たんですけど、ありゃ駄目ですね。女の意見に惑わされて、目がプロの目じゃなかったもんな」
晃の話に俺はドキッとした。
俺もカナブン(彼女)連れて最近はせどりしてるぞ。
「只野さんは女とか面倒でしょ?邪魔ですよねー」
晃が言った。
流れ的に面倒臭くない。女はサイコーなんて言う感じじゃなかった。
「そうだなー、ちょっと面倒かな」
俺は流れに身を任せ、そう言った。
「流石、只野さん。やっぱり邪魔ですよね」
晃に褒められた俺は調子に乗って再度言った。
「あー、女は邪魔だな。面倒臭い」
晃は俺の言葉に満足したのかいつも以上にニヤニヤしていた。
そして次の日事態は動いた。
高校が終る夕方、俺はカナブンと駅前の広場で待ち合わせしていた。
「駄目ですよ、只野さん。ウチの生徒弄んじゃ」
何故かカナブンと一緒に晃が来た。
「何で晃と一緒なの?」
俺はカナブンに聞いた筈なのだが、何故か晃が答えた。
「佐藤さんと俺、知り合いなんです。佐藤さんこれから只野さんに会うって言うし、付き合ってるって言うから。笑っちゃいましたよ」
そう言うと晃は本当に笑った。
「可那、コイツ何言ってんだ?」
俺はカナブンに尋ねたのに、また晃が話す。
「何言ってんだ?はこっちの台詞ですよ。大学生が高校生惑わせて遊んで」
カナブンは人見知りが激しくて、学校では殆ど話さないって言ってた。晃がいる今尋ねても何も話さないかも知れない。
「可那?」
俺は一応声を掛ける。
何を晃に吹き込まれたのかカナブンは黙って俺を見ている。
「昨日只野さん俺に言いましたよね。女は面倒臭い。邪魔だって」
晃が言った。
そう言う事か。
俺は晃の作戦を理解した。
「それは」
俺が話し出した時、晃はポケットから小さな録音機の様な物を取り出して、俺の方に見せる様にした。
つまり昨日の会話も録音済みという事だ。
参ったね。
後は可那が俺を信じている事を祈るだけと俺は話し出した。
「ああ、言ったよ。女は面倒、邪魔だよ」
可那の瞳から一筋の涙が零れた。
「チッ」
俺は可那の顔を見ていられず、舌打ちをして下を向いた。
「分ったろ、佐藤さん。騙されてたんだよ。さ、行こう」
そう言うと晃はカナブンの手を掴み、半ば強引に連れて行こうとした。
俺は只、二人が去るのを眺めているだけだった。
晃のSM野郎。
しょうがない、可那には後で誤解を解く連絡を入れよう。
俺はそう思っていたのだが、可那のスマホからは俺のデータは全て拒否されたらしい。
連絡がつかなかった。
俺って、ふしあわせ?
つづく
読んで頂き有難うございます。
次回は戻って、第3話。カナブンこと、佐藤可那の話です。




