これからもお風呂
はぁ……いきなり今日やらされるとは思ってなかったな……。
部活が終わった後。僕は何人かの生徒とまとめて校内放送で呼び出された。
そして、課題のやり直しを命じられた。
職員会議で話し合ったことをすぐに実行に移す先生たちは自分たちのことを偉いと思っているのかもしれないけど、正直大迷惑だ。
結局、7時ごろまでやらされた。
流石に香恋には、今日はやめとこうと連絡しておいた。
なのに、家に帰ると、家の前に香恋が立っていた。暗くても家の前にいる女の子が香恋であることくらいはたやすくわかる。
「なんで……」
「あ、光おかえり〜課題お疲れ〜」
「……いつから待ってた?」
「そろそろかなって頃に家を出て……ここでは二十分くらいかな」
「……」
……香恋はきっと短めに言ってる。もっと待ってたかもしれない、というかそうだたぶん。
「お風呂はいろ。早く鍵開けて」
「わかった」
僕は鍵を開けた。
ありがとう。そう、ちゃんとお風呂で言おう。
いつもの流れで身体を洗い、お互い湯船に入る。
「香恋……ありがとう。待っててくれて」
お互い脚を伸ばした後すぐに僕は言った。もう互いの脚が当たることも気にならず、僕も香恋も思うように脚を伸ばしている。
「……ううん。ていうか……ちょっと不安だったけど……まあ少し今も」
「……不安、てどういう……」
「うん……ちょっと嫌がられてるかもしれないと思って……こういうのって、普通じゃないし」
まあ、普通ではないな確かに。一緒にお風呂に入る幼馴染(高校生)は探してもなかなか見つからないだろう。シャワーを改造しちゃう女子高生はもっと見つからないかもしれない。
でも、僕は香恋と一緒にお風呂に入ることで、香恋の優しさをずっと感じ続けている。それに、香恋とたくさん、話す時間もできた。あと……胸が大きいことや、お尻のことも知ることができた……。
だから、僕の気持ちは一直線に水が出るシャワーのように方向が決まっている。
「香恋……僕は、香恋と一緒にお風呂入るの、楽しいし、これからも入りたい」
「……ほんとに? きっかけがあんなに変なのに?」
「きっかけは確かに変だな。人のシャワーを改造してるしな」
「あうう……」
「でも、僕は香恋とお風呂に入りたい」
「……うん。私も」
香恋は恥ずかしそうに水面をつつきながらうなずいて、そしてこっちを見て言った。
「私も光と一緒にこれからもお風呂に入りたい」
お読みいただきありがとうございます。
次で最終話です。今日中に投稿予定です。




