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チートで怠惰な聖女様のために、私は召喚されたそうです。〜テンプレ大好き女子が異世界転移した場合〜  作者: 櫻月そら
【第1章】異世界ものは大好きですが、フィクションで間に合ってます。
85/114

第85話 リラの薬瓶 3

追記 2023年 12月11日(月)


第一章の完結が近くなりましたので、矛盾点の有無をチェックしながら第一話から改稿作業を行っています。


主に誤字脱字や言葉の表現、説明不足の部分を修正しているため、物語の流れに変更はありません。


引き続き、最新話の更新もいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。


「お待たせしました……っ」


 扉を開けたリラは息を切らしているのに、少し顔が青白い。途中でアレクと会ったのか、彼が荷物を抱えてリラの背中をさすっていた。


「リラ、どうしたの? やっぱりまだ体調が?」


「アリア様、違います。リラは宮廷医にあとをつけられていたのです。それを()こうとして、走り回っていたところを私が見つけました。私がリラのそばに寄ると、逃げるように去っていきましたが……」


 ひゅっ、とアリアの息が一瞬止まった、


「ごめん、リラ! リラが狙われたのに、ひとりにするなんてどうかしてた!」


「悪い。俺も考えが甘かった」


 アーヴィンも拳で目頭を押さえながらうつむいた。


「……いえ、アリア様のお部屋に早く行ってくださいと殿下にお伝えしたのは私ですから。私も軽率だったんです」


「そんなことないよ。でも、どうしてすぐに戻って来なかったの? この部屋のほうが安全でしょ? 殿下だっているし」


「銀の器さえ手に入れば……。あともう少しで、すべて揃うところだったんです。――アリア様に頼まれた物を集めて、最後に銀の器を取りに厨房へ向かっていたら視線を感じて……。振り返ったら宮廷医が柱の影から、こちらを見ていました。何とか()いてから厨房に戻れないかと思ったのですが、どうしても振り切れなくて」


「リラ、そういう時はすぐに帰ってきて。途中でも完璧じゃなくても良いから。侍女としての矜持があるかもしれないけど、リラが傷ついたら悲しい……」


 その言葉を聞いたリラが、涙目で少し笑った。


「そのお言葉、そっくりそのままお返しします」


「…………うん、ごめんね」


 アリアはリラの手を握りながら、色々な意味を込めて謝罪した。


「――さて、どうしようかな」


 リラが落ち着いたところで、アリアは薬瓶を横から覗き込んだ。


「何かこの部屋に銀製品ってあったっけ? あ、もったいないけど手鏡とか」


「アリア様、大丈夫ですよ。医師が去ったあと、リラと二人で揃えてきましたから。いつものことながら、思い切りが良いですね」


 アレクに苦笑いされて気恥ずかしい上に、アーヴィンの鋭い視線が痛い。


(分かってます。無茶はしませんよ。今、リラに謝ったところですからね……)


 アリアはアレクから受け取った新聞紙やビニール袋を机に広げて、すぐに包めるように準備をした。


「じゃあ、蓋を開けるので、皆さんマスクをしてください。呼吸もできるだけ少ない回数で……」


「待って」


 アリアが手袋をはめようとしたところで、アーヴィンに少し強めに手を握られた。


「俺が開ける。どのみち、毒見するのは俺だから。アリア殿は安全だと確認できるまで少し下がって」


「でも……」


「揮発するものじゃないと分かったら、アリア殿も中身を確認してくれ」


「分かりました」


 こんな時だが、守ってもらえることや、信頼されているように聞こえる言葉をアリアは嬉しいと思ってしまった。


「じゃあ、開けるぞ」


 キュッとガラスとシリコンが擦れる音がする。

 蓋を半分だけ開けた瓶の口にアーヴィンが手をかざすと、薬瓶が黄金色の光に包まれた。


「…………うん、ヒ素で間違いない。触れたり、飲み込んだりしなければ大丈夫だ。アリア殿、器に中身を出したら確認してもらえるか?」


「はい」


 広口の銀の器に注がれる中身を、アリアはよく観察した。ドロっとした液体の中に黒く光る粒のようなものが見える。ネイルのラメよりも、もっと細かいものだ。


 つられるように、アレクも器の中を覗き込んだ。


「何か……、光ってますね」


 あまりに顔を近づけるため、リラがアレクの服を引っ張って体勢を起こさせる。いつものリラに戻ってきたと、アリアは少し安心した。


 そして視線を器に戻して、もう一度中身を確認する。


「光ってるのは、たぶん酸化した硫砒鉄鉱だと思います」


「アリア殿の予想通りということか……」


「あの、すみません。少しよろしいですか?」


 リラが銀製のスプーンで中身をゆっくりとかき混ぜてから、持ち上げては垂らすという動作を繰り返した。


「リラ?」


 あまり触れて欲しくはないため、アリアが止めようとしたが、リラは何かを探すように同じ作業を続ける。


「私が瓶に詰めた時に、爪の長さほどの黒くて細いものが見えたんです。石ではなく、何か柔らかいもので……。あった!」


 スプーンに乗せられたものを見たアリアは絶句した。


(そ、んなことって……。でも、たしかにこれなら…………)


 それは日本人にとって、とても馴染み深いものだった――。

お読みくださり、ありがとうございました。


ふぅ……、やっとここまで来たなという思いです(;´Д`)ハァハァ

この作品、本当に異世界恋愛ですよね……?

(作者が聞くな)


大丈夫!ここからちゃんと甘くなるし!と自分に言い聞かせながら、頑張って続きを書きます。


次話もどうぞよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] おいおい(;'∀') なんだなんだ(;'∀') 何が入っとったんや(;'∀')
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