第27話 英国少女
お久しぶりです。しばらく投稿ができなくて本当にすいませんでした。続きをお待ちになっていてくれた方には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。本当にごめんなさい。
また、新作を心待ちにしてくれた方にも謝ります。本当にすいませんでした。前回などのあとがきとその内容を無下にしてしまい期待を裏切るようなことをしてしまったのは本当に悪く思っています。
これからは長期間の空白がでないように頑張って努めていきます。まだ、復帰した手前、本調子でなくてエンジンが掛かるまでしばらく時間が必要だと思いますが、定期的な投稿ができるように頑張っていこうと思います。
初雪のような真っ白なワンピースに身を包んだ金髪の少女。
目の前に立たれるだけでその誇らしさを含んだオーラがじりじりと伝わってくる。
顔立ちは大人びてはいるが、相反する子供っぽさも兼ね備えている。相反する二つの要素を持っているせいで外見からの年齢の判断がしにくい。
でも、ここにいるってことは俺たちと同じ年代……十代前半だと考える方が自然か。見た感じ将来はかなりの美人になりそうだ。
青い瞳が俺たちの方へと向けられ三秒ほど見つめ合い――
「――ふ~ん、見た限り貴女たちは私と同じスカウト組みたいね」
と、納得したかのような表情をしながらそう言った。
彼女は上品さと高貴さにミスマッチな“美味しい緑茶”と書かれたペットボトルをソファーに残して立ち上がる。ふわりと彼女の金髪の髪が揺れた。
「……えっと、貴女もスカウト組なんですか?」
「えぇ、そうよ。私の名前はエレナ。高貴なる貴族の血を引く者よ」
名前しか聞いていないのに余計な肩書を増して返事を返してくれる自称貴族のレティー。
わざとらしく最後あたりの言葉を強調して話すあたりプライドの高さが見て取れた。
なんだかこの子も面倒くさそうな子だな。あのエリザって子と同じような空気がする。あの高圧的な態度……みたいな? って、う~ん、それにしても貴族って……どう反応すれば。
「ふふ~ん! 驚いたでしょ? 現代貴族を見れるなんて貴女たちは凄くラッキーよ?」
若干反応に困っているなか、高飛車で上から目線。気の強そうな性格。そんな彼女の空気を嫌というほど浴びる。
すっかりと暗く曇った目で上品な歩き方でこちらに歩み寄ってくるエレナをジッと見る。
まるで、あの子が居るところだけパッと明るく花が咲いた花道のよう。歩くたびにその優雅な空気がこちらにそよ風のように吹いてくる。
高貴なる雰囲気を放っている様子からして貴族の一族というのもまんざら嘘ではないみたいだ。
「ふふっ、お二人ともそんなに硬い表情をしなくてもいいのよ? 高潔な私を前にして喋る言葉が見つからないと思いますけど、仲良くしましょう?」
明らかな上から目線。それに対して苦笑いを浮かべてレティーが――
「よ、よろしくエレナさん……」
そして、俺はあまり彼女を刺激しないようにして丁寧に――
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
――と、お互いに無難な挨拶を済ませた。どうやら、レティーも彼女の独特なキツイオーラを感じ取ったのか気まずそうな表情を浮かべていた。
あの陽気で明るて社交的なレティーが敬語で苦笑いを浮かべているというだけでも相当なものだろう。
堅くなって居心地を悪く感じている俺たち二人に対してニッとエレナは口角を吊り上げる。何がそんなに面白いのか理解できない。
「うふふ、うんうん、よろしくお願いですわ――あ! あと、お二人のお名前を伺ってもよろしくて? よければ出身国も……」
「あ、はい、私はレティシアって言います。レティーって略して呼んでください。出身はフランスのパリです……」
「フランス……! お隣の国ですわね! ぜひ、こちらでも身も心も距離を近くして、お互いに仲良くしましょうね!」
ニコニコと微笑むと彼女はレティーの方へと白くて綺麗な手を伸ばす。それが握手を交わすためだと気づいたレティーはその手を握りお互いに握手を交わした。
う~ん、もしかしたら、俺の思い違いか? 見た目と態度に反して意外にも友好的に見える。第一印象で決めつけない方がいいかもしれないな。
予想外な彼女の一面を前にして少し驚いた様子で二人のやり取りを眺める。
握手を終えたエレナさんは今度はこちらに柔らかい眼差しを向けてきた。
「ふふっ……ではでは、今度は貴女にも聞いてもよろしくて?」
「あっ、はい、えっと……ドイツ出身です。生まれはオーストリアのウィーンですけど……」
「オーストリア! あー、ウィーンということは貴女は音楽をやってたりしてますの?」
「は、はい……! それなりにはやってます……」
彼女が友好的ということが少し分かったけど、まだまだ自称貴族の娘さんに対して強く出れる自信がなかったので低めな姿勢で接する。
「へ~、楽しみですわ。きっと、オーディションにも受かったところを見ますと、本当に実力はあるみたいですのでご披露される時が本当に楽しみですわ」
「……いえ、ご期待に答えられるか不安ですが……わっ、私で良ければいつでも歌いますよ」
俺よりも背が高い彼女を見上げると、思いもよらずに怯えるように肩をすぼめてボソボソとした声でそう答えた。
――本当にこの体の使い方が今になってもよく分からないな。
自分では丸腰の謙虚な態度でやったつもりだったが、明らかに自信なさげで、か弱そうな少女のような振る舞いと声を晒してしまう。
この前も亜里沙に対して少しイラっときて怒ったけど、まったく相手もにもされなかったし、逆に怒られた時に普通に謝っただけなのに「ごめん、そんなに怖がると思わなかったの、泣かないで」とか言われたり、俺の脳内で考えるイメージとこの体の振る舞いはかなりの乖離があるみたいだ。
「……ふーん まあ、楽しみにしておくわ。私には及ばないと思うけどね」




