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第15話 ベルリンからの刺客


 声をした方を向くとそこに居たのはプラチナブロンドの髪をした女性だった。


 緑色の目に大人びた凛々しい顔立ち。鼻は高くて肌の色も白色であり生粋の日本人ではないことが分かる。身長も180cmぐらいは絶対にある。今のチビな俺とは恐ろしい身長差だ。


 ――は? なんでコイツがこんなところに居るんだよ?


 目を丸くして不法侵入者――ヴェラのことを警戒する。コイツは自分曰く俺のお嫁さんらしい。もちろん“自称”俺のお嫁さんだ。非公認お嫁さん、俺は認めていない。


 だが、コイツが日本まで来るなんて……いったいどういうことだ?


 警戒心をむき出しにしてヴェラのことを睨む。そんな視線に晒された彼女はハッとした表情を見せたあと、流暢な日本語で話し始める。


「――本当に女の子になってる……! でも、こっちのノア様も可愛くて好き」

「……なんでここに居るんだよ?」


「頼まれたの会長に――」

「代表が? なんで……?」


「ノア様の応援をしろって」

「応援? なんでだよ? もう、あっちとは関係のない体になったのに……?」


「ううん、関係なくない」


 そう言うと彼女は首を横に振る。


「この病気の人は狙われて危険だから恩を返す形で助ける――そう言ってた会長は」


 どんどんと予想外なことを口にする。会長の頼みでって……ちょっと、訳が分からん。


 腑に落ちない話を聴いて首を傾げる。意図が読めない――どういうことだ?


「……ノア様、やっぱり女の子になっても凛々しい」

「あーそうかそうか。って、お前は何か聞かされてないのか?」


「私はお手伝いするように頼まれただけ。あと、ノア様の本当のお嫁になりに来た♪」

「はいはい、分かった分かった――てか、お前ここにどうやって入ったんだよ?」


 相変わらず訳の分からないことを言っているコイツのことを無視して、犯罪じみたことをして不法侵入したことを問い詰める。


「別に普通に開いてた。ノックもしたよ? お邪魔しますって言った。カギも閉めた」

「いや、そういう問題じゃあ――って、カギ開いてたのかよ?」


 うん――と、無機質な返事を返すヴェラ。亜里沙のヤツ戸締りのこと忘れてたな。優秀なヤツだけどたまに凡ミスするからな。こうして一人家に普通に入って来てるし……


 苦笑しつつのうのうと眠っている亜里沙のことを想像する。まあ、泥棒と比べてコイツが入って来ただけマシか。


 酔っ払いとかに間違えて家に入られることがなかっただけ良かったと考えよう。予想もしなかった訪問者は来てしまったがな――……

 今回もご愛読ありがとうございました。ブクマや評価も本当に感謝しております。

 次回はすぐに投稿できると思います。ですので、どうか今しばらくお待ちください。

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