①⓪③話 黒坂真琴と伊達政宗の宴席③
【時系列・原作書籍⑤巻・第四章・磐城巡察】
「我らが今酒を飲んでいる磐城はどこにございます? 唐天竺とはこの地図ではどの当たりで? 南蛮とはどのあたりで?」
地図を眺め酒を飲んでいるとどんどん聞きたいことが湧いてくる。
その疑問に一つ一つ丁寧に答えてくれる常陸様。
「兄上様、御大将がお疲れです」
「そんな事はひくっ、ございませんよねひくっ、次は世界で一番高い山を教えて下され」
「殿、小次郎君が仰るように御酒が進みすぎているようで」
「うるさい、小十郎!小次郎!我はもっと知りたいのじゃひくっ」
世界の様々な事を知りたい。
今聞かねばいつ聞く?
「マコ~追加のお酒持ってきたよ」
「おっ、お江丁度良いところに来た。政宗殿に酌を」
「は~い」
「ん?こちらの姫君は?・・・・・・あ」
上様の姪御様で常陸様の側室お江の方様が盃に酒を注いだ所で我の記憶は消えた。
「・・・・・・もうお江、無理に気絶させなくても」
そんな言葉が聞こえたような聞こえなかったような。
次の日、起きると頭がガンガンと鳴り吐き気が酷い。
「殿、常陸様が朝飯を共にどうだとおっしゃっていますがいかがいたしましょう」
「無理だ。粗相をしかねない」
「ではお断りいたしますが、常陸大納言様は昼前には帰国の途に。お見送りには必ず」
「あぁ~わかった。頼むからもうしばらく静かにしてくれ、頭が割れそうじゃ」
我は二日酔いの朝を迎えた。




