ルシェルとクレティア
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ルシェルとクレティアはお互いが分からずに話し合い。
ルシェルは、アルシュと一緒に皇帝城に来ていた。
一応、クレティアは来賓としの訪問なので、ルシェルに出番はないが…アルシュが嫌っている雰囲気から…大丈夫かなぁ…と心配に思いつつ、皇帝城を散歩していると。
柱に額を置いて泣いている深紅のドレスと金髪の同年代の女の子がいた。
ルシェルが気になって声を掛ける。
「どうしたのですか?」
その女の子が顔を向けると、泣いていたのが分かるように涙筋が顔にあった。
その女の子は顔を拭って
「失礼…情けない所を…」
その女の子はクレティアだった。
ルシェルは知らないが、クレティアが放って置けず
「少し…お話でもしませんか?」
気晴らしを提案する。
クレティアは戸惑うも、ルシェルの穏やかな雰囲気と傷心も相まって、話しを聞いて欲しい者が必要だった。
二人は、皇帝城の庭園に出てベンチに座ると
クレティアが
「お恥ずかしい所を…」
クリシュナが
「何か…お辛い事でも?」
クレティアがフッと悲しげな顔で
「思い上がっていただけでしたから…」
ルシュルは微笑み
「どんな事ですか…」
クレティアは手をモジモジと交差させながら
「一緒に通っている学友の事を…私は…気に入ってたようです。私は…素直ではありません。何時も意地を張って偉そうにして…。それが…その貴族の出の者として…当然の態度だと…」
ルシェルは複雑な顔をする。
そう、自分も同じ大家の貴族だ。
どうしても、そのように上からの対応を求められる。
周囲がそういう事を求めるので、それが当然とされ、そのドツボへ堕ちてしまう。
身分の違いとはツラいモノだ。
どんなにこっちが平等に接しようとも…結局は、社会が、人の世があるかぎり、階級によって人は分断される。
そして、分断された上流と下流とでは、交わる事がなくなり、上流は閉塞してしまう。
様々な価値観を生み出す多くの人々がいる下流とは、相容れない。
いや…下流という数多が、入れてくれない。
上流も下流も、同じ人だ。人として平等なのに、社会や階級では不平等だ。
彼女、クレティアもそのドツボに堕ちてしまい、藻掻いているのだろう。
ルシェルは
「その気に入っている学友は、貴女の事が…」
クレティアは空を見上げて
「嫌いなのでしょうね。当然ですよね…偉そうでワガママな女なんて…」
ルシェルに直感が訪れる。
あ…この人は、アルシュが言っていたクレティアっていう…。
クレティアの右手にある来賓を示すゲストチェーンを見て確信した。
ルシュルが…
「その学友の事が、お好きなんですか?」
クレティアがフッと笑み
「ええ…理屈っぽくって、余計な事をしない合理的で、本当に女にモテないヤツですよ」
ルシェルが苦笑いをする。
アルシュの性格そのモノだ。
クレティアが悲しげな顔で
「でも、わたくしと対等で、わたくしの感情をぶつけても、対等に同じ気持ちでぶつかってくれる。今までに会った事もありません。無礼でした。でも…お互いに感情をぶつけあって、わたくしは、嬉しかった。楽しかったのです。こんなにも自分の気持ちを素直に表現した事は…ありませんから…」
ルシュルはそれを聞いて肯きつつ
「私には…将来を誓った殿方がいます。その殿方に昔…大変な傷を負わせてしまった過去があります」
「え…」とクレティアは困惑を向ける。
ルシェルが立ち上がり
「数年前の昔の事です。その殿方の方達と、私達の者達は仲が良くなかった。だから…彼を…こっちに引き込めば上手くいくと…子供じみた考えで…。精霊を使って彼を傷つけてしまいました。
その後…彼が家に来ました。始めは仕返しに来たと…。
でも、彼は私の言葉を聞いて受け止めてくれて…私を守ってくれました。
前に聞いたのです。私が傷つけた傷の障害は…一生です。恨んでいないか?と…。
彼は、何と言ったと思います。
自分が納得しているから、問題ない…と。
彼は理屈っぽいのです。骨の髄まで道理や理屈が染み渡っているのでしょう。
同時に優しさも感じました。
だから…私のワガママを聞いてくれた。
五年後に将来の伴侶にして欲しいと…。彼は、受けてくれました。
だから…貴女も正直な気持ちを打ち明けてみては?
彼は受け止めてくれるはずですよ」
クレティアは困惑を向けつつ、ハッとした。
この少女こそ…アルシュの
そこへ
「ルシェル…」
と、アルシュが二人の前に姿を見せる。
クレティアが苦い顔をする。
ルシェルが
「アルシュ…。私はアルシュが、感情だけで動く人ではないと…分かっています。だから…彼女の道理を聞いてやってください」
アルシュは苦い顔をしてルシュルを見た次に、クレティアを見詰める。
「クレティア・ハーベスト・ロディオン様。先程の無礼を詫びします。どうか…その贖罪の機会を私にお与えいただけないだろうか…」
礼節的な態度を向けられる。
それは、クレティアが今まで見てきた気持ちのこもっていない連中と同じだ。
このまま、何時もの高慢な貴族の令嬢としての態度をとって終わっても良いだろう。
だが、それでは対等ではない。
だから…クレティアはアルシュの前に来て
「顔を上げてアルシュ」
と、クレティアは告げるとアルシュが顔を上げる。
その目は冷たい。
クレティアはグッと唇を噛んだ次に
「アルシュ、私の事が嫌いなんだよね?」
ルシュルが
「アルシュ、正直に言って」
アルシュは頭を掻いて
「ああ…そのなんだ。その傲慢な態度さえなければ、別に嫌いとかではないよ。そういう態度をされると、こっちもイラッとするんだよ。ど偉い貴族の娘だから、何となくそうなるのは分かるが…。テンプレート過ぎだ。別に本心を話されただけで、嫌いにはならんよ。お前の、貴族の偉い令嬢ですっていう態度が気に入らないだけだ」
クレティアは、右手を差し出し
「じゃあ、今、今日から。対等の友人として接するわ。一緒に豪華客船の旅行へ行かない?」
アルシュはクレティアの右手を握り
「最初から…素直にそう言え」
と、握って微笑み返した。
クレティアは手を離して
「でも、わたくしが幹事ですから…わたくしの指示に従って貰うわよ!」
と、何時も偉そうな令嬢の態度ではない、どことなくアタシは偉いのよっていう普通の女の子の態度だ。
アルシュはフッと笑み
「分かっているよ。でも、変な命令は止めろよ」
クレティアは肩を竦めて
「その辺りは、弁えているわよ」
と、告げた次にルシェルを見て
「貴女も一緒に行きません? アルシュの婚約者さん」
ルシェルはフッと微笑み
「良いんですか?」
クレティアは近づき手をさし向けて
「一緒に行きましょう」
ルシュルは握手して
「はい、行きましょう」
アルシュは二人の仲が良い事に、首を傾げるも…何か通じる事があったのか…とその位にした。
こうして、アルシュはクレティアの豪華客船の旅行に同席する事になった。勿論、ルシェルと…ノルン、カタリナ、アルテナも一緒だ。
正し、最後の寄港地は、あの…慰霊祭が行われるアルダーネ平原の傍の街にだ。
一週間半後に、アルダーネ平原大戦の慰霊祭が行われるからだ。
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