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ぼく最強の皇帝になります!  作者: 赤地鎌
13歳から

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56/63

クレティアの突撃

次話を読んでいただきありがとうございます。

よろしくお願いします。


アルシュは、ルシェルと過ごす日々で…


 夏期休暇で本国に帰っていたアルシュは、婚約者ルシェルと共に過ごしてた。

 本国の友達ノルンとカタリナには、報告をした。

 二人は、やっとか!という呆れた感じだ。

 本国にいて、ルシェルの気持ちを二人は知っていたので、アルシュが覚悟を決めるのが遅くて苛立っていた。


 アルシュのメルカバーの自宅で、ルシェルと過ごすアルシュ。

 本当は、色んな所に行きたいが、ルシェルの兄ユースと、その友人にして兄相当のノアドが

「不純異性交遊禁止」

と、言い出してデートするなら、お互いの家の中で、家の人が監視付きという、飛んでも無い条件を提示した。

 アルシュは、呆れる。

 別に、変な事はしないつもりだ。

 

 だが、ノアドとユースは、お互いの将来が決定した者同士が、軽く一線を飛び越えてしまうのを知っているからの、提示なのだ。


 でも、アルシュやルシュルにとっては、問題ない。

 それは、お互いが将来…多分、ルシェルがアルシュの家に入るだろう。

 その予行演習にもなっていたから。


 ルシェルは、アルシュの母親ファリティアから、色んな料理の手引きを教わる。

 アルシュが好きな料理、嫌いな食材、それをどうやって食べさせたか…。

 度々、アルシュの家に泊まっていたルシェルにとって、アルシュと結ばれてアルシュの為に料理を作る事は、自然な流れで入れた。


 アルシュはルシェルが作ってくれた料理を食べ

「おいしい…」

 凄く満足だった。

 大好きな女の子が作ってくれる料理なんて、前世ではなかった。

 本当にルシェルの料理は美味いし、何より気持ちが篭もっているのが分かる。


 アルシュは思った。

 オレは…すげー 幸せなんだ…。

 

 前世の中山 ミスルではあり得なかったリア充、所謂、彼女との同棲生活で味わう事を今世のアルシュで堪能していた。


 食事を終えると、アルシュとルシェルは共にメルカバー邸の庭園を散歩する。

 二人して並んで歩きつつ、アルシュはルシェルの腰に手を伸ばしルシェルを寄せる。

 無論、嫌がったら外すつもりだが…ルシェルは自然とアルシュに寄り添う。


 それだけで、十分にアルシュは幸福を堪能する。

 そして、ある欲望が…。


 アルシュはルシェルの頭を撫でながら自分の頬に寄せると、ルシェルと視線が交わる。

 そしてキスをした。最初は軽く、そして…数回繰り返して、求め合うようになる。


 そんな時、パキンと二人の脇で音がする。

 アルシュとルシェルが振り向くと、祖父のシドリアがいた。

「んん…」とシドリアは咳払いして

「いや、三時のティータイムがなぁ…」


 アルシュとルシェルは、見られたと思って顔を真っ赤にする。

 シドリアは背を向け

「まあ、二人が来たい時に来なさい。アルシュ…強引はダメだぞ」

 アルシュは恥ずかしさを噛み締め

「はい…お爺様」

と、答えた。


 二人は恥ずかしさを気晴らしする為に、ちょっと庭園を歩き、ティータイムへ向かった。


 そして、今日もルシェルは泊まろうとしたが…流石に三日目はダメだった。

 二人は14才だ。しっかりとした男女になりつつある。

 ルシェルの家から迎えの魔導車が来て、それにルシェルは乗り

「じゃあね、アルシュ」

「ああ…今度は、オレがそっちに行くよ」

「うん」

と、魔導車の窓から顔を出すルシェルに、アルシュはキスをして、ルシェルを見送った。

 

 遠くなるルシェルの魔導車を寂しそうに見詰めていると

「良い感じですね」

 アルシュはビックとして後ろを向くとエネシスがいた。

 アルシュは仰け反って下がり

「ああ…エネシス様…な、なんでしょう?」

 

 エネシスがデータ端末を取り出し

「アルダーネ平原大戦の慰霊塔の完成が間近ですから、その慰霊塔の完成と式典についての…」


 アルシュは受け取り

「ああ…ありがとうございます」


 アルダーネ平原大戦とは、アルシュが、ルクセリオン共和国とギリシオ共和国、ルーレル共和国、ファリダン共和国の四カ国連合のキングス級ゴーレムの大軍勢をドッラークレスで破壊した戦争の事だ。

 そう呼ばれるようになった。


 端末には後、一週間くらいで完成して、その六日後に慰霊の祭典が行われるとあった。


 無論、それにはヴィクタリア帝国の皇帝アルファスとフランディオ王国の王達も参加する。

 それは戦後である。

 だが、それが遠くに感じる。

 普通の戦後なら、様々な戦後復興で世の中が荒れるはずだが、アルシュが出現させたドッラークレスのロゼッタストーンの膨大な資源を、戦後復興に当てたので、復興が早く進み、国々の諍いも起こらないのだ。


 この大戦で亡くなった兵士達家族達の生活支援、ボロボロだったルクセリオン共和国、ギリシオ共和国、ルーレル共和国、ファリダン共和国の四カ国連合の復興。

 大戦前にあった鋭い空気がウソのように消えていた。


 アルシュは、エネシスに

「自分は…父と共に」

 エネシスは肯き

「ええ…ご参加くださいね」

 アルシュは肯き

「分かっています」


 エネシスが唐突に

「ルシェル・ダルシュンとの婚約、おめでとう」

 アルシュは照れくさそうに

「ああ…ありがとうございます」

 エネシスは微笑み

「良い顔になりましたね。子供の頃の貴方は、全てに絶望して諦観した大人のようでした。今は…違う。暖かく希望が満ちた年齢に相応しい顔をしていますよ」

 アルシュは自分の顔を触り

「そんなに変わっていると思えませんがね」

 エネシスはアルシュの頬に触れ

「アルシュ、絶対に彼女を、ルシェル・ダルシュンを手放してはなりませんよ。人は絶望に染まり…冷徹の怒りに堕ちた瞬間、悪魔より恐ろしい怪物に変貌します。それは…何十億という人間を皆殺しにしても平然としている程に…」

 アルシュは、エネシスの瞳に遙か昔の光を見た。

「あの…それは…どういう意味で…」

 エネシスは離れ

「では、慰霊の式典、よろしくお願いします」

と、離れて行った。

 アルシュは首を傾げた。


 エネシスはアルシュから離れ街中を歩く。

 そして、端末にコールが掛かり手にして

「ああ…大いなる父(イヴ・アベル)様…」

『彼は…どうだ?』

「はい。優しく育っております。今回は期待できるかもしれません」

『そうか…彼で五度目か…』

「大いなる父様、確かに我らネオヒュームス(新機人種)は同じ地球の人類と同じ愚かな部分を持っていますが。違う部分も多く備えています。ですから…きっとアルシュは…新たな道を作り出してくれるでしょう。何より、同じ者、超越存在が二人も、ジェネシス帝国と七大連合にいます。新たな未来の可能性が」

『待ちに待った。エクソダスが…か…』

「はい」

『我が娘よ。これからも見守り続けておくれ』

「お任せください」

と、エネシスが伝えると、端末が終わった。




 ◇◆◇◆◇◆◇


 クレティアは、ルクセオン共和国から出発した豪華飛翔客船の旅を満喫していた。

 地球のオアシス オブ ザ シーズのような豪華な船の旅行は快適だった。

 最上級のスイート、豪華な食事や施設。

 本当に豪華だが…どこか気分が良くない。


 プールのプールサイドチェアで横になるクレティアは、脳裏にアルシュの事が過ぎる。

 全く羨ましいという素振りさえ見せないアルシュに苛立っていた。

「何よ、誘ったのに…」

 いや、一言も誘うなって言葉はない。

 どうやったら、そんな風に思うのが不思議で仕方ないが、そこへ共にするクロリアとクリティアが来て

「どうしました? クレティア様」

と、クロリアが尋ねる。

「何でも無いわ」

と、クレティアは素っ気ない返事をする。

 

 クロリアとクリティアの二人には分かっていた。

 アルシュが、クレティアの提案?に乗ってこなかったのが原因だ。

 挑発…にしか思えないが、とにかく…クレティアには提案なのだ。


 クロリアが

「クレティア様…次の寄港は、ヴィクタリア帝国の首都ですが…」

 

 クレティアが上半身を起こして

「そう、アイツがどんなつまらない夏休みを過ごしているか…見てあげましょう!」

 またしても上から目線だ。

 クレティアが上から目線で

「まあ、寂しい夏休みを過ごしているなら、わたくしの慈悲で…この旅行に参加させてもよろしいわね」


 クロリアとクリティアがヒソヒソ話で

「どうしようクリティア…」

「クロリア、先にアルシュくんに連絡を入れて…色々とこっちで経費を持つから、参加して欲しいって頼もう」

「そうしかないよね…」

「うん…」

 二人は頭を痛めて、それ後ろに、クレティアはチェアから立ち上がり

「アルシュ・メギドス・メルカバー・ルー・ヴィクタリア! わたくしの豪華な夏休みを聞いて悔しがりなさい。おほほほほほほほほほほほ」

 高飛車な笑いを恥ずかしげもなくプールで響かせる。


 それを上の階のテラスから見下ろす二名がいた。

 金髪、二十歳くらいで魅惑的な体の女性が

「なんだ? あのバカ笑いしている女は?」

 隣にいる男性190センチ近い長身で、黒灰色の髪に体にはうっすらと電子回路のような模様がある。

 その男性が同じく、見下ろして

「あれは…ルクセオン共和国の大貴族ロディオン家の娘だ」

 隣にいた金髪の女性が男性を見て

「知っているのか? ライアー」

 男性ライアーは肯き

「ああ…この世界の超位存在の一人、アルシュの…一応…学友らしい」

 金髪の女、キャロルは微妙な顔で

「一応、学友って? どういう事だ?」

 ライアーは微妙な顔で

「情報によると、あのロディオン家の娘、クレティア・ハーベスト・ロディオンが、アルシュに対してマウンティングをしようとして、咎められ…その罰として、アルシュの学園都市戦艦ムツでの生活のサポートをしているらしい」

「はぁ…」とキャロルは呆れ気味だ。

 ライアーが

「丁度良い。アルシュがどんな状態か知るに、あの小娘を追尾しよう。ある程度の情報は手に出来る筈だ」

と、ライアーが告げた背中から、あのデウスマギスの上で伸び、その指先から10センチ程度の小型偵察機が飛び、それが透明になるステルスに包まれ、姿が不可視のままクレティアの頭上に浮かび泊まった。

 無論、この小型偵察機は、空気の力で動いているのではない。

 重力を中和した無質量化フィールドに包まれ、電磁クラフトにてクレティアの上に隠れて逐次の報告をライアーへ送る。



 ライアーがステルスの小型偵察機から転送されるデータのチェックをしているとキャロルが

「しかし、この世界に来ても、アイツと同じ存在がいるとは…」

 ライアーが

「仕方なかろう。時空的な繋がりは…あるからな」


 

 そんな思惑を余所に、クレティアはアルシュの顔を見に…いや、自分の軍門へ下す為に、豪華飛翔客船に乗ってヴィクタリア帝国の首都に到着した。


 アルシュは、そんな事は露も知らずではない。

 ルシェルと共に、ルシェルのダルシュン邸で過ごしているいる時に、クリティアとクロリアから、クレティアが来る連絡を受けた。

「げ!」

と、アルシュは苛立った顔をした。

 それにルシュルが

「どうした?」

 アルシュが苛立ち

「あのバカ女が来る」

 ルシェルは、アルシュの口調が鋭くなった事に戸惑う。


 アルシュは、不倶戴天の敵であるクレティアが来る事に頭を抱えた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

ありがとうございます。

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