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ぼく最強の皇帝になります!  作者: 赤地鎌
13歳から

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50/63

クレティアの猛攻

次話を読んでいただきありがとうございます。

よろしくお願いします。


アルシュは、学園都市戦艦ムツでの日々が始まったが…。


 オラ、アルシュ。入学早々、トラブルに…いや…自身から出た身のサビだろう。それと直面したぞ。でも、何とかやるしかない。


 アルシュは、自分のクラス担任のアキコ内親王こと、アキコ先生に連れて行かれて、自分のクラスに入ると、大学の講義堂の如き教室内にアルシュは目を疑う。


 十二歳まで初等部とは違った雰囲気に戸惑う。

 初等部は、ほぼ、地球のように机があって、荷物は後ろにあるロッカーにしまっていた。授業風景もあまり変わらない感じだった。


 それがこの学園都市戦艦ムツに来てから中等部から大学のような雰囲気になって困惑する。

 アキコ担任が、中央の壇に立ち、周囲にある階段になっている長机に座る生徒達に

「皆さん、初めまして…そのまま初等部から来た人達も、新たに来た人達もよろしくお願いします。アキコ 南勝です」

 クラスの生徒が見守る中、担任のアキコが

「では、今後の皆さんの学習に関しての…」


 この学校での生活の説明が始まる。

 まず、基本的学習、算術、語学、理化学、体育、魔導学の5つ以外の授業は、各々の欲する個人の方針によって様々な学習をするらしい。

 つまり、一週間の間に、この基本的5つ以外はクラスが集まって勉強する事は無い。

 大体、一日に基本五科目は、二つか三つくらい設定されているらしい。

 一日、六つの学習時間の半分は、自由な学問を習えという事だ。


 自由度高すぎ…とアルシュは思った。

 

 一日の流れの話が始まる。

 まずは、朝礼の為のこのクラスで集まり出欠席の確認。その後は、基本五科目以外、クラス室へ戻る事は無い。

 帰りは、また、このクラスに集まり明日の通達や、様々な話。

 そんな感じで終わりを迎える。

 

 アルシュは、どうすればいいか困惑している。

 多分、初等部から来た者達は、これに慣れているだろうが…後からの編入者には戸惑いがある。

 多分、後からの編入者は自分と同じように決まった日程で過ごしているだろう。

 いきなりの環境変化に戸惑うのは間違いない。

 しかし、その当たりは、アキコ担任も分かっていた。

「編入者の人は、1週間ほど、私が皆を連れてどのような学習があるか、体験をさせます。それから各々、個人での学習プランを形成する事になるでしょう」


 ちょっとアルシュはホッとする。

 試運転みたいな事があるのだ。


 それなら雰囲気を掴めるだろうし、過ごし方を分かるだろう。


 アキコ担任が

「では、出欠を確認します」

と、名簿の名前を呼び、返事を確認する。

 男女合わせて20名のクラスメイトの名前が呼ばれて、アルシュの番が来る。

「アルシュ・メギドス・メルカバー・ルー・ヴィクタリア」


「はい」とアルシュが返事した次に、クラスメイトの視線が集中した。

 アルシュは「え…」と戸惑いを見せる。

 それは今までにない反応だ。

 出欠の返事をしても、誰も返事をした者を見る事はないのに、アルシュだけは、皆が顔を見詰める。


 アキコ担任は淡々と出欠を確認して

「では、編入者の方、私と一緒に行動しましょう」


 編入者組を連れて行くアキコ担任。

 アルシュが編入者組と移動していると、背中をつつく人物がいる。

 アルシュは後ろを見るとクラスメイトの女の子だった。

「こんにちは」


「ああ…どうも…」

と、アルシュはお辞儀する。


「私は、レンラン・ラン。よろしくね」


「どうも、アルシュ」


「うん、知ってる。ねぇ…もしかして…あの空を突き抜ける巨大な龍を使いこなすんだよね?」


 アルシュは眼が天になる。

 多分、超龍(ドッラークレス)の事だろう。

「その…あんまり、広めて欲しく…ないなぁ…」


 レイランはバツが悪そうな顔で

「ごめん。興味本位できいちゃった…」


 アルシュはちょっと悲しげな顔で

「人に広めないならいいよ。そうだよ。確かに、その…ルクセリア共和国との争いの時に…」

 

 レイランは微笑み

「そうか…凄いね。君」


 アルシュは微妙な顔をする。

「凄いねか…。沢山、人が死んだけどね…」


 レイランがハッとして

「そ、そうだね。ゴメン」


 アルシュは首を横に振り

「いいよ」

と、答えて先を進む。

 その二人の話は、他の共にいた編入者達も聞いていた。




 ◇◆◇◆◇◆◇


 翌日、アルシュは、面倒を見てくれるロディーとマリテージアの二人が

「アルシュくん。何か…君の話で学園が持ちきりだけど…」

 ロディーが尋ねる。


 マリテージアが

「何か喋ったの?」

 

 アルシュは渋い顔をして

「その…クラスメイトに聞かれて…。まあ、ウソは良くないから…」


 ロディーが腕を組み渋い顔で

「あまり、言いふらすのは良くない。君は…とても微妙な立場だって事を」


 アルシュは肯き

「はい。だから…聞かれたクラスメイトには、広めないで欲しいと…」


 マリテージアが面倒そうに頭を掻き

「周囲に、クラスメイトはいた?」


「はい」とアルシュは頷く。


 ロディーとマリテージアは顔を合わせる。

 たぶん、そこから広まった可能性が濃厚だ。


 ロディーが

「当分の間、君の周りが騒がしくなるかもしれない。変な面倒事は…」


 アルシュは肯き

「はい、避けますから…」


 マリテージアが

「この学園戦艦ムツは、国との関係を持ち出さないのが基本だから…。大丈夫だと思うけど…」


 ロディーが

「そんな事をすれば、即謹慎で、ヘタをしたら退学だから。大丈夫だと思うよ。余程のおバカさんで無い限りに」


 アルシュはピクッと震える。

 脳裏に、そのおバカさんに匹敵する者が過ぎった。

 クレティア・ハーベルト・ロディオンが…。


 アルシュの固くなる反応にロディーとマリテージアは察し、マリテージアが

「もし、何かあったら直ぐに…私達の所へ逃げ来るのよ」

 ロディーはマリテージアと一緒に受ける授業の日程をアルシュに渡す。

 授業がある教室へ向かえば、二人がいる。逃げて来いという事だ。


「はい、ありがとうございます」

 アルシュは受け取る。



 ◇◆◇◆◇◆◇


 アルシュの学園の授業がどんなモノか?を掴む、一週間が始まった。

 編入組と一緒に、授業を回る。

 アルシュは敏感に、何か…クラスメイトと距離感を感じる。

 普通の14歳前の年齢なら、それが淋しいと思うだろうが…アルシュの中身は、37歳プラス14歳、転生前を合わせて51歳。

 何となく、自分の状態が理解出来る大人があるので、淋しい感じはない。


 そうして、一日の授業を終えた。

 クラスの教室に戻って、アキコ担任の通達を聞いて、帰ろうとした次に

「アルシュくん…」

と、女子クラスメイトが呼び掛ける。


「何?」とアルシュは女子のクラスメイトを見る。


 女子クラスメイトは微笑み

「アルシュくんのお爺様って、ゴーレムを作る会社を運営しているんだよね?」


 アルシュは肯き

「うん。ヴィクタリア帝国の軍用の大型、キングス級ゴーレムを作る一角をね」


 女子クラスメイトはアルシュの手を握り

「アタシの家もね。アルシュくんと同じく、国の軍用ゴーレムを作っている一族の一つなんだ」


 アルシュは顔を明るくさせ

「本当に?」


 女子クラスメイトは肯き

「そう。でね、この学園都市戦艦ムツには、ゴーレムを作る愛好会があるらしいの。一緒に見に行かない?」


 アルシュは直ぐに肯き

「いいですね。行きたいです」


 女子クラスメイトはアルシュの手を引いて

「じゃあ、行こう。なんでも、大型のドーム訓練場で、今、ゴーレムを出しているみたいだから…」


 アルシュは誘われるまま、女子クラスメイト共に大型ドーム訓練場へ来た。

 だが…途中で、アルシュは不審を感じる。

 そう、ドームが静かなのだ。もし、愛好会というならそれなりの人数がある筈だ。

 人の声がしないし、ゴーレムを動かしている機械音がしない。


 アルシュは家がゴーレムを作っていると、前世の中山 ミスルの時も巨大ロボットが好きだったので、それが講じてゴーレムが好きになった。

 なにより、ヴィクタリア帝国の皇子ではなく、ゴーレムを作っている家同士という事の親近感で来てしまったが…。


 ドームの通路を通されて、ドームの広場に来ると、そこには…ゴーレムなんて無かった。


 アルシュは、察した。騙された!

 直ぐに逃げようとしたが、その後ろを数名の高等部の生徒が抑える。


 高等部の生徒達がアルシュの肩をつかみ「来て貰うよ」とドームの中心、競技広場へ運ぶ。

 そこにはあのクレティア・ハーベルト・ロディオンがいた。


「ようこそ! アルシュ・メギドス・メルカバー・ルー・ヴィクタリア」

 クレティアが腕を組み、連れてこられたアルシュを睨む。


 アルシュが鋭い顔で

「どういうつもりなの?」


 クレティアの周囲には、中等部や高等部の生徒と共にお付きの二人であるクリティアとクロリアがいる。


 クレティアが指さし

「どういう事? 自分の胸に聞いてみなさい」


 アルシュが頭を振り

「確かに、憶えがある。でも…ここは学園都市戦艦ムツでは、国同士の問題を持ち込まないのが…鉄則なのでは?」


 クレティアが余裕の顔で

「そんなの! 関係ありませんわ! キサマは、私の国を蹂躙した悪人! 関係ありませんわ」


 アルシュは鋭い目で

「国を蹂躙した憶えはない。兵士達は蹂躙したが…。一つ聞きたい。この場にいる全員は、ルクセオン共和国の関係者で間違いなのか?」


 クレティアは胸を張り

「当然ですわ!」


 アルシュは、暫し苦しそうに眼を細め

「では、この中に、オレがやった事での犠牲者の関係者がいるのか?」


 クレティアに従った中等部と高等部の生徒達は視線を交差させる。

 そういない。

 つまり、この学園都市戦艦ムツは、それなりに高い身分の子供が来ている。

 最前線ではなく、後方で安穏として指揮をするエリート士官の貴族様達の子供。

 身近で犠牲になった者なんていないのだ。


 クレティアが声を張り

「そんな事、関係ないわ! お前は、我が国を貶めた蹂躙したそれで十分の大罪よ!」


 アルシュの眼が鋭くなり

「あああ? 要するテメェは、人の褌の上で正義を語るクソ野郎って事か!」

 アルシュの殺気に、クレティアの周囲にいる生徒達が困惑する。

  

 生徒達は分かっている。本来、こんな事をしてはいけない。する意義さえない。

 ただ、クレティアはルクセリア共和国で大きな財閥の跡取り、逆らえば自分の家が大変になるのだ。それだけの安易な理由で手伝っている。

 だから、数で脅してアルシュが適当に従ってくれれば問題児(クレティア)は満足してくれる。


 クレティアが怒りを顕わに

「調子に乗っているんじゃないわよ!」

 クレティアが精霊を発動させる。

 紅蓮に燃える鎧巨人だ。


 他の付き添いの生徒達も精霊を展開する。クレティアよりは弱い幻獣の精霊。


 クレティアは、右足を上げ

「さあ、私の靴を舐めなさい。そして…わたくしに屈服しなさい」


 アルシュは殺気の眼で

「しないと…どうなるんだ?」


 クレティアは威勢を張り

「わたくし達の精霊で酷い目にあうか、ここにいる全員がわたくしの味方、キサマにヒドい事をされたとして訴えて、キサマは退学ですわ」


 クレティアの取り巻きは、アルシュに従って欲しいという顔だ。従ったフリをすればそれでいい。取り巻き達は後で、アルシュを慰めるつもりだった。


 アルシュは髪を掻き上げる。

 クソ、くだらん!

「分かった。もういい。退学でも知ったことか!」


 アルシュの背後から巨大なレッドリーレスの腕が伸びる。

 その一閃で、半分の取り巻き達を精霊ごと吹き飛ばす。


「え?」とクレティアは困惑した次にアルシュから大爆発が起こり、『クレティア様!』とクロリアとクリティアがクレティアの前に立ち持ち精霊で全力の防護を張る。

 

 その大爆発から全長十メートル、花弁の顎門を持つ、アルシュを胸部のコア結晶に入れたレッドリーレスが出現する。


 アルシュの巨大レッドリーレスが、花弁の顎門を広げ、遠くの海へ光線の砲撃を放つ。

 光線から衝撃波の暴威が放たれ、遠くの海で全長四キロの学園都市戦艦ムツと同じサイズの大爆発を起こした。


 クレティアは腰を抜かして怯えている。

 その目の前に、アルシュのキングス級ゴーレムと遜色ないレッドリーレスが地面を震わせ近づき。

「もういい。退学で十分だ。お前の言った通り、お前を蹂躙してやる」

 アルシュは切れていた。

 

 どうでもいい、こんなクソ女に関わると人生が潰れる。なら、徹底的に今、ここで嫌われればいい。清々する。


 クレティア達に、アルシュはレッドリーレスの叩きを向けた。

 ボロキレの如くクレティアは飛び、競技広場を転がる。

 起き上がるクレティアの眼には怯えが宿っている。


 そこにアルシュのレッドリーレスが近付き、クレティアの退路をレッドリーレスの腕から放たれる結晶で塞いだ。


「いや…」と恐怖するクレティアに、あの破壊光線を放つ花弁の顎門を向ける。


「オレは、お前が大嫌いだ!」

と、アルシュは告げた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

ありがとうございます。

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