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ぼく最強の皇帝になります!  作者: 赤地鎌
12歳から

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47/63

ミリアルド達の覚悟

次話を読んでいただきありがとうございます。

よろしくお願いします。


アルシュは、ルクセオン共和国達の停戦条約の会談へ父親達と共に来ていた。そこで…


 オラ、アルシュ。戦争の後にある悲劇を止める為に、攻めて負けた国達の援助をする財団を立ち上げたぞ! みんな、ビックリしていたけど。これで、戦争はないな! やったぜ!



 アルシュは、とある会談に呼ばれていた。

 ルクセオン共和国とその他三カ国と、フランディオ王国とヴィクタリア帝国との停戦条約についての会談にアルシュも参加して…いや、させられていた。

 その原因は、アルシュが起こしたとある財団のせいだ。


 ルクセオン共和国とその敗戦国に援助するリアン財団は、順調にその成果を上げている。

 十万名に呼ぶ兵士達の家族、二百万人に、毎月金貨15枚(15万円)の振り込みと医療、住居、子供がいたら修学の支援と手厚く行っている。

 その資金源は、アルシュが十万のキングス級ゴーレム達を倒した際に生じた、百キロ級のドッラークレスの残骸、ロゼッタストーンの大地だ。

 ヴィクタリア帝国九億人を70年も食わせられる大資産は潤沢で、全く問題ない。


 ヴィクタリア帝国、南にある大ホールにて、アルシュは父親にてヴィクタリア帝国皇帝アルファスの隣に座って会談の円卓テーブルにいた。

 

 まあ、淡々と停戦に関する事の条約が結ばれ、問題なく進んで終わりを迎えた。


 アルシュが席を立つと

「小僧! キサマは、我々の国を侵略するつもりだな!」

 ルクセオン共和国の貴族の一人が声を張る。


 それを止めようと、別の貴族が肩をつかむ。

 それでも、その貴族の男は続ける。

「こんな、犠牲者の家族を支援するのは、その莫大な経済力で、我々の国を裏で支配するつもりなんだ!」


 アルファスがアルシュの背に手を置き

「行こう、アルシュ」


 アルシュは呆れた顔を向けつつ

「大丈夫です」

と、告げて男の前に来ると

「そうだよ。君達を支援する事で、将来、ぼくが安住に生活できる場所を作る為に、援助している」

 

 男は戸惑いを見せる。

「つまり、キサマの国を作る為に、そうしているんだな!」


 アルシュは胸を張り

「そう。ぼくは、ヴィクタリア帝国では微妙な立場だ。こんな力を見せれば余計にだ。

 だから、将来、自分の居場所を作る為に、君達に支援している。

 いわば、投資だ」


 男は皮肉な笑みをして

「そうか! 分かった。投資に見合う事をやってやるさ!」

と、告げてアルシュから去ると、別の仲間の男が来て


「アルシュ様…今の言葉は…」


 アルシュは項垂れて

「ウソに決まっているだろう。そう言わないと…納得してくれないだろう。あの人は…」


 男の仲間の男が

「では…本当の所は…」


 アルシュが悲しげな目をして

「ぼくの…事は…知っているよね」


 男は肯き

「転生の…」


 アルシュは肯き

「そう、その転生する前の地球って世界では、勝った国が負けた国を蹂躙した歴史がある。

 ヒドい事だった。

 自分がその時、生きていた時も…それがあった。

 そんな修羅のような世界が嫌いだった。

 だから、今、ぼくは…勝者になった。だったら、そんな修羅の世界を作らないようにすればいい。

 ぼくが生きている間は、何とか出来る。

 ぼくがいなくなった後は…どうなるかは…分からない。

 でも、そうやってやったっていう事を残せば、後々に…良いことに繋がる。

 そんな気がするだけさ」

 アルシュは微笑みを向け

「だから、二度とこんなバカな事はしないでね」

 

 男は拳を握り胸に当てる。それは約束する証だ。

「お約束します。必ず、このような事は絶対に起こさせないと! そして、何時か…助けていただいた。貴方に恩返しをすると…」


 アルシュは頭を横に振って否定し、笑みながら

「じゃあ、その恩は、将来…誰かが困った時につかってやって」


 それを聞いた男は涙して、アルファスやその周囲にいたヴィクタリア帝国の大人達の背筋がピッンと張り詰めた。

 僅か、十二歳の子供が、こんな立派な事を言うのだ。

 大人として恥ずべき事をするなんて、出来ない!と皆、心に誓う。


 それは、ルシェルの祖父、ダルシュン大将のミリアルドも聞いてた。


 

 ◇◆◇◆◇◆◇


 会談が終わった後、会談に同行していたミリアルド達、古参の陸軍大将達は、会話をしていた。


 南方の大将であるドルトルが

「はぁ…ラエリオン卿、人が悪いなぁ…。アルシュ様の事…」


 東方の大将のラセルドが

「あれ程の傑物、そうそういる者ではない」


 ミリアルドが

「皆の者よ。これからの事…どう思う?」


 西方の大将のオルガリアが

「ミリアルド…ヴィクタリア帝国に、いや…世界にとって、最悪な不安は、アイツしかない。それさえなくなれば…。後は…次世代の好きにさせようぞ」


 北方の大将、ヴォルフォルが

「良き世代が来ようとしている。その為の轍になるのが…我ら老骨に残された最後の仕事」


 ミリアルドは両手を見つめて

「我らは、愚かだった。15年前にあった継承内戦で、何も出来なかった。

 本当に…」


 ヴォルフォルが拳を上げ

「さあ、皆よ。後顧の憂いはなくなった。アルシュ様に全てを任せよう。

 アルシュ様なら、絶対に世を良くしてくれる!」


 五人全員がヴォルフォルの掲げた拳に同じく拳を合わせ

『さあ、死のう。我らはここで命の使命を果たそう。そして、冥府で酒を交わそうぞ』

と、五人は死後の誓いをした。



 ◇◆◇◆◇◆◇


 アルシュは、ヴィクタリア帝国に帰ろうと、飛翔船のある港にいた。

 用意された飛翔船に乗る寸前に

「おい、小僧!」

と、呼び掛ける声がある。


 アルシュは振り向くと、そこにはエドワード王子がいた。

「どうしたんですか?」


 エドワードが近付き

「お前は…とんでもない事をしたなぁ…」


 アルシュは首を傾げ「何を?」と分からない。


 エドワードがフンと鼻息を荒げ

「リアン財団だよ」


「ああ…別に、大した事じゃあないです」


 エドワードは荒くアルシュの頭を撫で

「大した事じゃあない! とんでもない事だよ…。お前の末が恐ろしいよ」


 アルシュは荒く頭を撫でられてちょっと不快になるも

「きっとここがピークですよ。後は、以外に凡人として人生を終えるでしょうね」


 フッとエドワードが笑み

「その方が…」

と、言葉にする前に拍手が、二人の横でされた。

 アルシュとエドワードが拍手をした人物を見ると、驚愕に顔を染めた。

 そこには、ライアーがいた。

 ライアーと、その右にはナレオン、左には黒髪で二十代後半のスーツの男がいる。

 その真ん中にいるライアーが拍手している。


 エドワードが鋭い顔でライアーを見て

「キサマ…」


 ライアーが、仮面の奥にある目を細め笑み

「いや…やられたよ。アルシュくん、いいや…中山くん。

 まさか、まさか…敗者を支援して助けるなんて…

 この後の私の計画が大いに乱され瓦解したよ」


 アルシュはフンと鼻で笑い

「それは良かった。お前の目論見を潰せて…」


 エドワードがライアーを睨むと、それを防ぐようにナレオンが前に立ち

「ナレオン…」

と、かつての友であり、そして裏切った幼なじみを見て苦しい顔をすると、ナレオンが


「エドワード王子。そんな顔をするなら…裏切って欲しくなかった」

 嫌な言葉をナレオンは放った。


 エドワードの心が掻き乱され、言葉を失う。

 アルシュが

「ライアー お前の目的はなんだ?」


 ライアーは仮面を手にして真剣な素顔を見せて

「至極、簡単な事だ。私は、私の技術を向上させたいだけ、そして…欲する者に分け与えるだけ。その為の環境を作り出す。それだけだ」


 アルシュが鋭い目をして

「そんな事の為に? この世界が破滅するかもしれない事を…」


 ライアーは表情が見えない顔で、目だけが笑ってない口だけの笑みで

「世界が破滅する? 存外、人間は強い生き物だ。破滅なぞあり得ない。

 その想像は、妄想でしかない。

 それ程までに、人間は強い。

 人間が破滅する想像をする者は、自我が小さい、矮小な領域でしか物事を見れない愚か者だ。再度、言う。人間は強い…これは私を作った者の格言だ」


 アルシュは驚きを向け

「お前は…作られた存在なのか?」


 ライアーは口だけの笑みで

「そうだ。私は創造された人間だ。

 アルシュ・メギドス・メルカバー。いや、中山 ミスルよ。

 お前の友人だった山中 充は…法螺を叶えたぞ」


 アルシュの脳裏に、友人、ミツルが過ぎる。

”ミスル、何時か、オレは…原子サイズナノマシン加工機を作り出して、世界を変えてやる。

 

 また、そんな法螺を吹いているのか? ミツル…”


 アルシュが驚愕な顔をしているのをライアーはニヤリと楽しげに笑みながら見つめて

「我が父、山中 充は、お前が消えた三年後に…原子サイズナノマシン加工機

 アーベル式ナノマシン加工機を作り出したぞ。

 その万能加工機の技術と叡智の蓄積によって、私は創造された。

 Revolution Integer Automatic Reactant

それが…私だ」


 アルシュの息が荒くなる。

「そんな、バカな…」

 信じられなかった。


 ライアーは嘲笑を見せ

「聞きたいかね? 私の話を…」

と、ライアーが右手をアルシュにさし向ける。


 そう、近付いてその手を握れば、聞かせるという誘いだった。


 アルシュは迷う。確かにこのまま、ライアーの通りにすれば、聞けるかもしれないが…後々…。

 エドワードが

「行くな! アルシュ!」

 静止させる。


 アルシュは目を瞑って考え、そして…「ごめん」と告げて、ライアーの元へ行こうとする。

 現状では、ライアーから情報を聞き出さないと、この先、何があるか分からない。

 レッドリーレスもある。何とか、逃走可能という算段もある。

 

 アルシュが近付く為に歩んだ寸前、ライアーの体に人影が被さる。

 それは五人だった。

「久しいのう…」

 ライアーに被さっているのは、ヴィクタリア帝国の陸軍大将の五人、ミリアルド達だった。


「はぁ?」とライアーが訝しい顔をすると、ミリアルドが

「これで、やっと死んでいった若人達に顔向けが出来る」


 ミリアルド達五人の胸部が光を放つ。

 ナレオンは察した。

「まさか! ベアレストア(精霊暴走自爆水晶)を」


 五人は自らの精霊の力を燃焼、暴走させて自爆しようとする。ライアーを巻き込んで。


 それにライアーの左にいた男が「チィ」と舌打ちした次に、背後から漆黒の霧の翼を伸ばし、ライアーに纏わり付く五人を漆黒の霧で包み、ライアーから離した後、自爆させる結晶を漆黒の霧で浸食、停止させてアルシュの前に放り投げた。


 ライアーは助けた男に「助かったよ。礼祖」とお礼を告げる。


 礼祖と呼ばれた男は、渋い顔をして

「別に、この程度で、アンタが死ぬはずもないが…。爆発して汚れるのは嫌だったからなぁ…」


 アルシュの元に転がった五人は立ち上がって、後ろに持ち精霊を出す。

 紅蓮の獅子、緑のグリフォン、青きユニコーン、赤きスプリガン、黄色のワイバーン

 どれも強力な精霊だ。

 五人は、自爆がムリなら差し違えてもライアーを殺すと覚悟していた。


 ライアーは呆れた顔をして

「年寄りはせっかちだから、いかん」

と、告げた上から砲撃が飛んで来た。


 爆発に包まれる周辺、ライアーがそれに紛れて逃げながら

「では、ミスルくん。また、出会った時に…」

 ライアーは、またしても逃走してしまった。


「待て! ライアーーーーー」

と、ミリアルドが吼えるも爆音に掻き消された。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

ありがとうございます。

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