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ぼく最強の皇帝になります!  作者: 赤地鎌
12歳から

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45/63

アルシュ、インドラ、ヴァルハラ

次話を読んでいただきありがとうございます。

よろしくお願いします。


アルシュのとある作戦が発動する。そして…


 アルシュは、正妃の城、アルテナの家で、アルテナとルシェルの今後の事を話す。

 アルテナが

「なんで、アルシュがそこまでしないといけないの…?」

 

 アルシュは微笑み

「アルテナのナイトだから…。将来、アルテナはヴィクタリア帝国の皇帝になるんだろう。

 だったらね」


 ルシェルは黙って俯いている。


 アルテナがルシェルの袖を引っ張り

「ルシェル! アルシュを止めてよ! アルシュの許嫁なんでしょうーーーー」


 ルシェルは泣き出しそうな顔でアルシュに

「アルシュ、ごめんね。私、何にも力がなくて…」


 アルシュはルシェルの手を取り、優しく握り

「いいよ」


 ルシェルはアルテナの肩を掴んでアルシュから遠ざけ

「いってらっしゃい」


 アルテナは驚愕して次に

「アルシュ! ダメーーーーー」

と、叫んだ後、アルシュは部屋から出て行った。

 その顔は悲しげな笑顔だった。



 ◇◆◇◆◇◆◇

 

 ジェネシス帝国では、インドラが妻であり戦友でもあり、部下でもある彼女達五人を従えて飛翔船に乗ってとあるポイントに運ばれる。

 その飛翔船の船首に立つインドラは腕を組み、目的の遠くを見つめる顔は、沈黙だ。

 後ろにはジーバーが


「ねぇ…本当にこれしかなかったの? インドラ…」


 インドラは頭を振り

「こんな事態、あり得ない筈だった。ラエリオンの野郎…飛んでも無い事を持ち出して…」


 ジーバーがインドラの隣に来て

「何があっても私達は、インドラと一緒だから…」


 インドラは頷いた。



 ◇◆◇◆◇◆◇


 ヴァルハラも同じくとあるポイントに向かって飛翔船で運ばれていた。

 飛翔船の甲板で、アグラを掻いて座るヴァルハラに、フレアが来て


「ねぇ…本当にこれで終わるのかしら…」


 ヴァルハラは鋭い目をして

「終わる訳がないが…こうでもしないと、止まらない。

 巨大な奔流を止めるには、その奔流が収まるまで待つか、その奔流以上の力で壊すしかない。全く、やってやれないぜ」


 フレアが隣に座り

「辛かったら良いわよ。止めても…」


 ヴァルハラは立ち上がり

「止められる訳がないだろう。もう…分水嶺は超えてしまったからなぁ…」



 ◇◆◇◆◇◆◇


 フランディオ王国とヴィクタリア帝国の堺が合わさった南西部の平原に、十万のキングス級ゴーレムの大軍勢が行進してくる。

 大地が動いているような光景に、ルクセリオン共和国と、それに手を貸している国々の四カ国連合は意気揚々である。


 その動きを送信している飛翔船と、それを受信しているルクセリオン共和国の首都の司令室では、四カ国連合の面子が満足げな顔だ。

 そこにライアーとナレオンもいた。

 ライアーとナレオンは沈黙である。

 他の面子は

「これで、勝ったな!」「我らの力を見せる時が来た」「不条理で横暴な帝国や王国連合に鉄槌を!」

 正に、自分達が正義の味方のように気取っている。


 ライアーが小声で「愚かな…」と口にして、それをナレオンは聞いていた。

 ナレオンは諫言する事無く、小さく頷いた。


 ライアーは席を立ち上がり

「では、後は…これにて…我々の仕事は終わりましたので…」

 ナレオンも立ち上がりお辞儀する。


 面子の一人が

「何を言いますか。一緒に勝利の美酒を楽しみましょうぞ」


 ライアーは冷静な目で

「我々は商売人だ。提供する物を提供して終わりです。後は、それを使う者の責任ですので…」

 ライアーはナレオンを連れて去って行く。


 面子がそれを見つめて

「良いのか? 我々に力を貸してくれた最大の功労者を切り離して…」


「良いじゃないか。手柄の取り分が増える」


 愚かで高慢な言葉を言い放った。


 ライアーとナレオンは司令室となっている建物を背に、ナレオンが

「全ては…計画通りですね」


 ライアーが項垂れ

「全く、昔から何も変わってない。無知、高慢、決めつけで、動くのが上に立つ者の特徴らしい」


 ナレオンが複雑な顔で

「故に、私達は…」

 不意にエドワード王子の事を思い出した。


 ライアーがそれに察して

「すまん。言い過ぎた。とにかく、我々は…高見の見物といこうじゃないか…」



 ◇◆◇◆◇◆◇


 四カ国連合、十万機のキングス級ゴーレムの大軍勢が、フランディオ王国とヴィクタリア帝国の堺になる河川平原に到着する寸前だった。

 十万機のキングス級ゴーレムの大軍勢の前に、僅かか数でしかないフランディオ王国とヴィクタリア帝国のキングス級ゴーレムが数十機、待ち構えている。


『進めーーー』

 四カ国連合の大軍勢は、それを蹴散らして侵攻しようとすると、一隻の飛翔船が現れる。


 その飛翔船にはアルシュが乗っていた。

 船首に立つアルシュは、苦しそうな顔で十万のキングス級ゴーレムの大軍勢を見下ろす。

 その視線には、下がって欲しいという悲痛な願いがこもっている。


 アルシュの乗る飛翔船から大音量の音声が放たれる。


『警告する。汝達は国境を無断に越えようとしている。

 このまま、進行するなら、こちらとして対処を行う。

 警告する。それ以上、侵攻をするのを、止めたまえ』


 警告を発するが、それにキングス級ゴーレムの数機が、攻撃を始める。

 キングス級ゴーレムに備わる魔法砲台から、極太の弾頭が発射され、飛翔船を落とそうとする。


 アルシュは項垂れる。

「もう…ダメだ」


 そして、四カ国連合の大軍勢は、国境を越えて侵攻した。


 宣戦布告もない完全なる侵略戦争行為に、アルシュは絶望し、そこへ飛翔船の艦長が来て

「アルシュ様ーーー」


 アルシュは悲しげな笑顔をして

「艦長、下がってください。そして、言ってきます」


 アルシュは、レッドリーレスを発動して、空へ昇る。


 雲を越え、遙か大地が地図のようになるそこで、アルシュは、今…発動出来る限りのドッラークレス…超龍を発現させた。


 紅蓮の大爆発が起こった。

 それは百キロの大陸クラスを呑み込む程の爆発だ。


 突然の事に、四カ国連合の軍勢は足を止めた。

 その見上げる紅蓮の爆発が、形を形成する。

 それは、龍だ。

 数十キロの大地に広がるキングス級ゴーレムの大軍勢を包み込む程の巨大な翼を持ち山脈の如き多脚と、多腕を持つ巨大過ぎるを越えた、世界を覆い尽くす程のドッラークレスが出現する。

 全長百キロ級のアルシュのドッラークレスが、十万機のキングス級ゴーレム達の上に降臨する。

 それだけで大地が激震し、地面が陥没する。

 二十メータのビル七階建てに匹敵する大きなキングス級ゴーレムの大軍勢が大混乱に陥る。


 それは、ルクセリオン共和国の首都にある司令室に伝わる。

「何が起こったんだーーーー」

 その叫びの後。

 世界中で他にも起こっている二箇所の同じ状況にも、同じく大陸を多い付く程のドッラークレスがいた。


 ジェネシス帝国では、天を貫く程の巨大な漆黒の超龍が、ジェネシス帝国を攻めようとするキングス級ゴーレムの大軍勢に降臨。


 七大連合国を攻めようとする同じキングス級ゴーレムの大軍勢の上に、多翼を背負う大陸クラスの飛翔のドッラークレスが鎮座する。



 アルシュのドッラークレスが降りた大地にいるキングス級ゴーレムの大軍勢が、アルシュのドッラークレスに装備されている魔法砲台の攻撃を放つも、大海に一滴の雫程度でしかない。


 アルシュのドッラークレスから

『警告したよ。侵略をするなら、対処するって』

 その巨大な大地を食らう程の顎門を開くと、翼が広がり胸部も開き攻撃態勢に移行。

 世界を滅ぼすレベルの攻撃を放った。


 侵攻したキングス級ゴーレムの大軍勢のいる大地が完全に粉砕、爆発して海と繋がる程の海になり、十万機のキングス級ゴーレムが全滅、その後、放った咆吼は雨の如く拡散、ルクセリオン共和国とそれに協力したギリシオ共和国、ルーレル共和国、ファリダン共和国の四カ国連合に広がり数千キロ級に渡って国々を蹂躙した。


 それは他の二体のドッラークレスも行った。

 攻めようとした中華南共和国、七大連合国の南にある二国にも。


 世界大戦が始まろうとしていた戦いは、三柱のドッラークレスの圧倒的過ぎる力によって鎮圧され、戦争を起こそうとした国々は…停戦を申し出た。

 余りも被害が甚大だった。


 戦争を止めようとしたフランディオ王国のディリオス王は、ルクセリオン共和国に捕まっていたが、アルシュの起こした事態に乗じて、エドワード王子が助け出した。



 この戦いの後、アルシュは自身のドッラークレスを解除すると、その破壊によって誕生した海域に巨大な赤きロゼッタストーンの大地が広がった。



 そして、宣戦布告もしないで奇襲で戦争に勝とうして負けた国の末路は、悲惨であると決まっている。

 ルールを守らない者に、ルールの恩恵は与えられない。

 厳しい法もまた法であるように、滅茶苦茶な搾取だけの法は、法ではないが…。

 お互いの立ち位置がある法は、守れば…その法によって守られ、暴走しないように制御出来る。

 確かに法やルールは縛りあって苦しいが…それによって守られてもいるのだ。


 そう勝てば官軍は、勝てば許されるという横暴であり、勝てなかった場合は、自ら掲げた横暴に殺されるのだ。


 この事態を起こした国々は、絶望していた。どんな非情が待っているのだろうか…。


 自らを正当化した悪が、今、自らを殺しに掛かってきた。


 その状況を、ライアーは大型飛翔船でナレオン達と共に見ていた。

「全ては計画通りだ」

と、ライアーは満足だった。

「はい、ですね」

 ナレオンは頷いた。

 彼らが部屋で見る報道の画面には、この戦争に勝利した事で沸き立つヴィクタリア帝国とフランディオ王国、ジェネシス帝国に七大連合国の人々が映っていた。


 そして、ヴィクタリア帝国の皇帝城の正面広場には、特設台が設置され、その功労者であるアルシュとインドラにヴァルハラの演説が始まろうとしていた。

 広場には何万人というヴィクタリア帝国の国民が集まり、勝利の歓喜に奮起し叫んでいる。


 ライアーは

「さあ、最高のショータイムの始まりだ」


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

ありがとうございます。

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