ライアーの脅威
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ライアーのやろうとしている事とは…
ライアーは己の飛翔船、アズヴァンドへ入り、発令所に来ると…
「おかえりさない」
ナレオンが近付く。
ナレオンは囚人服ではない、キレイな上質の深紅の軍服に身を包んでいた。
ナレオンと同じくフランディオ王国の監獄島から逃げて来た同士達も同じ深紅の軍服である。
ライアーは仮面の奥にある目を細め
「失敗した…」
ナレオンは肩を竦めて笑み
「そうですか…。で、計画には?」
ライアーは口だけの笑みで
「なんら問題も支障もない。予定通りだ」
ナレオンは右手を翳し
「では、ルクセオン共和国へ向かう!」
そう命令を告げると、同士達がアズヴァンドの行き先をフランディオ王国の南南東、ヴィクタリア帝国南南西に接しているルクセオン共和国へ向けた。
ルクセオン共和国、ワールストリアの北部は、アルシュがいるヴィクタリア帝国が大半を占め、その西隣に、ヴィクタリア帝国の隣国であるフランディオ王国がある。
その北部の下、赤道から北上は、多くの国々が存在している。
赤道付近は、ヴァルハラがいる七大連合国があり、南部は、カメリア合衆国とジェネシス帝国が、その二つの大きな国から七大連合国の間にも同じく多くの国々が点在している。
ルクセオン共和国、北部赤道の上の、この国は人口が五千万である。
そして、赤道の上にある故に…とある問題を抱えていた。
農業の困難地である。
ワールストリアの北部と南部は、最果てに極寒の極地を抱えているので、赤道で温められた湿った対流が、その極寒に触れて雨になり、更に北部のフランディオ王国とヴィクタリア帝国は龍樹という環境をコントロールする特別な存在の力のお陰もあって食料の生産、農業がしっかりとしていて食料生産が豊富なので他国に輸出している。
南部も、同じく極寒の地のお陰で雨が潤沢で農業が盛ん、食料を輸出している。
赤道上の七大連合国も、大気熱によって湿気がある上昇気流の雨があり、食料を潤沢に生産できる。
では、その中途地帯は…乾燥地帯であり、砂漠や荒野が多い。
故に、北部、赤道、南部の国から食料を輸入している。
無論、輸入…購入するなら、それ故に対価も支払っている。
つまり、何かで輸入食料を手にする必要性があるので、その対価を払える産業を維持するしかない。
主に、その中途地帯は…工業や衣類、紙類といった産業が発達した。
だが…こういう産業には栄枯盛衰がある。
正直、工業は地球と同じくワールストリア全域に広がっている。
だから、競争という現象も必然としてあり…それに敗れれば…力を失う。
それはドミノ倒しのように連鎖的に広がる。
始まりは、ジェネシス帝国の復興だった。
カメリア合衆国に敗戦して、窮地だったジェネシス帝国が、突如、復活した。
それはインドラの手腕によって…。
そこから始まった。
カメリア合衆国の勢いが下がり、保護政策のような事を始めた。
それが引き金となり、赤道の国々も纏まり七大連合国という連座国家群になった。
一度、放たれた小石の波が、大きな波となって池をざわつかせるように波の連鎖の如く世界が閉塞的になる。
更に打撃が来る。ウェフォルの異常発生だ。
例年なら、ウェフォルの発生は片手くらいが、両手を越える程の発生が各地で生じる。
国々は、ウェフォルの対処に追われて外への流出を控えてしまった。
全てが悪い方向へ回りだした。
外に食料を依存していた国々が、食料を手にする事が出来ず、そして…働いても食えない事態が起こり、産業は衰退。
失業者が溢れ、国の治安と生活は悪化。
そこへ、七大連合国や北部と南部の国で食えなくなった非合法な会社が入り込み、更なる搾取が始まった。
救援を求めた国もあった。
無論、救援を行ったが…元からあった国内の組織や、産業が救援した国のそれと置換されしまった。
属国の始まりだった。
七大連合国や、カメリア合衆国が、属国を衛星国家を増やしていった。
食えないだけマシだと、属国になった者達は受け入れるも、それを見た周辺国には、それを是としない者達が多かった。
そして、ますます、国は荒れた。
属国になるのを反対する者達、そうならないと食っていけない者達。
国が二分する事態が、各国々で起こった。
ルクセオン共和国もその渦中にあった一つだ。
とある結論がされた。
食料をくれない国を滅ぼして奪えばいい、そんな狂気に国は取り憑かれた。
ルクセオン共和国は、他の隣国、ギリシオ共和国、ルーレル共和国、ファリダン共和国と結託して、フランディオ王国を非難した。
自分達が苦しい理由は、そこにあると…民衆の憎しみをフランディオ王国に向けさせた。
フランディオ王国の人口は二億五千万だ。
ルクセオン共和国と結託した国々の総人口は二億三千万だ。
数的に五分五分だ。
だが、そこへヴィクタリア帝国が絡んだ。
隣国にして同じ龍樹を持つ盟友国を救う為に、結託した。
それに、同じく中途地帯にあった王国達も加わった。
それによって、ルクセオン、ギリシオ、ルーレル、ファリダンの四つの国の暴走の防波堤となった。
そして、同調してくれた中途地帯にあった王国達には、フランディオ王国とヴィクタリア帝国から援助があった。
それによってますます、ルクセオンの四国家と、フランディオ王国とヴィクタリア帝国の連合との間に溝が生まれたが…戦争は起こせなかった。
疲弊している四国家には戦う余力がない。
方や、フランディオ王国とヴィクタリア帝国の連合には十分な兵站がある。
戦えば、火を見るより明らかだ。
睨んだいるだけの四国家に、ライアーが接触する。
そして、戦えるだけの装備を提供した。
正に開戦の寸前である。
その知らせをヴィクタリア帝国に皇帝、アルファスが聞いたのが、フランディオ王国の王子、エドワードがライアーの再来を知らせたと同時だった。
ライアーの六枚もの巨大な飛翔翼がある飛翔船が、ルクセオン共和国の軍事基地の上空に来る。
そこには夥しい数のキングス級のゴーレムが並んでいる。
その数、十万機。
二十メータ近い巨体の軍団を下にライアーが怪しく笑み。
「これからが楽しみですね」
と、ナレオンが隣に来る。
ライアーは肯き
「どう転んでも面白い事になるさ」
そう、ライアー達は、四国家達を焚き付けた。それに値する膨大な物量も与えて…。
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