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ぼく最強の皇帝になります!  作者: 赤地鎌
11歳から

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35/63

アルシュの十二歳誕生日

次話を読んでいただきありがとうございます。

よろしくお願いします。


アルシュは許嫁が出来ての12歳の誕生日に…


 オラ、アルシュ。もう十二歳になるぞ。地球で言うなら小学六年生だ。

 まだまだ、ガキだが…どういう訳なのか…恋人が出来たぞ。どうしよう…。



 アルシュは悩んでいた。

 どう…ルシェルと接すればいいのだ?


 前世の中山 ミスルは、生涯独身だった。

 恋人くらいはいたろうと…ツッコまれそうだが…本当にいなかった。

 作ろうと頑張ったが、全く出来ない。

 その才能がないのだ。人には出来ない事がある。

 脚が速い者、頭が良い者、作るのが上手い者。

 様々な人々の能力が絡み合って世の中は出来ている。

 当然の如く、恋人を作るのも上手い者がいる。

 それは人の程度によるが…だいたいは…何とか出来たりして、結婚する人がいる。

 世の中の多くの人達は結婚するのだ。

 だが、残念なのか、それともその反動なのか…中山 ミスルは、政治、経済、技術といった分野の知識や能力を得る才能はあるが。

 その代わり、全く異性と付き合えない。

 これは、もう…性分だ。

 何度でも言おう、誰でも才能はある。それが、別の方まで通用するとは限らない。

 仕事が出来る人が、どんな事でも出来るとは限らない。


 だから、今世のアルシュでは…どうやって許嫁という、恋人を扱えばいいか全く分からない。


 アルシュは自分の部屋で頭を抱えて

「どうしよう…」

と、悩んでいた。


 ルシェルと相性が悪い訳ではない。

 週に一度の武術の訓練の時は、ルシェルと一緒に武術の修練をする。

 ルシェルは手取り足取り教えてくれる。

 意思疎通は良い。

 それ以外にも、最近は、ルシェルが加わって、アルテナ、ノルン、カタリナ、自分と五人で遊ぶ事が多い。

 アルテナはルシェルと、遊んでいるともの凄く不機嫌になる。


 アルシュはそれでも頭を抱える。

 ルシェルと二人で話したり、何かした後、アルテナは無言で唇を噛み締めて睨み、自分の頬を摘まむ。

 結構、痛い。

 アルテナは異母兄姉である。


 前世の中山 ミスルの時は、少し下の妹と弟がいた。

 弟とは関係が良好だったが…妹とは、関係が悪かった。

 妹が小さい頃までは、普通だった。

 それが成長して、13歳になると、まるでゴミを見るような目で睨まれた。

 多分、理屈っぽく暗い感じが嫌いなのだろう。

 だから、妹という者は、女姉妹を持つ兄は、姉妹達に嫌われるというのが当然だと、思っていた。

 無論、学生時代の同じ姉妹を持つ男友達も同じだった。


 アニメオタクという人種が、むかし、何処かのテレビコメンテーターの所為で、犯罪予備軍みたいに呼ばれて、今でも、18時のニュースにジャーナリストなんて偉そうなご身分で、さも当然の如く平然と、バカな言葉を垂れ流して、自分が正義の味方気取りだった。

 そんな、アニメオタクもあって、妹にもの凄く嫌われ続けて、37年の人生を終えた。

 


 そして、今世のアルシュ

「まあ…そういうもんか…」

 コレも、姉妹という家族を持つ、男の宿命なのだから…。

 人生、諦めるのが上手く行くコツ、見切りを付けるのが、上手に渡るコツだ。


 あまり…アルテナの家に…正妃様の城へ行くのは控えよう。


 そうして、過ごす時、正妃ヴィクティアがアルシュの12歳の誕生日パーティーをしようと申し出てくれた。

 大きなパーティーではない。

 親族とアルシュの友達だけのパーティーだ。

 大きくして、前の時にように面倒な事になってはしかたない。


 まあ、いい落とし所だろうと…アルシュは反対しなかったが…これが後々に…。



 アルシュ、12歳の誕生日パーティーの日。

 会場は、またしても正妃の城だった。警備上の都合である。

 ヴィクタリア帝国の皇帝一族が揃うのだ。

 警備がやりやすい場所が選ばれるのは当然だ。

 そんな誕生日パーティーに、ノルンとカタリナの二人に、ルシェルと兄ユースに、ユースの幼馴染みのノアドも来た。

 

 アルシュは、誕生日パーティーの場をクルクル回る。

 まあ、アルファスの妻達が談笑をして、多くの姉妹達が、走ったり食べたり話したりと楽しげに過ごす。

 そこへノアドが来て

「よう、がきんちょ」

 アルシュは顔を引き攣らせ

「何?」


「豪勢なパーティーだな」

 ノアドは笑む。


 アルシュは肩を竦め

「誕生日パーティーにかこつけた。みんなの交流会さ」


 ノアドが

「あっちで一緒に食べようぜ」


 ユースとルシェルがいるテーブルを顎で示す。

 

 ルシェルが、アルシュを呼んでいる視線を向ける。

 アルシュは肯き

「分かったよ」

と、ノアド共にルシェルがいるテーブルに行く。

 

 その場景を、ルシェル達の保護者として来た陸軍大将ダルシュンが見て微笑んでいた。

 そこへ、ヴィクティアが来て

「今日は来て頂きありがとう」

 

 ダルシュンは、ヴィクティアにお辞儀して

「いいえ、こちらこそ…呼んで頂きありがとうございます。正妃様」


 ヴィクティアは思慮深い瞳で

「アルシュから聞きました。貴方の孫娘と許嫁になったと…」


 ダルシュンが伏せ目がちに

「条件付きですがね。孫娘にアルシュ様より、好きな者が出来るまで…というね」

 

 ヴィクティアは

「アルシュは、優しい子です。相手にとってメリットがある条件で結ばせた。

 相手の立場と気持ちを考えて物事を考えられる力がある。

 素晴らしい力です」


 ダルシュンが

「私は思うのです…。何時か…アルシュ様が…何か大きな事をするのでは?とね」


 ヴィクティアもアルシュを見て

「そうですね。その時…どんな事が起こるのか、想像は出来ませんが。

 その予感は、わたしも感じます」


 ダルシュンが

「見守り続けましょう」




 アルシュはルシェルの元へ来ると

「アルシューーー」

と、ルシェルはアルシュの腕に抱き付く。


「ああ…ようこそルシェル」

 アルシュはちょっと引き攣り笑みになる。


 ルシェルはアルシュに触れられてご満悦だ。


 アルシュは悩む。ルシェルとの距離感をどう取れば…。

 前世でも経験が全くない恋人の出現に、アルシュは困り果てていた。


 そんなアルシュの困っている様子をユースとノアドが察し

「アルシュくん。そんなに力まなくていいよ。ゆっくりとつき合えばいいから」

と、ルシェルの兄ユースが告げる。


 ノアドが自慢げに

「もし、分からない事があったら、経験豊富なオレに頼れ」


 アルシュは、内心でユースにだけは頼ろうと思った。


 ルシェルがアルシュの手を握り

「あっちに行こう」

と、夜空が見えるベランダへ誘う。


「ああ…うん」とアルシュは、言われるまま連れられようとすると、アルテナが空いている左手を取り

「こっちに来て、妹達に挨拶をしなさいアルシュ」

 苛立ったアルテナがいた。


「ええ? ええええ」とアルシュはどっちに行こうか困惑していると、ルシェルが


「何よ。あたしの方が先約よ」

 ルシェルが前に出る。

 

 アルテナも前に出て向かい合い

「家族の方が大事なんだから、当然でしょう」

 

 アルシュの目の前でルシェルとアルテナが睨み合う。


 ええええええ!とアルシュは無言の驚愕に包まれる。


「何よ! 何時も何時もアルシュのいようとすると邪魔してーーーー」

 ルシェルが吼える。


「当たり前でしょう! アルシュはわたしの兄姉で、わたしのナイトなのーーーー」

 アルテナも吼える。


 けんか腰状態の二人にアルシュ

「ちょ、ちょ…待って…二人とも」


 止めようとするアルシュ、睨み合うアルテナとルシェル。

 全員の視線がそこへ集中する。

 正妃や継室達は、アルシュを取り合ってアルテナとルシェルが言い合っているのを察して、暖かい笑みをする。 

 ノルンとカタリナも同じく分かっていて

「何やってんだよ…あの二人…」

とノルンは呆れていた。


 アルテナとルシェルの言い争いはヒートアップする。

「なによ! 他人のアンタにアルシュの何が分かるのよ!」


「アタシは、アルシュの許嫁なの! アルシュの事をもっと知りたいって悪い訳!」


「時と場合を選びなさいよーーー」


「なんで、アンタに指図されないといけないのよーーー」


 ケンカ状態の二人にオロオロするアルシュ。

 そこへ父アルファスが来て

「アルシュ」

と、アルシュの背中を持ち

「ここは黙って二人が収まるまで待ちなさい」


 アルシュは父親を見上げ

「で…でも…いいの?」


 父親アルファスは

「こういう、女性同士の感情がヒートアップした会話の場合は、二人が言い合うまで待った方がいい。手が出たら離して止めて、言い争わせる。それで十分だ」


 アルテナとルシェルの言い争いが暫し続く。

 もの凄く捲し立てて、言い合う二人。


 本当に大丈夫かな…?とアルシュは不安げに見ていると、アルテナとルシェルはお互いの言いたい事を全部言い合って、感情をぶつけ合うと、すっと二人が大人しくなった。


 ルシェルが

「そのまあ…アンタの言い分も分かるわ…」


 アルテナが

「そうね。わたしもちょっと言い過ぎたわ」


 アルシュはそれを聞いて、言い過ぎたの? もの凄い事、言ってたぞ!と困惑する。

 

 ファリティアが、アルテナとルシェルの所へ来て

「さあ、一緒に食べましょう」

 二人の背を押して運ぶ。


 それを見てアルシュは「ええええ」と、固まる。

 本当に何事もなかったかの如く収まっている。


 アルシュが理解不能でいると、アルファスが

「女の人ってのは、爆発した感情を全て噴き出ささせてしまえば、後は落ち着きを取り戻す。それが男と女の違いだ」


 アルシュが呆然とした目で

「信じられない。どうして…そんな…」


 アルファスは

「男は、怒りが爆発すると、それなりの理由がなければその、怒りは収まらない。

 だが、女は、感情だけ爆発してその後が持続しない。

 だから、感情的になって酷い事を言っても気にするな。女、感情を吐き出した後、言った言葉を忘れているからなぁ」


 アルシュは顔を横にそむけ呆然として

「一生、女の人を理解出来ないかもしれません」


 アルファスは息子の、意外な一面を見て笑む。

 どこか、全てを見通したような雰囲気がなく、そこには悩んでいる我が子がいた。

 アルファスは

「いいさ、理解しなくてもいい。そういう性質があると思えばいいんだ」


 アルシュがアルファスに

「その…お父さん。お父さんが知っている女性についての事…色々と教えて貰ってもいいですか?」


 アルファスは肯き

「ああ…教えてやるぞ」


 父と子の会話が始まった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

ありがとうございます。

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