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ぼく最強の皇帝になります!  作者: 赤地鎌
11歳から

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28/63

アルファスの言葉

次話を読んでいただきありがとうございます。

よろしくお願いします。


アルシュは、アルファスから後継内戦という歴史を聞く。

 オラ、アルシュ。レイール道場でアリアさんと、年上のお兄さん達が言い争っていた事があった。

 その言い争いにあった、後継内戦って…。



 アルシュは父親が母親ファリティアのメルカバー屋敷に来たその日、父親に近付き

「ねぇ…父さん…」


「ん? どうした」

 父親のアルファスが首を傾げる。


 アルシュは言い辛そうに

「後継内戦って何?」


 アルファスの顔が驚きで固まった。


 ああ…やっぱり聞かない方が良かったか…とアルシュは

「やっぱり、いいや…」

と、離れたが父親アルファスが


「待ちなさい」


 止めてアルシュに近付き

「聞きたいかい?」


「いいの?」

 アルシュは不安げな顔を見せる。


 アルファスが

「お前なら、これを聞いた所で、他の所で問題にはしないだろう」


 正直、アルシュは自分なりに与えられた魔導端末で、この世界のネットワークを探って調べたが…具体的な情報はなかった。

 ただ、ヴィクタリア帝国で15年前に内戦があって多くの死者が出たくらいしかない。


 まだ、十二歳までの初等部くらいでは、詳しく教えてもくれない歴史である。


 アルファスは、アルシュと二人っきりになれる部屋に来て、大きなソファーに一緒に座って語り出した。


「あれは…私がまだ、18の時分だった。

 このヴィクタリア帝国では、どのように皇位が決まるか…知っているか?」


 アルシュは肯き

「龍樹と呼ばれる大地を豊穣に満たす。

 特別な巨大な結晶の樹が扱える者が皇帝になるんだよね」


 アルファスは肯き

「そうだ。その龍樹を使える者は、その龍樹に力を与えるオーラ、ドラゴニックフォースを持っている。そのドラゴニックフォースが強い者が次期皇帝になる」



 その当時、アルファスの上には四人の兄がいた。

 その四人の兄達の一番上の長男が、最も強いドラゴニックフォースを持っていたので、行く行くは、長兄が皇帝になると、そう兄弟達でも自然に決まっていた。


 そのお陰か、長兄以外の弟達は、自由な気風に将来のパートナーを選ぶ事が出来たのだ。


 その当時のアルファスは、幼なじみで、付き合いが長く、ゴーレムを作るのが好きだったので、必然と、ゴーレムを作る一角の家系、メルカバー家のファリティアと近くなり、将来は…ファリティアのいるメルカバー家へ入る事になっていた。

 アルファスも、ファリティアもそれで幸せだった。


 そんな幸せな日々が、突如、終わりを迎えた。


 次男の母、当時のヴィクタリア帝国の皇帝の継室の一人が、とある魔術師を抱えた。

 名をライアー・ラーテップ

 仮面を被り、黒いローブに全身を包む不気味な長身の男であったが…魔術の腕はピカイチだった。

 強力な魔導具やアイテムを作り、更に裏に通じているのか、諸外国の裏事情も周知していて、度々、予言に近い予測を言っていた。


 まあ、継室としては面白半分の賑やかしの気分で囲っていたが、ライアーがとある秘薬を作ったとして、それを説明する。

 それは、血の中に潜む力を強く目覚めさせるという秘薬だった。


 継室は怪しさ満点だったが、ライアーがその秘薬を鼠に試すと、鼠が飛んでも無い力を発揮して継室を驚愕させた。


 ライアーが言う。

 これを次男に飲ませれば、皇位継承者である長兄と同じドラゴニックフォースに目覚めると…。


 継室にはとある秘めた欲望があった。

 自分の子を皇帝にしたいという欲が。


 それに継室は乗ってしまい、無断で息子の次男に飲ませた。


 次男は、長兄と同じ強いドラゴニックフォースに覚醒した。


 それが全ての間違いの始まりだった。


 それぞれのアルファスの兄弟を産んだ継室達は、様々な軍の権益と通じていた。

 その中でも一番大きな権益が、陸軍だった。

 陸軍の中にある派閥が、長兄以外の四人、アルファスを含めた者達全員に、ライアーの秘薬を飲ませてしまった。


 全員、皇帝継承に相応しいドラゴニックフォースを覚醒してしまい。


 皇位継承を巡る派閥の争いが始まった。


 次期皇帝を選ぶのは現皇帝である父親の指名である故に、どんなに兄弟達を担ぎ上げようとする派閥が現皇帝を説得しても、頷かせる事は出来なかった。

 無理矢理、目覚めさせられた兄弟達も、父がそうなら…と安心していた。


 だが、突如として父親は毒殺された。


 突然の死にヴィクタリア帝国は激震し、そして…次の皇帝を…とした時に、担ぎ上げようとした者達が暴れた。

 次の皇帝は、我らの皇太子だと。


 遺言も残っていない皇帝継承は、遂に内戦にまで発展した。


 長兄、次男、三男、四男の各四つの派閥による争い。


 アルファスはこれから逃れる為に、正妃となるヴィクティアの方へ逃れた。

 当時のヴィクティアは、皇帝の親戚という位置で、ヴィクタリア帝国でも勢力が小さい海軍の方だった。

 だからこそ、巻き込まれない為にも海軍へ逃げて、次の皇帝が決まったら、その者に従うと誓いをした。


 上の兄弟四人達は、望みもしない担ぎ上げられた皇位継承の内戦に真っ只中へ投下されたのだ。

 

 この内戦をしていたのが、陸軍だった。

 四つに割れた陸軍は、内戦を繰り返し帝国が幾つにも割れ、酷い戦いを繰り広げた。


 そして、あろう事か…この内戦に他国まで絡んできた。

 ワールストリア北部での巨大な帝国での優位を取る為に近隣他国まで絡んだ大戦争になり、国は疲弊した。


 ヴィクティアと、アルファスは現状に絶望し、とある算段を開始する。


 内戦をしている陸軍達の疲弊を始めた。

 

 まずは、空軍と海軍が手を組み、力を貸す近隣諸国の援助のルートを全て潰した。


 疲弊する陸軍は、物資を求めて国内を襲う賊と化して、それを海軍、空軍主導で叩いた。

 ヴィクタリア帝国の民は、この最悪な内戦によって陸軍を完全に見放し、止めようとする海軍、空軍のヴィクティア達へ力を貸した。


 陸軍は四面楚歌となり、ジワジワと力が奪われた。


 そんな四つに割れた陸軍が取った最後の行動は…玉砕覚悟の相手陣営への攻撃だった。


 その結末は…四つとも全て滅んだ。

 長兄、次男、三男、四男、四人は、その戦場で散った。

 そればかりか、兄弟達の母親や、前皇帝の妻、もっとも前皇帝に近い血族全てが、アルファスを除いて全滅した。


 アルファスだけが皇帝として残ってしまった。


 残った陸軍は、アルファスを担ぎ上げようとしたが、アルファスは、この内戦を起こした者達の断罪を厳命、それに陸軍は、投降して許しを求め、それが出来なかった者達は、皆、大罪の逆賊として潰された。


 ヴィクタリア帝国で一番強かった陸軍の権勢は完全に失墜。

 内戦を終わらせた海軍と空軍の権威が上がり、それに通じていた現在のヴィクティア達正室と継室達が、大きな力を得た。

 後に空軍は、中立として正妃達から距離を取った。


 後に、二年も続いたこの内戦は、継承内戦と呼ばれ、死者5000万人を出した。今までに類を見ない大内戦として歴史に刻まれた。

 15年たった今だからこそ、人口は9億まで回復したが、この内戦での死者と、内戦が原因による後の死者を合わせると1億に近い帝国民が犠牲になったのだ。


 陸軍は、その命令権及び、予算権、行使権を没収され、抜け殻となった。


 皇帝となってしまったアルファスに待っていたのは、愛していたファリティアとの婚姻を諦めて、ヴィクティア達と結ばれるしかない事態だった。


 ファリティアのゴーレムを作る系譜達は、陸軍にゴーレムを提供していた側だった。

 

 非道の内戦を助長した側との結び付きは、帝国民も許さないし、認めなかった。


 だが、アルファスはどうしても…ファリティアを諦める事が出来ず。

 ファリティアを妾にするしかなかった。


 本当は、ちゃんとした妻として向かい入れたかった。

 

 ヴィクティア達、海軍へ逃げる事を導いてくれたのも、ファリティアの力だった。


 だが、やはり…それはムリだった。


 なぜ、あの時、皇帝になりたいという欲など継室達から出てしまったのだろうか?


 ライアーという怪しい魔術師なんて入れなければ…。


 因みにライアーは…内戦中に死んだとなっていた。

 だが、力のある魔術師だ。死んだ事にして何処かで生きているかもしれない。


 これが今におけるヴィクタリア帝国での陸軍と海軍との確執の始まりだった。



 アルファスがアルシュに語り終えて

「そういう事だ」


 アルシュが項垂れ

「そう、そんな事が…」


 アルファスはアルシュの肩を抱き

「そんな事がなければ、私はファリティアとちゃんと結ばれて…

 こんな事にはさせなかった筈だ」


 アルシュがアルファスを見上げ

「でも良かった。ぼく、ドラゴニックフォースが無くて…」


 アルファスが固い顔をして

「そうだな、もし、あったら。陸軍の誰かが…お前を担ぎ上げたかもしれん。

 だがなぁ…アルシュ。お前の力は…ヴィクタリア帝国の皇族が受け継ぐ

 ドラゴニックフォースより強大に思える。

 アルシュを、新たな皇帝の権威として、担ぎ上げる者が出てくるかもしれんぞ」


 アルシュはフッと笑み

「そうなったら、この国から逃げるだけさ。父さんみたいね」


 アルファスは渋い顔をして

「私は、そうならないように願っているし、行動もする。

 アルシュ、お前は大切な私の息子だ。私の所為で不幸にさせる事なんて絶対にさせない」


 アルシュが難しい顔をして

「でも、分からないよ。権力が欲しい人ってのは、どんな手を使ってでも取りに来るから」


 アルファスはアルシュを抱き締め

「大丈夫だ。どんな事があっても、お前だけは必ず守る」


 アルファスに抱き締められるアルシュは、その今は大きな父親の腕の温もりを感じ


 まあ、信じてみよう。今だけは…。

 

 それは、今の状態が維持されれば大丈夫かもしれない。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

ありがとうございます。

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