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第71踊 咲乃は猫?ウサギ?それとも、、、衣装決め始まる!

午前中の体育祭準備が終わり、午後からは各クラスで仮装行列の衣装作りが始まった。


ヒロキングと上野さんが意見を聞いて、誰が何の動物をやるか決めている。


「みんな、なんの動物にするか決めたかー?」


クラス中がわいわいと意見を交わし、活気に満ちていた。


まるでお祭りのような雰囲気で、こういうのも悪くないなと思う。


女子グループのほうは特に盛り上がっていて、その中心には咲乃がいた。


「咲乃ちゃんは猫がいいよー!子猫みたいだし、かわいい!」


「いやいや、咲乃ちゃんはウサギだよ!強気な女の子のウサギ姿、このギャップに勝るものなしだよ!」


……両方ともありだな。


そんな咲乃の姿を想像していたのがバレたのか、咲乃にキッと睨まれる。


「私はレッサーパンダをやる!」


咲乃がぴしゃりと告げると、周囲から「おお!」と歓声が上がった。


レッサーパンダ——確かに、ちょこちょこと動く姿は似合うかもしれない。


「秋渡は何にするの?」


咲乃が話を振るからおのずと、クラスの女子たちの視線が僕に集まっていた。


何にするかなんて、正直まったく考えていなかった。


「えっと、まだ決めてなくて……」


言葉を濁していると、誰かが「あっ、じゃあ片桐くんは狼がいいんじゃない?」と言った。


「え?」


周囲が一斉に頷く。


「うん、わかる!」


「絶対似合う!」


満場一致の決定。


なぜ狼なのか、疑問に思う間もなく、咲乃にまたキッと睨まれた。


さらに、その場で足を軽く蹴られる。


「なんで蹴るの!? いや、なんで怒ってるの!?」


「べっつにー?」


そう言いながらも、彼女のほっぺはわずかに膨らんでいる。


……もしかして、少し気に入らなかったのか?


「いやいや、お前こそなんでレッサーパンダなんだよ?」


「可愛いからよ!」


開き直ったような宣言に、周囲の女子たちが「確かに!」と同意する。


そして、そのやりとりを見ていたヒロキングと上野さんがくすくすと笑っていた。


「お前ら、ほんと仲いいよなー」


「まるで漫才コンビみたいだよね」


「「はぁ!? どこが!?」」


咲乃と僕は同時に声を上げたが、二人はさらに笑いをこらえきれずに肩を震わせていた。


こうして、僕たちの担当動物も決まり、クラス全体で衣装作りが本格的に始まっていくのだった。


担当動物が決まったので、今度は必要な布などを買い出しに行くことになった。


布の調達係として選ばれたのは、ヒロキング、上野さん、僕、そして咲乃。


さらに、買い出しのために天使先生が車を出してくれることになった。


「先生、車出してくれるってさすがすぎませんか?」


「まぁ、担任の先生として、できることは協力するよー」


先生はいつもながらのゆるい笑顔でそう言った。


行き先は郊外にある布専門店。


長さを指定して量り売りしている店で、破格の値段で手に入るらしい。


クラスに残る人たちは、衣装の型紙を作ったり、山車の準備をしたりしている。


「よーし! じゃあ行くぞ!」


先生の掛け声とともに、僕たちは車に乗り込んだ。


ヒロキングが助手席に座り、上野さん、咲乃、僕の順で後部座席に座った。


咲乃の機嫌もなおったのか、終始ご機嫌だった。


「秋渡、布の種類とかちゃんとメモしてるわよね?」


「お、おう。ちゃんとしてるよ」


実はさっき上野さんにも言われて、慌ててスマホにメモを取ったのは内緒だ。


「ふふ、怪しいわね。まぁ、私もしてるから大丈夫だけど」


咲乃がニヤリと笑う。


弄ばれただけだった。


しばらくして、目的の布専門店に到着。


店内は広く、様々な種類の布が並んでいる。


「レッサーパンダ用の布、どれがいいかな?」


咲乃は真剣な表情で布を選び始めた。


その横で、僕も狼用の布を探す。


「お、これとかいいんじゃない?」


僕が選んだ布を見せると、咲乃がじっと見つめた後、「……まぁ、悪くないわね」と頷いた。


なんだ、その上から目線は。


メモを見ながら他の布を手に取っていると、


「ちょっと見せて」


突然、咲乃がぐっと僕の腕を掴み、布をじっくりと確認し始めた。


思いのほか距離が近くなり、彼女の髪の香りがふわりと漂う。


「……っ」


なんか、妙にドキドキする。


「な、なんだよ」


「別に? ちゃんと確認してるだけ」


それだけ言うと、咲乃は満足したように布を手放した。


でも少し頬を赤らめていたのは気のせいだろうか。


「先生! これでどうですか?」


ヒロキングたちも布を選び、天使先生に確認してもらう。


先生は「うんうん、いい感じだねー」と満足そうだった。


「先生は何の動物担当なんですか?」


「私はねー、飼育員!クラスのみんなを飼育員するんだよー」


にこっと笑いながら、先生はそう言った。


そこだけ聞くとすこし物騒に聞こえますよ先生。


こうして、僕たちは必要な布を購入し、クラスのみんなが待つ学校へと戻るのだった。



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