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第54踊 期末テストを突破したら、なぜかヒロインたちが迫ってくる件

期末テストが全て帰ってきた。


今回はしっかり対策をしたからだろうか。


学内順位も一気に上位、25位へと上がった。


自分の成績としては出来杉なことは否めない。


ほんと、勉強会には感謝しかないな。


今日は終業式であり、午前で終わり、部活動も休みの日だ。


明日から夏休みであり、今日はみんなで成績発表会をする予定になっている。


佳奈といづみは大丈夫だろうか。


帰り支度をしていると咲乃がやってきた。


「秋渡とヒロキング、さっさと準備しないと置いていくわよ」


「待たせたな、今準備できたところ!いこうか」


どこへ行くかというと、いづみの家にお邪魔することになっていた。


お昼ご飯もご馳走してくれるらしく、最初は申し訳なくて断っていたが、ご好意に甘える形となった。


3人で学校を後にしながら、咲乃がふと思い出したように言う。


「ねえ、手ぶらで行くのもどうかと思うのだけど」


「確かに……何か買っていった方がいいかもな」


そんなわけで、途中でケーキ屋に寄ることになった。


店内に入ると、ヒロキングがすぐにショーケースの前へ向かい、目を輝かせる。


「いやぁ、どれも美味そうだな。ここは大きめのホールケーキでも買うか?」


「いくら何でも食べきれないでしょ」


咲乃が呆れたように言うが、ヒロキングは「夢があるじゃないか」と笑っている。


最終的に、小さめのケーキをいくつか選び、いづみの家へ向かった。


こういう気遣いができるところは流石女の子だなと思う。


玄関のチャイムを鳴らすと、いづみのお母さん、なつみさんが優しく迎えてくれた。


「いらっしゃい、みんな。暑かったでしょ?」


「お邪魔します!」


家に入ると、すでに佳奈が到着していたらしく、「遅いよ3人とも~、私お腹ぺこぺこだよ~」とぐぅたれていた。


「……お前、もうちょっと遠慮ってものを覚えろよ」


「えー、でもお腹空いたし……あ! これケーキ?」


「いづみの家にお邪魔するんだから、何か持ってこようって話になってさ」


「おおー、ナイス!」


ダイニングテーブルには唐揚げなどの一品料理から、様々な薬味と素麺が茹でられていた。


なつみさんは「簡単なものでごめんね~」と言っていたが、とても美味しそうだ。


いづみはみんなの分の食器を準備していたが僕たちに気がつくと「ようこそ!」と微笑んでいた。


みんなでテーブルに座ってご飯を食べた。


なつみさんのご飯はとても美味しくなつみさんの料理上手な一面を感じた。


さすがいづみに料理を教えてる先生である。


「めちゃくちゃ美味しいです」


「ふふっ、ありがとう。沢山あるからみんな沢山食べてね!」


素麺をすする音、唐揚げを頬張る咀嚼音、そして笑い声がダイニングテーブルを囲んで響き渡る。


いづみの家の食卓は、思った以上に賑やかだった。


「秋渡、そこの薬味取って」


「はいはい」


咲乃の隣でネギの小皿を渡しながら、ふと隣を見ると佳奈が妙にニヤニヤしている。


「……何?」


「いやー、秋渡ってさ、意外と世話焼きだよね」


「そうか?」


「うん、でもそういうとこ、モテると思うよ?」


軽口かと思いきや、妙に真剣な顔で言われるからドキッとした。


その様子を見ていた咲乃が、すかさず口を挟む。


「秋渡がモテる? ありえないでしょ」


「えぇー? 私はありえると思うけどなぁ」


佳奈がいたずらっぽく笑いながら、俺の腕にぐいっと寄りかかってくる。


「だってさ、頭もそこそこいいし、優しいし、ちゃんと面倒見てくれるし~」


「お、おい佳奈、近いって」


暑さとは別の意味で、心臓が跳ねる。


すると、向かい側に座っていたいづみが、ツルッと素麺をすすりながらじと目でこちらを見ていた。


「……佳奈ちゃん、秋渡くんにベタベタしすぎじゃない?」


「えー、別にいいじゃん。仲良しなんだから!」


「いやいや、俺は何も……」


と、言いかけた瞬間。


「佳奈、それ以上は危険ね」


唐突に咲乃がピシャリと言い放つ。


「へ? 危険って?」


「男の子を勘違いさせるような行動は、控えたほうがいいわよ」


何を言い出すかと思えば、その通りだけどさ。


それを聞いた佳奈は、「へぇ~」と口元を緩めながら俺の顔を覗き込んだ。


「ねぇ秋渡、もしかしてドキドキしちゃった?」


「……っ!」


ニヤニヤ顔の佳奈に、思わず視線をそらしてしまう。


何なんだこの状況は。


そんな俺をさらに追い込むように、ヒロキングが「おやおや、片桐くん、色恋沙汰かい?」と面白がっているし。


最悪だ。


「い、いいからさっさと食べようぜ」


何とか誤魔化して話題を流す。


するとそんなことを気にもせず行動してる女がいた。


「ちょっと佳奈ちゃん、それ私の唐揚げ!」


「ふふん、早い者勝ちだよ~」


目の前で、いづみと佳奈の唐揚げ争奪戦が勃発していた。


「やめなさいって! 大体私の家なんだから、私が優先でしょ!」


「でも、すっごく美味しそうだったんだもん!」


「私の唐揚げぇぇぇ!」


……平和だな、このメンバー。


楽しく昼食を終えた後、リビングに移動してみんなの成績を発表することになった。


「では! 今回のテスト結果を発表しまーす!」


佳奈がノリノリで進行しながら、各自、テスト結果を告げていく。


「まず、咲乃! 学年7位!」


「まぁ、こんなものね」


相変わらずの天才っぷり。努力が実っている。


もはや追試や課題に不安になってたのが煽りに聞こえるレベルだ。


「次、ヒロキング! 12位!」


「ふふふ、まぁ俺はこんなもんさ」


やっぱり頭いいな、こいつ。


少しやるだけで結果を出せる天才系か。


「で、秋渡は25位! おぉ、結構上がってるじゃん!」


「まぁ、今回は頑張ったからな」


それを聞いたいづみが佳奈となぜか顔を見合わせて。


「裏切り者~!」


「秋渡、ひどい!」


「いやいや、なんでだよ!」


「だってさ、私たち赤点だったんだよ!?」


「しかも、課題めっちゃ出されたし!」


いづみと佳奈が泣きそうな顔でこちらを見てくる。


どうやら彼女たちはあまりよくなかったらしい。


「秋渡~、お願い、私に勉強教えてぇぇぇ」


「いや、別にいいけど……」


「やったー!」


佳奈が嬉しそうに俺の腕に抱きついてきた。


「わっ、佳奈、ちょっと!」


「わーい! 秋渡の家庭教師だ!」


そんな無邪気に喜ばれると、こっちも変に意識してしまう。


……が、それ以上に気になるのは……。


「……秋渡、それはどういうこと?」


妙に冷静な声。


振り返ると、いづみ、咲乃、そしてヒロキングまでもが、ジト目で俺を見ていた。


「な、何?」


「佳奈だけずるい!」


「私にも教えてよ!」


「……俺も頼むわ」


ヒロキング、お前はいいだろ!


これは、夏休みが騒がしくなる予感がするな。


「さて、明日から夏休み!」


佳奈が腕を上げて叫ぶ。


「宿題はあるけど、遊びも大事だよね!」


「……お前、勉強する気あるのか?」


まったく懲りてない。


「ま、とにかく楽しい夏休みにしようぜ!」


そう言って、みんなで手を合わせる。


今年の夏は、きっと楽しくて、ドキドキする夏になりそうだ。


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