間踊4 燃えないわけがない~宮本いづみside~
片桐くん、やっぱりすごい。
ソフトボールの決勝戦、あの逆転劇は本当に圧巻だった。
泥だらけになって、それでも最後の一瞬まで全力を尽くす姿に、私の胸は強く打たれた。
でも、あの「見てて」というつぶやきが、咲乃ちゃんに向けられていたことはわかってる。
声に出していなくても、唇の動きだけで伝わるくらい、まっすぐだったから。
片桐くんが咲乃ちゃんを見ている、その目の強さに、少しだけ胸が苦しくなった。
だけど、不思議と嫌な気持ちじゃなかった。
むしろ、彼の気持ちのまっすぐさが、私をも熱くさせたからだと思う。
やっぱり片桐くんは私にとっての太陽みたいな存在なんだ。
彼はきっとどんな時でも私を照らしてくれる、眩しくて温かい人だ。
でも……それだけじゃ足りない。
私だって、彼に見てもらいたい。
咲乃ちゃんに向けたあの視線を、ほんの少しだけでいいから、私にも向けてほしいって思う。
それくらいは、願ったっていいよね?
だから次の試合、バレーボールの決勝戦では、私が輝く。
咲乃ちゃんたちを相手に全力でぶつかって、私のプレーを彼に見てもらうんだ。
咲乃ちゃんに負けないくらい、私だって輝けるって証明する。
次は、私を見ていてほしいな。
そんな想いを胸に秘めながら、私はボールを手に取り、コートへ向かう。
咲乃ちゃんに、そして片桐くんに見てもらうために全力で戦うんだ。




