第24踊 高塚さんと宮本さんと平野さんとのGWは波乱の予感?!
今日は朝から何も手付かずで午前中の授業を終えた。
心ここに在らず状態だ。
原因はわかってる。昨夜のLINEだ。
「片桐くん、今度のゴールデンウィーク、遊びに行かない?」
グループLINEがあるのにわざわざ個人LINEで宮本さんが送ってきたのだ。
僕の胸は高鳴ったけど、それと同時に不安にもなった。
僕なんかが宮本さんと遊んでいいのだろうか。
学年でも人気者な彼女と僕みたいなモブが遊んでいいのか。
彼女の評判を下げてしまわないだろうか。
ただ同じ委員会で接点があっただけなのに。
しばらく悩んだ結果、僕は返信した。
「僕でよければ」
断って悲しむかもしれないし、彼女には笑顔が似合っているから。
お昼休み。
今日は僕たち2組の担当日だから高塚さんとヒロキングと放送室へと向かった。
放送室で音楽を流し始めると、宮本さんと平野さんが来た。
みんなでお弁当を広げて食事を開始した。
最初はみんな他愛もない会話をしていたが、平野さんがふと思い出したように言った。
「そうだ! みんな、ゴールデンウィークって何か予定あるの?」
唐突な質問に場が少しだけ静まり返る。
すると、宮本さんが真っ先に口を開いた。
「私は片桐くんと遊ぶ予定だよ〜」
一瞬、時間が止まったかのように感じた。
高塚さんが目を丸くし、ヒロキングが「おおっ?」と声を上げる。
平野さんも「えっ、そうなの!?」と興味津々で僕を見る。
「ちょっと待って。どういうことか説明してもらおうかしら、片桐」
高塚さんが腕を組みながら僕を睨む。
「あ、いや…その…昨日、宮本さんから誘われて…」
何とか言葉を絞り出す僕を見て、高塚さんが一歩詰め寄る。
「それで、どうしてそんな重要なことを隠してるのよ。私に相談するべきじゃない?」
「べ、別に隠してたわけじゃなくて…」
「ふ〜ん。まあ、いいけど。」
高塚さんがそう言って一旦引き下がると、今度は平野さんが勢いよく手を挙げた。
平野さんが「私も遊びたーい」と声を上げた瞬間、ヒロキングが何やらニヤリと笑って口を挟んだ。
「おいおい、片桐、お前モテモテじゃねえか。俺も混ぜてくれよ、なぁ?」
「はぁ!? なんでヒロキングまで参加しようとしてるのよ!」
高塚さんが険しい目つきでヒロキングを睨む。
「別にいいじゃん、俺だって遊びたいし。それに、これじゃ片桐が大変そうだろ?」
「それは……」
高塚さんが一瞬言葉を詰まらせた隙に、ヒロキングがさらに畳みかける。
「ま、冗談だ。俺はお前らがドタバタやってるのを見てる方が楽しいからな。じゃ、片桐、頑張れよ!」
軽口を叩きながらご飯を食べ進めるヒロキングを見て高塚さんはため息をつく。
「じゃあさ、ゴールデンウィーク、1日ずつ割り振ろうよ! 私も片桐くんと遊びたいし!」
「ちょっと待ちなさいよ、平野さん。それなら私も……その……少しぐらいなら一緒に行ってもいいでしょ?」
「高塚さん、珍しく素直~。どうしたの?」
平野さんがからかうように微笑むと、高塚さんは顔を赤くしてそっぽを向いた。
こうして、僕のゴールデンウィークの予定が1日ずつ埋まっていくことになった。
誰かと遊ぶゴールデンウィークなんて、生まれて初めてかもしれない。
けれど、どうしてだろう。楽しみよりも、不安の方がずっと大きかった。
果たして僕でみんなを楽しませることができるのだろうか。




