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特踊 私たちのクリスマス①宮本いづみ

中学三年生の冬。


「綺麗だなぁ」


宮本いづみは街のイルミネーションを見上げながら、つぶやいた。


まるで夜空から降り注ぐ星の光のように、色とりどりのライトが街を照らしている。


明るいその光を見ていると、不思議と心が落ち着く。

そんな風に思いながら、いづみは一人で歩いていた。


彼女はいつも明るく、太陽のような存在だと言われていた。


どこにいても笑顔で、人とすぐに打ち解けられる天真爛漫な性格。


踊ることが好きで、その表現力と輝きで、みんなの視線を一身に集める存在だった。


でも、そんな自分に違和感を抱く瞬間がある。


「私、そんなに輝けてるのかな。」


心の奥底に小さな不安を抱えながら、いづみは街の中を歩き続けた。


表面は明るくても、その内側にはぽっかりと空いた穴があるような気がしてならない。


みんなにとっての太陽みたいな自分だけど、自分自身を照らしてくれる光がないと感じていた。


「太陽だって、自分を照らすことはできないもんね。」


そうつぶやき、いづみは笑ってみせた。


でもその笑顔はどこか力が入っていて、ほんの少しだけ寒さを感じさせるものだった。


どんなに明るく振る舞っても、自分が本当に心から安心できる場所を見つけることは難しい。


それでも、誰にもその不安を気づかれたくなかった。


明るい宮本いづみでいることが、自分の役割だと思っていたから。


「……誰か、私を照らしてくれないかな。」


ぽつりとつぶやくその声は、イルミネーションの光に吸い込まれるように消えていった。


カフェの窓際に座り、手の中でカップを温める。


クリスマスの夜の街は賑やかで、人々の笑い声が遠くから聞こえてきた。


そんな景色を眺めながら、いづみはぼんやりと考える。


自分はいつも周りを元気づけようとしている。

でも、それだけじゃ足りない気がする。


もっと自分を支えてくれる何かが欲しい。まるで太陽の光に包まれるような、安心感や温かさが欲しい。


「私も誰かに頼ってみたいな。」


自分をしっかりと見てくれる人。

無条件に受け入れてくれる存在。

そんな人が現れることを、心のどこかでずっと願っている。


外を見ると、ふとイルミネーションの中で一際輝く星が目に入った。


「あんな風に、私も輝けるといいな。」


心の中でそう思いながら、いづみは静かに笑った。


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