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間踊3 天然の洞察力は優れている?

4月の2週目、火曜日。

今日は1組の担当日であり、放送委員の初仕事に向かうことになった。


正直、どうして自分が放送委員に立候補したのか、いまだによく覚えていない。


ただ、宮本さんが「佳奈ちゃんも一緒にやろうよ!」と、あのキラキラした笑顔で言ってきたのに逆らえなかったことは覚えている。


そんなわけで、今日は宮本さんと一緒に放送室に向かうことになった。


彼女が一緒だから、まぁ気楽といえば気楽。けれども、何やら今日は一味違う予感がしてならない。


「佳奈ちゃん、早く早く!もう少しで始まっちゃうよ!」


宮本さんはお弁当を片手に、軽快な足取りで私の少し先を歩いている。


彼女はいつも元気いっぱいで、何事にも全力だ。

見ているだけでエネルギーをもらえるような、そんな人だ。


「そんなに急がなくても間に合うってば」


私はそう言いながら、歩調を少し速めた。


予感というのは当たっていた。


放送室に宮本さんに誘われていたのだろう、男の子がきた。


チラリと宮本さんを確認するといつもと違う感じがした。

なんて言えばいいのか分からないけど、私じゃなきゃ見逃してしまうくらいの変化だ。


おそらく本人も気がついていないのだろう。だから私はこの男の子が気になった。


「やっと来たね、片桐くん!紹介するね、こっちは同じクラスの佳奈ちゃん」


「はじめまして、平野佳奈です」


「はじめまして、片桐秋渡です」


私は宮本さんに紹介されてから笑顔で名乗った。


片桐秋渡くん。


名前だけ聞くと普通の男の子に思えるけど、何か独特の雰囲気を持っている。


別に無口でも目立たないわけでもないのに、なんとなく「気配を消している」ような印象を受ける。


なにやら宮本さんに肘でドスドスされている。2人で何を話しているのやら。


その時私は片桐くんの背後にもう一人いる事に気がついた。


それと同時に片桐くんから「痛っ…」て声が聞こえた。


恐ろしく速い足蹴り、私じゃなきゃ見逃してたよ?


宮本さんはまたいつもと違う感じがする。


片桐くんと接してるときとはまた違う感じ。


先に口を開いたのは宮本さんからだった。


「なんでここにいるの?」


「私も放送委員だから片桐について来ただけ。別に深い意味はないけど」


なんか二人の間で火花が散った気がする。


あーなるほど。


私もこの流れに乗らなきゃね!


どうやらこの女の子は高塚咲乃さんと言うらしい。


高塚さんは冷静でクールだけど、片桐くんに対しては微妙に態度が違う気がする。


宮本さんの号令の元、お昼ご飯が始まった。


私は直ぐに放送委員としての仕事、音楽を放送し始めた。

意外と簡単でよかった。


私はみんなよりお弁当が大きいことに少しだけ乙女の恥じらいを感じた。


けど、お腹が空くし関係ないよね?

むしろ彼女たちのが少ないんだよ、うんうん。


そんなことを考えていたら、宮本さんと片桐くんが唐揚げで楽しそうに遊んでた。


私も混ぜてもらおうかと思ったら高塚さんが入ってきた。


高塚さんは片桐くんの足を蹴っていた。


なるほど、そういう流れですか。


私はこの流れに乗ることにした。

私はえいやっと片桐くんの足を蹴った。


「にやにやするな~!この流れ、私じゃなきゃ見逃してたよ?」


得意気に笑って見せた。ドヤっ!


一瞬静まってしまい、あれ?間違えた?と思ったけど大丈夫だった。

宮本さんと高塚さんもクスクスと笑い始めた。


私は勢いに乗って片桐くんに唐揚げを上げようとしたが断られた。


なんで私の唐揚げは食べてくれないんだよぅ。


私は終わり際に片桐くんにひとつ聞いてみた。


「ねぇ、片桐くんって、こういう日常が普通なの?」


「いや、むしろ非日常だよ……。」


私は思わず声を上げて笑った。


私もこの流れに乗らないとね。


この人たちと入れば楽しい高校生活になりそうだ。

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