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それぞれの順路

 巨大になったツタンカーメンの腕。

 振り下ろされたその腕をよじ登り、顔を目指す近接職のプレイヤー達。

 そんなプレイヤー達を尻目に、琥珀は遠距離から攻撃していた自分のギルドメンバーを前線へと招集。

 何を指示されるのかと戸惑うプレイヤー達へ……、


「とりあえず、足の付け根狙お?」


 と提案。

 一瞬疑問符が浮かぶメンバー達だったが、


「いや、デカくなったのは別に強くなっただけじゃないってこと。そりゃあ威圧感とか攻撃範囲とか増えたところもあるだろうけどさ、的がでかくなったし、弱点も増えてると思うわけよ」

「それで、足の付け根を狙うんですか?」


 持論を展開すると、メンバーの一人が質問をしてきて。


「関節っていうか、接続部って言うの? デカいとその辺が脆いと思うんだよね。……かかる負荷とかデカいから。巨人レスラーみたいに」


 それに対して回答すれば、数人がさらに首を傾げてしまった。

 どうやら琥珀のたとえ話がピンとこなかったらしい。


「とりあえず、私らから見て右の足の付け根狙うよ。それで右足取れて倒れてきたらわざわざあんな腕なんて登らなくていいわけだしさ」


 強引にまとめてメンバーへと指示を出した琥珀は、装備しているスナイパーライフルをコッキング。

 

「タイミングは合わせて黒曜の指示で。標的までの全情報も黒曜に全任。トライ回数は成果が出るまで。……OK?」

「サー!」

「任されました。……空の目に接続します」


 琥珀の伝達を受けてギルドメンバーは敬礼し各々の装備を構えて黒曜からの情報を待ち。

 鷹へと変身していた黒曜はその変身を解除して鷹と分離。

 そして鷹と視界をリンクさせて狙う場所までの距離や風向きなどを測定に入った。

 ……すると、


「ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああっ!!」


 その鷹の視界を横切る影が二つ。


(? ……!?)


 何事かと横目で確認すればそこには、軍服を着た幼女と魚群がプリントされたシャツを着た人魚が、仲良く抱き合いながらとてつもないスピードでツタンカーメンの顔面目掛けて飛んでいく様子が映っていた。

 まるで、何かに射出されたかのように。



「いつまでも引っ付いてんじゃねぇ!!」

「最初に抱き着いてきたのはエルたその方でござるよ!!」


 大砲から撃ち出され、ツタンカーメンの頭上でその勢いがなくなった二人は、落下が始まる前に武器を構えると。


「ファーストヒットは譲ってやる。しっかりヘイト稼いで来い」

「この距離だと回復魔法もほとんど届かないと思うのでー、あんまり激しく動けないでござるよ?」


 エルメルの剣へ足を乗せ、待機するごまイワシ。


「体力切れたら一旦落ちて回復して戻って来いよ。それくらい出来るだろ」

「出来なくはないでござるけど、面倒そうだから嫌でござる」


 そんなごまイワシを当然のように[薙ぎ払い]で射出し、ツタンカーメンの脳天へと送り出したエルメルはツタンカーメンの肩へと着地。

 ピラミッド内で戦ったスフィンクスもそこそこの大きさだったが、今目の前にあるツタンカーメンの顔面だけでそのスフィンクスをはるかに超える大きさがある。


「本当に何とかなるんだろうな、これ」


 今までにない規格の大きさに困惑するも、ここはゲームの中。

 現実と違い、負けイベントでもない限り必ず何とかなるように設定されている世界である。

 どんな手段、方法が必要かは分からないが、必ず解が存在するというならば、


「やれることをやる、しかないか」


 覚悟を決めて、武器を振るうのみ。

 意を決したエルメルは、先に桜を舞わせながら戦闘に入ったごまイワシに続き、巨大化したツタンカーメンとの戦闘を、始めるのだった。



 ツタンカーメンの腕を上っていた顔s達御一行は、その腕から生えてきた砂虎や砂サソリを相手に苦戦していた。

 戦える場所が狭いうえに、相手は腕の側面だろうと関係なく移動できるせいである。

 また、出現する場所も背後だったり、真横だったりと奇襲性抜群。

 さらに言えば、伸ばされた腕が戻されると、今立っている足場も坂道からただの壁になってしまう。

 だからこそ早く倒さなければと焦り、逆に時間を食ってしまっていた。


(マズいですね……)


 内心冷や汗をかきながらも何とか第一波を突破した顔sだったが、ここでツタンカーメンの腕の角度が急になっていく。

 それはつまり、ツタンカーメンが腕を戻し始めたということで。

 どうにか踏ん張れそうな突起がどこかに無いかと探す顔sだったが、残念ながらそんなものは見つからない。


(腕を伝うのが間違いだった? しかし、それではツタンカーメンの居る顔へはどうやって行けば……)


 どうせこのまま落ちるなら、その落ちる時間を考察に回そうと判断した顔sだったが、後ろにいた彼のギルドのメンバーの一人は違った。


「クソッタレが!!」


 ただの悪態をつきながら、腹いせともいえる一撃をツタンカーメンの腕にお見舞い。

 すると、攻撃した部分が大きく削れた。


「――!? 皆さん、腕に攻撃してください!!」


 それは、先入観があった顔sでは見つからなかった糸口。

 ボスだから、体が傷つかないと勝手に思い込んでいた故の思考の欠落は、そのギルドメンバーのおかげで補完できた。

 顔sの指示通りにその場にいる全員でツタンカーメンの腕へと攻撃すると、攻撃を受けた個所はごっそり削れ、やがて、プレイヤーが立てるほどの窪みへと変化する。


「この中でやり過ごします。皆さん、中へ!」


 その窪みへと滑り込み、周囲のプレイヤーが全員吐いたことを確認して範囲防御の障壁を張り蓋をして。

 討伐するボスの体に、簡易シェルターを作って待機することに成功。

 後はまた、ツタンカーメンが腕を振るった時を見計らって登り、窪みを作ってやり過ごすを繰り返すだけである。


「これ、上に掘り進んでけばいいんじゃねぇの?」


 先ほど窪みを作る糸口となったプレイヤーの思い付きの行動で、簡易シェルターの中で砂埋めにされかけたことだけを追記しておく。

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