ジョインジョインゴマァ
「おー。何かレアそうな装備ドロップしたぞ」
「こっちもー」
「流石拠点ボス。経験値もウマウマでござる」
「私も貰っちゃっていいんでしょうか……?」
「戦ってたんだからむしろ貰うべきだろうに」
爆散したスフィンクスからは、それぞれスキルが刻まれた装備品が手に入り。
「ん~? 何か、拙者が手に入れた装備のスキル説明に、頭おかしい事が書いてあるんでござるが?」
【王家の記憶】という、宝石が散りばめられ、金が塗られたベルトを装備したごまイワシが、それに刻まれたスキルを確認してそんなことを口にする。
「具体的には?」
「体力一定量を消費してスキルのクールタイムと消費MPを0にする」
「お前専用みたいなスキルで笑う。……ん? でもそのスキルにもクールタイムが――」
「クールタイム0,1秒って書いてあるでござるね」
「ぶっ壊れなのでは?」
どの辺が頭がおかしいかを判断しようと、スキルの説明をごまイワシに求めたエルメルは。
ごまイワシの読み上げたスキル効果に、思わず眉をひそめた。
強すぎないか? と。
「あー、これ空撃ちも出来るでござるね……。消費体力はざっと500くらいでござるか」
そんな考えに耽るエルメルを余所に、早速試しに使ってみたごまイワシの反応は結構ドライ。
けれどもそれは、まだこのスキルの真意にたどり着けていないからであり、
「ちょっとガッツリ使ってみるから、申し訳ないけど死にかけたら回復頼めるでござる?」
パルティにそう尋ね、頷いたことを確認したごまイワシは深呼吸を一回。
――そして、
「[流転][フラッシュバック][切り抜け][フラッシュバック][縮地][フラッシュバック][縮地][フラッシュバック][桜花雷閃][フラッシュバック][桜花雷閃][フラッシュバック][桜花雷閃]あこれダメなやつでござるね[フラッシュバック][翡翠][フラッシュバック][クロスポイント]」
残像が残るほどの速度で移動スキルとクールタイム無視スキルを交互に連打し、途中からホルスの遣いへ煽り運転もびっくりな左右へのステップを踏みながらの攻撃スキルへ。
複数体を相手にそもそも攻撃ターゲットにすらならずにまとめてなぎ倒して四人のもとへと戻ってきたごまイワシは、五分の一すら減っていない体力を確認して乾いた笑いをこぼす。
「これあかんでしょ」
「使ってる本人が言うの一番説得力あるわ」
「途中から目で追えなかったんだけど?」
「操作してる側もギリギリでござるねぇ。ちょっと瞬きすると一瞬でどっかにすっ飛んで行ってもおかしくない動きでござった」
「ギリギリで操作出来てる時点で人間卒業おめでとうなんだが?」
「酔ったりしないんですか?」
流石に疲れたか腰を下ろして感想を述べたごまイワシはケロリとしており。
彼の配信のコメントには、疑問符が付いたコメントが大量に流れ。
「何が一番ヤバいって攻撃スキル連打出来るところでござる。実質火力スキルと言っても過言ではないわけで」
「何かあったら移動スキル使えばいいし、移動スキルも使い放題ならお前今後ダメージ喰らわないじゃん」
「でござるねぇ。あと、消費体力軽すぎでござる。拙者、これ一戦闘で体力無くなる未来が見えないでござるよ」
このスキルの問題点を話し始めるごまイワシ。
ただし、これはHP極という尖り過ぎたステータス振りをしているごまイワシだからの話であり、普通のプレイヤーからすれば、二桁回数発動出来るか否かぐらいの体力消費となっている模様。
もちろん、それをごまイワシは知る由もないが。
「ポーションは飲めるん?」
「発動と同時に飲めなくなるでござるね……ん? 『武器によっては与ダメ時に体力回復効果があるやつも存在する』? マジ? それ手に入れたらマジで無双が始まっちゃうでござるけど?」
「それ無くても回復職が帯同してりゃあ実質無限スキルみたいなもんでしょ」
「それは流石に対策されてるみたいでござる。味方プレイヤーからのターゲッティング無効らしいでござるよ?」
体力を消費するという性質上、調子乗って使いまくってたら敵の攻撃かすって死にました。という事故も想定でき、それを防ぐためには――そして、スキルを多く発動するためには体力の回復方法が焦点になるのは当然で。
流石に運営もポーションや回復スキルで体力を回復できるとマズいと思ったのかそこには制限がつけられていた。
――が、
「その書き方って対象に取れない的な?」
「コン〇イ語に変換するとそうなるでござるね」
「つまり対象に取らない範囲回復とかは効果を受ける?」
「おそらくは」
「デメリットほぼねぇじゃねぇか!!」
決闘者脳を持ち合わせたごまイワシとエルメルとにより、早速その制限の抜け道が発見されて。
「物は試しで……パルティ、ちょっとお願いしていい?」
「はい。何でしょうか?」
「またごまがさっきみたいに動き回るから、ごまが範囲に入るように範囲回復魔法発動してくれる?」
「わかりました!」
……結果として、視聴者の半分ほどを画面酔いで退室させる程度には気持ち悪い動きを披露して。
範囲回復による回復は、どうやら制限をすり抜けるということが立証されてしまったのだった。




