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「ちょっ!?」


 移動すると分かっていたプレイヤー自身が。

 思わず驚くほどの速度で飛び出した――というよりは射出された、と表現した方が近い様なその移動は。


「くっ……そが!!」


 エルメルの咄嗟の反応により、目の前に迫った大木との接吻は免れた。

 空中で反転し無理やり体勢を変え、二個目の眼前に迫る大木へと垂直に着地。

 あまりの速度に、ようやくエルメルの方を振り返る蜂型のモンスターを視界にとらえ、脚に力を込めて大木を蹴って。

 また、先程と同じ速度で射出。

 しかし、今度の射出は先ほどの射出とは違う点がいくつか。

 まずは、移動する本人がどれほどの速度かを理解していること。

 ……そして、


「[刃]!!」


 その速度を頭に入れ、丁度敵と交差する瞬間にスキルを発動する準備をしていた点。

 最後に、


「面白そうな事やってるでござるねぇ!! 拙者も混ぜて欲しいでござるよ!!」


 正面から、ごまイワシが飛び出していたのを確認していた点である。


「勝手に踊ってろ!!」

「そうさせてもらうでござるよ!!」


 移動系スキルや、移動を伴うスキル。

 それらの移動距離と移動速度の大幅な増加。

 それが、今エルメル達にかけられたアグラディアのバフ魔法の効果。

 そして、何もこの恩恵を受けているのはこの二人だけではなく……。


「エルフを集めて花いちもんめ♪」

「おおよそお前だけの楽園に思えるんだが……」


 先ほどエルメルがやってみせた、木へと垂直に着地するという行動。

 それはつまり、それさえ出来れば地上には落下しないと言う事で。

 それをするための条件は、アグラディアのバフにより達成が容易であり。

 †フィフィ†とマンチ、その両名にも可能だと言う事。

 ――もちろん、


「うおっと、あぶねぇ」


 エルメルやごまイワシ程操作に長けていない二人は、何度も繰り返せば足を踏み外したりといったミスを起こすが。


「何かあると直ぐに呼び出されて踏み台にされる式神君可哀そう」


 マンチの場合、自分の周囲に展開して近付く敵を殴らせていた式神、[前鬼]と[後鬼]を、一旦人形へと戻し、再度自分の足元に展開。

 踏み台として、空中に留まるリカバリーに使われた挙句、再度人形に戻され周囲に展開。

 緑のでっていうも真っ青な扱いに、思わず†フィフィ†が目を潤ませる。

 ――が、


「そういうお前だって、落ちそうになったらエルメルとかごまの足掴むのやめてやれよ……」


 †フィフィ†は†フィフィ†で、身内とはいえ他のプレイヤーの迷惑になる行為を平然と行っており。


「あの二人ならちょっとやそっとじゃ落ちないから気楽に掴めるんだよね」


 と、何ら悪びれもせず、文字通り足を引っ張っていたりする。

 もっとも、そんな妨害とも言える†フィフィ†の行動を受けてなお、当たり前に空中に留まり続けて蜂型のモンスターを狩っていく二人がどう考えても異常なのだが。


「うし、ただいま」


 リポップした蜂の集団を狩り終わり、これまでの半分未満の時間でアグラディアの居る木へと戻ってきたエルメルは一旦伸び。

 ごまイワシも、ゆっくりとストレッチに入る。


「お、おかえり……」


 これまでの四人の動きを見ていたアグラディアは、引き気味に四人を出迎えて。


「お、俺の魔法、扱いづらくないのか?」


 恐る恐る、そう尋ねた。


「ん? ん~……まぁ、ピーキーな性能だとは思う」

「でも、それって結局使う側でどうとでもなる問題でござるからね」

「うちらが使ってみせたように、使いこなせれば十分強いじゃん?」

「正直、もっと早く使ってくれてればなって気持ちはあるけどな」


 それに対する四人の回答は、性能は評価出来る、というものであり。


「そ……っか」


 その返事を聞いたアグラディアは、ほんの少しだけ頬を緩ませた。

 実はNPCにもそれぞれ設定が存在し、このアグラディアは四人にかけたバフの性能のせいでいじめられていたりした過去があるのだが。

 今のところ四人がそれを知る術はない。

 それでも、感想を聞いてどこかホッとした様子のアグラディアの表情から、ある程度の察しがついたりしたが。


「んじゃ、この調子で張り切って狩るぞ」

「何だったらもうちょい奥に行ってもいいと思うでござるよ。さっきのバフがあれば蜂なんて余裕でござったからな」

「俺が囮になる必要なかったもんな」

「せっかく活躍できるシーンだったのに、ごめんね?」

「囮を喜んで引き受けてたと思うなよ?」

「違うのか?」


 いつもの調子で、すぐ調子に乗る四人。

 そんな四人へ、


「この奥だとさっきよりも強いモンスターが出てくるから注意しろよ?」


 と、最初に襲い掛かってきた感情はどこへやら。

 鼻の下を人差し指で擦り、照れくさそうに助言するアグラディア。

 そんなアグラディアの変化に、


「お前そんなキャラだったっけ?」

「デレたでござるね」

「エルフは出来れば人間相手にはいつまでもツンツンしてて欲しいんだけど……」

「なんか好感度上がるようなことしたっけか?」


 四人はハッキリと違和感を覚えたが。


「うっさい!! さっさと行くよ!!」


 一人で先に移動を始めたアグラディアの後を、折角味方につけたエルフを失ってたまるか、と追いかけるのだった。

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