戦後処理
四人で言ういつもの場所。
それは、アイテム屋の裏側に他ならず。
エルメルが口にしてすぐに向かい、それぞれが思い思いの格好でくつろぐ。
ごまイワシとマンチはアイテム屋の壁に背を預け。
†フィフィ†とエルメルは胡坐をかいて地面に座る。
「とはいえ、こうして町中破壊されてると色々と思うもんあるな」
ただ、マンチの言う通り、アイテム屋の壁はツタンカーメンから破壊されたのか、大人程の高さ程度しかなく。
屋根も崩されたか、どこかへと飛ばされてしまっているが。
「生産職『大工』とか取ってるプレイヤーが修理するらしいでござるよ? 前の町もそうだったみたいでござるし」
「そんな生産職もあんのか。……それって他に需要あるん?」
「別に建物修理するだけじゃないでござるよ。素材は重いらしいでござるが、砦とか建てられると掲示板に書いてあったでござる」
「なる」
そんな光景がいつまで続くかと案じたが、どうやらプレイヤーの有志達によって程なく修理されるらしく。
さらには侵攻に備えて色々と構える様子。
――そして、
「さぁでは張り切ってまいりましょう! ドキドキ☆チキチキ戦利品確認ターイム!!」
「いぇーー!!」
高らかにごまイワシがこぶしを突き上げて。
それに乗るように三人も腕を突き上げる。
「まずは拙者から。系統オーラの『砂の意志』でござる。効果は……土属性追撃(物理)と土属性追撃(魔法)と防御力上昇――追撃って分割されてたでござる?」
そして、意気揚々と戦利品を読み上げる途中、ごまイワシは不安になってきたのか声の勢いが徐々になくなって。
最終的には三人に問いかける形に。
「いや、俺の装備についてる追撃には物理も魔法も記載されてないぞ? ……どっちかが特殊なんじゃね? じゃないとわざわざ分けねぇだろ」
「確かに。……これ要検証でござるねぇ」
「だな。んじゃあ次俺。俺は指輪が手に入ったぞ。『砂王の指輪』……名前はまんまだな」
後々調べるという形でごまイワシの中で決着がついたことを確認し、今度はマンチが口を開く。
彼の手に入れた装備は指輪であり、オーラと比べるといささかレアリティには欠けるが……。
「ちゃんとユニークでスキル持ち。[雷公の加護]ってスキルなんだがこれも後で試したい」
「効果は何ぞや?」
「一番低いステータスを上昇させるっつースキルなんだが……俺今のところ全部平らなのよ。凹んでるステねぇの」
重要なのはレアリティよりもリアリティ。実用的かどうかである。
その点において言えば、爆発力を秘めたそのスキル次第と言ったところか。
「あー、どうなるか確かに気になるでござるねぇ」
「だろ? ワンチャン全部のステ上がったら祭りだわ」
「んじゃ次うち」
言いたいことを言ったマンチは、手を差し出して次の報告者へと発言を促すと。
待ってましたと†フィフィ†が喋り出す。
「手に入った装備は眼鏡。フレームレスで知的に見えるのが非常にポイント高い」
スチャっと早速装備し、右手で眼鏡を押し上げる緑のショタエルフ。
言われて見れば確かに賢そうには見える……が。
「スキルは?」
「あるよ? あと、命中率2%上昇効果付きね。スキルは[アンコール]。一定時間攻撃判定を二回発生させる――強くない?」
「なぜ強くないと思うのか」
「二回攻撃が弱い世界戦は無いと思うぞ? 某ゲームのグロウパンナを知らんのか?」
「大会使用率100%だっけ? まぁ、みんな後で試すっぽいし、ついでに試すかなー」
問題は刻まれているスキルであり、話を聞く限りではこちらも使い勝手がよさそうである。
「じゃあラストはエルたそー」
「ほいっと。……一応言っておくと、これから言うのは意訳とかじゃなくて、書いてあることをそのまま言ってるから、何言ってるか分からなくても俺に文句言わないでくれ」
「? 何かあった?」
「聞いたら分かる。……俺が手に入れたのは『輝きの砂時計』ってアイテムで、ストラップ項目なんだが」
よく分からない前置きをしたエルメルは、装備して腰辺りに出現した砂時計を指差しながら。
「装備時上昇ステータス無し。スロット2。んで、付与されてるスキルが[逆流する砂]。効果が……一定時間前の状態に戻るってしか書かれてない」
と説明。
「んん? 全体的に説明が足りてないと思うんでござるが?」
「でも書かれてるまんまだぞ? 発動後、一定時間前の状態に戻る。あ、クールタイム五分な」
「一定時間ってのがどれくらいか気になるところでござるね。一秒前だと……いや、どうあがいても使い道無限大でござるな」
「一時間前とかだと使い勝手悪いが、一分前以内とかならぶっ壊れに肩まで浸かってる感じじゃね?」
「エルちゃんの反応速度だと被弾回避から始まって、敵に攻撃よけられた瞬間に使って再攻撃も出来ちゃうよね?」
「けど範囲が書かれてないんだよな。敵ごと時間戻る説ねぇか?」
「それプレイヤーの場合も同じ作用すると考えると難しくないか? 多分使用者本人だけだぞ?」
どれだけ四人で顔を合わせて議論をすれど。
百聞は一見に如かず、と言う事で実際に試してみようと言う事に。
ついでに、スフィンクスが現れたことで中断していた各々のユニーク装備調達も一気にやってしまおうと。
エリアボス、拠点ボス討伐に絡み、功績点をどこよりも稼いだ「ネタ振りに人権を委員会」の四人は。
新しく解放された『グリーンフォレスト』へと多数のプレイヤーが押しかける中。
マイペースに自分らの道を進むのだった。




