第331話 ヤケクソの真樹
こんばんは。
段々と今年の終わりが近づいています。
真樹の事を毛嫌いしている理系女子、堀ノ内希美が開発した女性型アンドロイド、ヴィーナス01に襲撃された真樹は、仙台まで逃げたものの体に埋め込まれた発信機によって翌日には見つかってしまった。そして、早朝から仙台市街地でのデッドヒートを繰り広げながら、少しでも被害を少なくしようと人気が少ない郊外を目指す真樹であった。
「いいわよ、ヴィーナス01!そのまま追い詰めて処刑よ!」
堀ノ内はヴィーナス01のカメラアイとつながっているモニターを見ながらそう言った。そんな時、長沢が堀ノ内に聞いた。
「そう言えば、ずっと思ってたけど、T-計画のTってどういう意味なの?」
その質問に対し、堀ノ内は自信満々に答える。
「TはTerminateのT。つまり終らせるって事。湯川を始末して、女性が不愉快になる世界を消し去る意味で私が名付けたの。」
胸を張りながらそう言った堀ノ内に対し、三浦と津久井は何とも言えない表情で言った。
「な、なんか…思ったより単純だなって思った…。」
「同感。そのネーミングセンスだけは微妙と言わざるを得ない。」
そんな一同に対し、堀ノ内は頬を膨らませながら言った。
「う、うっさいわね!とにかく、湯川を始末できれば何でもいいでしょ!」
そう言いながら4人はモニターを見ながら真樹とヴィーナス01の行方を追うのだった。
一方真樹はというと…。
「はぁ、はぁ…くそっ。このまま逃げても埒が明かん。」
「もう逃げても無駄よ、湯川真樹。大人しく処刑されなさい!」
何とか人気がない山間部まで逃げてきた真樹。攻撃を辛うじてかわしてはいたものの全弾を避けることはできず、服はあちこちが裂け、体も手足を中心に血が滲んでいる。息を切らしている真樹に対し、ヴィーナ01は腕をライフルから長い剣に変形させながらジリジリと真樹に近づいていく。真樹は焦りの表情を見せながら後ろにに後ずさるしかなかった。
「くっ…何とか郊外まで逃げて被害者最小限に抑えられそうだが、このままじゃ俺が殺されちまう。どうすれば…。」
辺りを見回しながら突破口を考える真樹。すると、ある物が見えてきた。
「ちょっと申し訳ないけど、正当防衛だから仕方がない。」
真樹はその方向目指して一目散に走り去った。
「待て、湯川真樹!」
勿論ヴィーナス01は真樹を追いかける。剣に変形させた右腕を振りかざし、真樹に切りかかる。真樹に刃が迫るその時に。
「ごめんなさい!ちょっと借ります!」
「あっ、君!」
丁度土木作業員たちが、伐採作業をしようとしている所に真樹は駆け寄り、現場に置いてあったチェーンソーを拝借した。すぐにチェーンソーを起動させた真樹はヴィーナス01の刃を受け止める。
「なっ!」
「危なかった。悪いがこっちも殺されるわけにはいかん。」
ヴィーナス01の剣と真樹のチェーンソーが激しい火花を散らせる。それを見た土木作業員たちは怯えながら逃げで行った。
「な、何だありゃ?!」
「ば、化け物だぁ!」
「逃げろぉ!」
作業員たちは道具もトラックも置いて走り去っていった。ヴィーナス01は苛立ちを見せながら真樹に言った。
「往生際が悪いわよ、湯川真樹!これ以上疲れたくなければ、早く楽にしてあげるから殺されなさい!」
「悪いがそうはいかん!あんな糞女と、そんな奴に作られたポンコツロボットに殺されるのは俺のプライドが許さん!」
「私はともかく、希美を侮辱することは許さない!」
「お前も災難だな!殺人の為だけに、アイツに作られるなんて!」
「ふざけるな!絶対に殺す!」
真樹の挑発に乗ったことによって僅かだが、感情的に動き始めたヴィーナス01。その隙を見逃す真樹ではなかった。
「お前のAIは確かにすごい。だが、その高性能が仇になったな!」
真樹はそう言うと、チェーンソーと一緒に拝借していた巨大なハンマーを左手に持ち、ヴィーナス01の顔面に思いきり打ち込んだ。
「うわっ!」
ハンマーで思い切り顔を殴られたヴィーナス01は近くの草むらまで飛ばされた。その隙を見て真樹は立ち上がって言った。
「攻撃と追跡機能ばかりに全振りして、防御面は大したことなさそうだな。あと、俺の挑発に乗れるほどの優秀なAIを恨みな!」
真樹はそれだけ言うと、更に山奥目指して森の中に逃げて行った。
こんばんは。
真樹もまだまだ負けていません!
応援よろしくお願いします!
それではまた次回!




