第328話 みちのく逃亡日記
こんにちは。
今月最後の投稿です。
堀ノ内が開発した女性型アンドロイド、ヴィーナス01に襲撃された真樹は間一髪の所で逃げることが出来た。しかし、他人を巻き込みたくない真樹は家に帰ることも出来ず、祖父の正三に連絡を入れた後に東京駅までやって来た。そして、遠くに逃げるために東北新幹線に乗り、北を目指すのだった。
-21:15-
「仙台~、仙台に到着です。ご乗車ありがとうございました。」
駅のアナウンスが響くここは宮城県の仙台駅。とりあえず、仙台まで逃げてきた真樹は新幹線を降りて改札を出た。西口の改札にある巨大なステンドグラスの所に立って真樹はしばらく考え込んだ。
「何とか仙台までこれたが、これで解決したとは思えん。あの女がロボットだということは分かった。腕を破壊したが、作ったやつが直して明日送り込んでくる可能性は高い。ここにもそう長くはいられないな。」
深刻な表情でそう言った真樹。しばらく考え込んだが、大した解決策は思い浮かばず。駅に近い格安ビジネスホテルに向かった。新幹線の中で予約したのだった。チェックインを済ませ、部屋に入った真樹はシャワーを浴び、寝間着に着替えるとそのままベッドに寝転んだ。
「寝てる間に襲われたら嫌だな。今夜は来ないことを祈ろう。」
そう言った真樹はまだ頭が混乱していたものの疲れには勝てず、そのまま眠りに就くのであった。
-翌日-
「あれ、真樹いないな。」
朝、駅の改札改札を出た慶はいつもいるはずの真樹がいない事に気付く。真樹は逃亡に夢中だったこともあり、慶たちクラスメートや学校に連絡を入れていなかった。真樹が仙台にいることなど知らない慶は不思議に思いつつも学校に向かった。
「寝坊かな?真樹に限ってそんなことはないと思うけど…。」
そう言いながら慶は学校に到着。杜夫、美緒、伸治、武司などいつもの面々が出そろう中、慶は真樹がまだ来ないことに違和感を抱いた。
「そう言えば、真樹来てないね。朝、駅でも見かけなかったけど。」
慶の言葉に対し、まずは杜夫が言った。
「風邪で休みか?いや、でも昨日別に体調悪そうじゃなかったけどな…。」
美緒も少し気になったのか、不思議そうな表情で言った。
「確かに湯川君は遅刻するタイプじゃないけど、この時間まで来ないのは変ね。」
伸治と武司もやはり気になっていた。
「あいつどうしたんだ?腹でも痛めたか?」
「サボるような奴でもないし、マジでどうしたんだ?」
皆が真樹が来ていないことに違和感を抱いていたものの、結局担任の立石が教室に入ってきて、始業時間になっても真樹は来なかった。勿論真樹が仙台にいるなど知る由もない一同である。立石も出欠を取る時、真樹がいない事に気付いた。
「あれ、湯川君いないわね。連絡もないけど、誰か知らない?」
その言葉に、慶と美緒が驚きながら言った。
「え、嘘?本当に来てないの?真樹、どうしたんだろう?」
「全く。無断欠席なんて、何考えているのかしら?」
そして、真樹がいない事に対し他の女子たちは予想通りの反応を見せた。
「いいよ、来なくても。」
「来ない方が平和だし。」
「ってゆうか、永遠に来なくていいし。」
「湯川、死ね。」
そして、杜夫、武司、伸治も驚いていた。
「マジかよ、真樹がバックレるなんて信じられねぇ。」
「バックレるにしても、急過ぎるだろ。」
「マジで、真樹どうしちまったんだ?」
困惑する友人たち。そして、立石も不思議に思いつつもホームルームを再開した。
「はいはい、騒がない。先生が後で連絡入れるので、静粛に。ちゃんと授業の準備するのよ。」
こうして、真樹がいないホームルームは終わり、そのまま時間目の授業が始まるのだった。
-同時刻 仙台駅前-
「いい?湯川はこの辺にいるのは間違いないわ。見つけ次第、即始末して頂戴。」
堀ノ内はヴィーナス01に対してそう言った。前日に破壊された左腕は修復され、ヴィーナス01は彼女と共に仙台にやって来た。勿論長沢、三浦、津久井も一緒である。
「分かったわ。同じ失敗は二度と許されない。今度こそ成功させるわ。」
因みになぜ場所が分かるのかというと、作戦前日にヴィーナス01が電車に乗り込み、揺れを利用して真樹に接触。その際に真樹の体内に発信機を埋め込んだからである。そして、長沢、三浦、津久井もやる気満々である。
「ここまで逃げると思わなかったけど、今日こそ湯川を仕留めるわよ!」
「私たちの交通費のツケを、アイツの命で払わせましょう!」
「姑息な真似をする湯川真樹を許さない。もう逃げられない。」
こうして、真樹を仕留めるべく仙台まで追いかけてきたヴィーナス01は再び活動を開始。真樹に危機が再び迫ってきたのだった。
こんにちは。
次回は12月に投稿します。
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