第317話 被害者たちの怒り
こんにちは!
本エピソードのエンディングがようやく見えてきました。
大和田コンツェルンは世界トップクラスの大財閥である。日本、いや世界経済に大和田の名前ありと言われるほどの計り知れない影響力があり、世界中の政治家ですら頭が上がらない位だ。しかし、裏では経営と家の面子の為に数知れずの非道な手段を使っており、真樹や他の被害者たちの協力もあって大和田家執事の山本、そして会長夫人の美千代が相次いで逮捕された。そして、ついに大和田コンツェルンの総帥である圭一郎氏までもが悪事を暴かれて逮捕されたのだった。
大和田コンツェルンの会長逮捕は言うまでもなくトップニュースとして各テレビ局で速報された。
『臨時ニュースです。世界トップクラスを誇る、大和田コンツェルンの大和田圭一郎会長が先ほど逮捕されました。調べによりますと、大和田会長はレジャーランドを作る為に強引な地上げを行い、反対派の村人を生き埋めにして殺害した模様。更に、ネットショップである大和田ショップで法外な会員費を消費者から巻き上げていた詐欺容疑や、先日の坂田工業社長変死事件に関しても、執事である山本容疑者に殺害を指示していたことも発覚。また、更なる余罪もあるとして警察では詳しい捜査を続ける模様です。』
圭一郎氏は夜に警視庁に逮捕された後、その3日後に千葉県警に移送されることになっていた。そして、移送当日には大勢のメディアが押し寄せて大々的に報道された。そして、その夜に千葉県警に到着したのだが…。
「あ、来たぞ!」
「大和田圭一郎だ!」
「この、悪徳会社め!」
警察署の前には報道陣の他、今まで大和田コンツェルンに苦しめられてきた被害者たちが大勢押し寄せていた。勿論真樹が呼びかけたのである。被害者たちは圭一郎を乗せた護送車が到着するや否や、涙交じりに罵声を浴びせ始めた。そして、手錠を掛けられた圭一郎が警官に連れられて出てくると、被害者たちの怒りの声は一層激しくなった。
「あの人を返して、返してよ!」
「何で、親父がお前みたいなやつの為に死ななきゃならないんだよ!」
出てきた圭一郎にそう言い放ったのは坂田親子だ。圭一郎は新技術の特許を横取りする為に、坂田工業社長を自殺に見せかけて山本に殺害させたのだった。坂田親子の怒鳴り声を聞きながら、圭一郎は黙って俯くことしかできなかった。そして、そんな圭一郎の前に誰かが現れた。
「やっと会えたな。大和田圭一郎。」
報道陣や野次馬を押しのけて圭一郎の前に現れたのは、真樹だった。突然現れた真樹に圭一郎は驚きながら言った。
「そ、その制服は…裕也と同じ。」
「そう。あんたのドラ息子から散々迷惑行為された挙句、お前の執事に家を燃やされた湯川真樹だ。」
そう言った真樹に対し、圭一郎ははっとした表情で言った。
「お、お前か。裕也が言っていた、不愉快で女の子に嫌がらせばかりしていた最低な同級生とは!」
「馬鹿女に乗せられて、問題行動ばかりしていたのはむしろあんたの息子だったけどな。この息子にして、この馬鹿親父ありって感じだな!」
「ふざけるな!私は世界トップの大和田コンツェルン総帥だぞ!裕也から聞いたが、お前みたいな親無し貧乏人で嫌われ者の弱者にあれこれ言われる筋合いはない!」
「こっちだって逮捕された奴に言われる筋合いはないね!残念だが、もう諦めろ。お前が返り咲くことは二度とない!」
「何だと…?」
「今ここにいる被害者たちの声を聴いたか。お前たちはこれだけ多くの人を苦しめて、その犠牲の上に財力を築いてきた。だが、俺達がそれを全て暴いた。もう世界に大和田の味方はいない。観念しろ!」
「く、くそ…こんな貧乏人の子供に…。」
真樹に散々煽られた敬一郎は、警察に連れられてそのまま署に入って行った。その様子を見た真樹は、勝ち誇った顔で言った。
「ふん。いいざまだ。残りはあの勘違いイケメンだな。」
一方その頃裕也はというと。
「くそっ!なんでだよ!なんで親父もお袋も、山本もみんな逮捕されちまうんだよ!」
広々とした居間のテレビで、父である圭一郎が逮捕されるのを見て、一人喚きながら色々な物に当たり散らしていた。
「くそぉ、これもみんなクズ湯川の仕業だってのかよ!冗談じゃないぜ!」
裕也も今までの経験からか、これらの事に真樹が絡んでいるのではないかと概ね察していた。だからこそ余計に腹が立っていた。
「この俺様が、湯川に負けるなんてことは、絶対あっちゃいけないんだ!」
そう言うと裕也はコーラを一気飲みした。だが、裕也も頭が混乱しており、どうすればいいのか中々分からないでいた。そして、しばらく考えた後に、何かを思いついた。
「そうだ!親父たちが逮捕されたんなら、俺が代わりに大和田コンツェルンを引っ張っていけばいい!そして、俺たちに恥をかかせた警察や裏切った零細企業共を叩き潰してやる!その後は、生意気な湯川の息の根を止めれば完璧だ!」
そう自信満々に言った裕也。真樹と裕也、いがみ合っていた二人の対決はもうすぐ終わりを迎えようとしていたのだった。
こんにちは!
残るは裕也一人。
勝のは真樹か、裕也か?
次回もお楽しみに!




