第312話 決起集会
こんにちは!
8月ももう半分ですね。
真樹の家で立て続けに事件が発生。最初に何者かに窓ガラスを外から割られ、二度目は外壁に火をつけられて危うく一家全員丸焼けになる所であった。間一髪のところで被害を最小限に抑えた真樹は、ジャーナリストの飯田から借りた監視カメラの映像を警察に提出し、カメラに搭載されていた解析機能を用いて犯人が大和田家の執事である山本友紀夫であると分かった。真樹は警察署から自宅に戻ると、部屋のパソコンを開いた。
「どれどれ…。よし、順調に集まっているな。」
パソコンの画面を見て少しうれしそうに微笑んだ真樹は、携帯電話を取り出した。
「もしもし、飯田さん?」
「もしもし、湯川君?どうしたの?」
電話の相手はオリエント通信のジャーナリスト、飯田だった。真樹は事のいきさつを説明した。
「カメラありがとうございました。おかげで犯人ももう分りました。」
「そー、そうかそうか!で、誰だったの?」
「山本っていう、大和田の家の執事でした。やっぱりあいつ、誰かを使って俺を消すつもりでしたね。」
「そうだったんだ…。僕も色々調べてみたんだどね…大和田コンツェルンは国内外で不動産や飲食チェーン、通販サイトなど幅広く展開しているんだけどね。強引な地上げや立ち退きの為に住民を強引に追い出したり、現地企業を強引に買収したり、高額な会員費などでボロ儲けしたりと、褒められない事ばかりだな。」
「僕も大和田の商品使いたいとは思いませんから、同感です。」
「うん。で、そう言うことが起る前触れとして、反対派のリーダーや現地企業の役員などが失踪したり、変死するといった事態が高頻度で起こっているんだ。最初は偶然かと思ってたんだけど、今回の湯川君の件で全部大和田家コンツェルンの仕業だって確信が持てたよ。」
「真っ黒ですね。」
「うん…。でも、大和田グループは世界への影響が大きすぎて、湯川君が言ってた犯人の男を捕まえた所で、そう簡単に制裁は下せないと思う。」
「僕もそう思います。なので、こっちも作戦があります。」
真樹は飯田にその作戦とやらを話した。話しを聞き終えた飯田は驚きつつも、すぐに平静に戻って言った。
「湯川君の事だし、いまさら何聞いても驚かないよ。OK!岩本にも協力してもらうようお願いしてみる。」
「すんません。お願いします。」
そう言って真樹と飯田はケータイの電源を切った。そして、真樹は再度パソコンの画面を見ながら呟く。
「しかし、大和田コンツェルンは随分嫌われてるねぇ…。」
真樹はパソコンを閉じると、夕飯の為に食卓に向かったのだった。
-日曜日 成田市内のコミュニティーホール-
「岩本さん、お久しぶりです!すみません、またお願いして…。」
「いいの、いいの!湯川君の話は飯田からも聞いたけど、流石に見過ごせないからね。」
弁護士の岩本も来てくれた。そして、隣にいた飯田が二人を促す。
「そろそろ時間だから、湯川君も岩本も行こうか。」
そう言って3人は中に入って行った。すると、大ホールの中には老若男女様々な人が大勢集まっていた。前方にある席に真樹、飯田、岩本がそれぞれ座ると、最初に真樹がマイクを持って言った。
「本日は休日の中、お集まりいただいてありがとうございます。僕がコミュニティーサイト『大和田の被害者を救う会』を作りました、大谷津学院高校3年の湯川真樹です。僕も被害者の一人であり、大和田家の御曹司と同級生ということもあって、これ以上大和田家の横暴を許してはいけないと思い、サイトを設立しました。」
実は真樹は自分以外にも大和田家の被害者がいると踏み、大和田コンツェルンの言わばアンチサイトと呼べるものを作っていた。そこで、実際に被害に遭った人たちのコメントを見たり、フォロワーを増やしていた。そして、全員で反撃すべく今回の決起集会を企画、実行したのだ。すると、一人の男性が立ち上がって言った。
「うちは、金にならないからという一方的な理由で無理矢理取引を打ち切られた。おかげでわが社は大混乱だ。」
「私達は楽屋のお弁当等が気に入らないからという理由で大和田夫人に難癖をつけられ、無理矢理懲戒解雇されました!もう許せません!」
「うちは村にレジャーランド作るからと言って、家も全部破壊されて、一部の人はそのまま生き埋めにされた。あいつらは悪魔じゃ!」
真樹の言葉に被害者たちが悲痛な叫びをあげた。そんな中、真樹は冷静な表情を保ったまま言った。
「皆さんのお気持ちわかりました。ですが、大和田コンツェルンの転嫁はもうすぐ終わる…いえ、僕たちで終わらせます。今日はそのための集まりなのですから。」
真樹の得意技である、大胆な方法での仕返しが今始まろうとしていたのだった。
こんにちは。
ちょっと次回の投稿は時間かかるかもです。
ごめんなさい。
それではまた。




