第307話 真樹を消せ!
こんばんわ。
久々に投稿します!
学校一イケメンで、全女子からモテモテの大谷津学院3年生の男子生徒、大和田裕也。彼は顔がイケメンだけでなく実家も日本一の財閥である大和田コンツェルンであり、勿論将来的には彼が後を継ぐことになっている。しかし、裕也は自分より下、もしくは反抗的な存在には容赦なく痛めつけ、特に自分とは何もかも正反対な真樹を嫌っていた。そして、裕也は今まで真樹を追放するためにありとあらゆる手段を尽くしたが、すべて失敗して最早真樹の思うままになっている。そんな真樹の状況を見て、裕也の我慢は限界を超えていたのだった。
浦安で行われたサッカーの試合が終わり、裕也は取り巻きの女子たちと夜遅くまで遊びまくってから帰宅した。因みに裕也は高校生なのでクレジットカードなどを持つことはできないが、お小遣いは毎月300万貰っているので女子たちに高いお店を奢っても全く痛くも痒くもなかった。そして、散々遊んでから少しくたびれた様子で自宅の門を開けると、玄関で執事の山本が出迎えた。
「お帰りなさいませ、坊ちゃん。」
「ただいま、山本。飯は?」
「旦那様は明日お帰りで、奥様は日付が変わってからのご帰宅になりますので、今日は坊ちゃん一人でのお食事になりますが。」
「いいぜ。とにかく今日の飯は何?」
「本日は気仙沼産の高級フカヒレを含めた、サメ料理のフルコースになります。」
「サンキュー、楽しみだな!」
裕也はご機嫌な様子で荷物を山本に預け、プール並みの広さの大浴場で汗を流すと、部屋着に着替えて食卓に現れた。テーブルには既に、当日水揚げされた気仙沼産の新鮮なサメをふんだんに使った豪華な料理が並べられていた。
「お、メッチャ美味そう!頂きぃ!」
裕也は試合でお腹を空かせていたので、勢いよく料理に食らいついた。ご機嫌な様子で食事を進めていた裕也だったが、ふと何かを思い出したかのように山本の方を向いて話しかけた。
「そう言えば、山本。」
「どうされました、坊ちゃん?」
「この間話した湯川って糞野郎の事だけど。」
「あの大谷津学院を身売りまで追い込んだ坊ちゃんの同級生ですか?」
「ああ。消す事ってできる?」
突然物騒なことを言い出した裕也。山本は首を傾げながら聞いた。
「どのように消せばよろしいでしょうか?」
「何でもいい。でもまぁ…俺や学校の女の子を散々不愉快にしたから、苦しませて葬れればいいかな?」
「かしこまりました、お任せください!坊ちゃんやそのお友達に嫌な思いをさせたとあれば、私も許すことはできません。完全犯罪のプロであるこの山本がどうにか致します。」
「信じてるぜ。うちが人を殺しても犯罪にならないのは大和田家の力。その中で一番頼りになるのは山本だからな。頼んだぞ!」
今まで散々命を狙われていた真樹だったが、今度こそ本当に死に近づいたのだった。
-翌日 長野県八ヶ岳-
「と、言うことで。もうそっちとは取引しないから。」
八ヶ岳にある大和田家の別荘。前日から長野県内の関連企業に出張していた裕也の父の圭一郎だったが、ホテルには泊まらずに八ヶ岳にある巨大な別荘に宿泊していた。そして、自宅に戻る少し前の時間に電話を取りながら冷たい声で相手にそう言い放っていた。
『そ、そんな。今まで取引先として一緒に頑張って来たじゃないですか?!』
電話の相手は焦りながらそう返事する。どうやら取引先の社長の様だ。
「お宅、最近売上が減ってますよね?稼げないところを抱えても、足手まといにしかならないんで。」
『確かに不景気で先月の売り上げは落ちましたが、必ずもっといい物を作って売り上げを巻き前しますんで!』
「いらん。うちは坂田工業を買収して、特許も取得した。お宅よりもずっと優れた技術も自分で賄えますんで。あんたはもう用済みだ。」
『そんな。急に言われても困ります!取引がなくなったら、うちの会社は…。』
「知らないね、そんな事。そんな無能な会社はさっさと潰れればいいし、社員もみんな飢え死にしろ。とにかく、金輪際内にはかかわるな。歯向かうなら、お前の家族も皆殺しにするぞ!」
『ま、待ってください!』
電話の相手の声には耳も課さず、圭一郎は一方的に取引をやめて電話を切った。すると、役員の一人が圭一郎を呼びに来た。
「総帥、お時間です。」
「ああ、今行く。」
そう言うと、圭一郎は庭に用意されていたヘリに乗り込んで飛び去って行った。ヘリの中で窓の外を見ながら彼はつぶやいた。
「ふん。大和田家に雑魚はいらん。」
冷たくそう言い放って、圭一郎は八ヶ岳の別荘を飛び去って行った。
そして、ある日曜日。真樹は野球部の試合もなかったので、中学時代からの友人である初富佳久に会う約束をしていた。
「おーい、真樹!」
千葉ニュータウン中央駅の改札前で佳久は手を振りながら真樹を迎えた。改札を出た真樹は少し微笑みながら佳久に挨拶する。
「久しぶりだな、佳久。中々会えなくてすまん。」
「気にするな。とにかく行こうぜ!」
真樹はここ最近の騒動の解決や、甲子園の遠征なども重なって中々佳久と会う機会が作れなかった。そんな中、この日は久々に時間が取れたので会うことにしたのだった。2人でニュータウンの大型ショッピングモールに入って行った2人は、モール内の映画館で映画を見た後、色々買い物もし、館内のファミレスに入って昼食を取ることにした。2人のメニューが運ばれたタイミングで佳久が真樹に言った。
「正井、お前最近すごいな。春の甲子園、見たぜ!」
「今回は野次られたり、ゴミを大量に投げ込まれなくて助かった。」
「いや、それが異常だから。あんなモラルの欠片も無い糞女共の事なんか放っておけ。」
佳久も前年夏に友人である真樹が女性客から口汚く野次られながら、ゴミを投げ込まれるところをテレビで見て許せないと思っていた。そして、佳久は一番気になっていたことを聞いた。
「そう言えば真樹。なんか、お前の学校大学に身売りされたみたいだな。最初聞いた時はびっくりしたぜ。」
「ああ。来年から制服も変わるし、学校名も大谷津学院から水戸大学付属成田高校になる。」
「しかし、理事長と校長が横領して塾から賄賂貰って裏口入学させようとしてたとはな。そんな糞な学校経営者を成敗するとは、流石だな。」
「俺の事を嫌っている理事長と校長が、俺の事を退学にしてどの学校にも編入できない様に根回ししようとしてたからな。担任と部活の顧問も危うく不当解雇になりそうだったから、知り合いのジャーナリスト経由で弁護士の先生を紹介してもらって、水戸大学に学校ごと買い取ってもらって理事長と校長を追放したんだ。」
「うん。お前の行動力もすごいけど、そんなひどい学校よく今まで通ってたな。とにかく、平和になってよかったな。」
「いや、それがそうでもない。」
真樹は真剣な顔で佳久にそう言った。彼は更に表情を険しくしながら続けた。
「俺の事を前から毛嫌いしている同級生がいるんだが、今回の身売りの件で俺は完全にやつの逆鱗に触れちまったみたいだ。そいつ、女子からモテモテで理事長と校長とも仲良かったからな。家も金持ちだし。」
「お、おい…。真樹、どういうことだよ?」
真樹の言葉に佳久が戸惑う。真樹は真剣な顔のまま佳久に言った。
「学校の環境は変わったが、俺へのアンチの感情はもはや爆発寸前だ。だから、まだ安心せずに返り討ちの準備をする必要がある。」
真樹は自分が安心して学校生活を送れるには、まだ程遠いと感じているのだった。
こんばんわ。
今回はまた話のスケールが大きくなってしまいそうですが、何とか頑張ります。
それではまた次回!




