第301話 救われた学校
こんにちわ。
本エピソードはこれが最後です。
真樹を不当退学にしようとした大谷津学院理事長の上野富恵と校長の日暮里香里は真樹達の反撃によって横領や収賄の事実も暴かれ、学校を完全に追放された。そして、運営元は学校法人大谷津学院から水戸大学へ完全に移管された。新理事長となった友部京四郎が臨時集会でそのことを全校生徒に伝え、学校内では大きな話題になったのだった。
野球部の二年生、丈、千葉、登戸、幕張達は少し驚きの感情を隠せない様子で話しながら教室に戻っていた。
「いやぁ、こんなタイミングで理事長が変わるとはな。」
「でも、湯川先輩を理不尽に退学しようとしてたらしいぜ。」
「それに、学校の金でホスト通いだってよ。」
「マジで無いわ~。新しい理事長と校長いい人だといいな!」
そんなことを話していた4人。因みに、理事長はすぐに友部に選定されたのだが、欠員になっている校長の後任はまだ見つかっておらず、今月中に選定を終える予定である。そんな中、大神と宮下が4人に話しかけてきた。
「いやぁ…すごいことになったわね。来年から私達、大谷津学院じゃなくて水戸大成田の生徒になるってことよね。」
「制服も変わっちゃうのよね…。新しい制服が似合わなかったらどうしよう…?」
すんなり受け入れている大神に対し、宮下はそんなことを心配していた。そんな中、丈が宮下の頭をなでながら言った。
「大丈夫。郁美は何着ても似合うから、そんな心配すんな。」
そう言われて宮下は顔を赤くしながら微笑んだ。大神はやれやれと言った表情で…。
「フフフ…わかりやすい子。」
と言い、千葉、登戸、幕張の3人もにやけながら。
「熱いねぇ。」
「学校名変わっても、愛は不滅か。」
「ま、愛にパワーは最強ってことさ。」
そんな感じで、学校経営が水戸大学に移管されて驚きつつも、すんなり受け入れて和気藹々としている2年生達であった。
一方、職員室では大騒ぎになっている。
「どうしましょう!理事長と校長が捕まるなんて…!」
「水戸大学の付属になったら、我々はどうなるんだ?」
「人員整理だとか言われて、首を切られたらどうしよう…!」
教師たちは動揺を隠せず、人事に関してかなり心配していた。そんな中、立石と関屋に関してはかなり冷静な様子で話していた。
「湯川君、退学も阻止して理事長と校長を追放するとは…。びっくりだけど、私達もお陰で助かりましたね。」
「そうですね。正直あんな理事長たちの下で働きたくないも思いましたが…こうして学校も、野球部も残せてよかったです。」
「心機一転、環境も変わりましたし、私達もいい学校にするために一役買いましょう。」
「勿論です。これからも授業や甲子園出場目指して頑張りたいですね。」
立石と関屋は真樹の大胆な行動によく驚かされているが、今回の件に関しては教員免許剥奪も阻止してくれたこともあって、かなり感謝していた。経営移管に関しては教職員の間では意見が割れているものの、この二人は前を向いて進んでいる。
そして、当事者である真樹はというと。
「もしもし、飯田さん。湯川です。今回は本当にありがとうございました!」
「何の、何の!僕も陳さんの留学の思い出をつぶしたくなかったから、当然のことをしたまでだよ。」
休憩時間中、真樹は飯田と話していた。無論、今回の件のお礼と新理事長が決まって完全に経営移管されたことを報告する為だ。飯田は更に続ける。
「あ、それとね。さっきネットニュースにも載ってたけど、大谷津学院への裏口入学を企んで賄賂を渡していた山下塾は倒産だって。まぁ、山下塾長も逮捕されたし、もう塾経営は無理だろう。」
飯田は山下塾のその後について話してくれた。結局山下は取り調べで容疑をすべて認め、逮捕起訴されたのだった。塾長の計画を知らなかった職員や塾生は大混乱し、世間からは裏口入学させるための塾というイメージが付いてしまった。なので、とても塾経営を続けられる訳もなく、山下塾は倒産することが決まった。ただ、あまりにも突然の事で同情した近隣の予備校が、講師や塾生の中の希望者を採用、編入するなど、罪もない者が路頭に迷うということはなかったようである。
「バカなことをしたもんですね。でも、話しも聞いてくれて岩本さんも紹介してくれて本当にありがとうございます。」
「いいのいいの。岩本も上手くいって喜んでたし。それに、今回の件で学校経営に関する依頼も増えたらしいよ。」
「いや、もう本当に感謝です!じゃあ、もうすぐ授業始まるんで。」
「うん。高校最後の生活、悔いなくね!」
そう言って真樹は礼を言いながら電話を切り、教室に戻る。すると、杜夫が嬉しそうに話しかかてきた。
「真樹、やったな!あの糞みたいな理事長たちを追い出して、退学を阻止するとは見事じゃん!」
更に、伸治と武司も真樹を褒め称えた。
「あのままじゃ、学校がつぶれるかもって言ってたけど、これでもう何も気にせず授業も野球も続けられる。」
「ざまぁ、ねぇぜ!俺たちの真樹をを理不尽に追い出そうとした校長と理事長が、地獄に落ちていくのは爽快だ!」
皆学校経営が移管された事の動揺よりも、真樹が退学にならなくて済んだことを喜んでいた。そして、美緒も前に出てきて言う。
「でも、私達の学費でホストクラブ行くなんて、校長と理事長は何考えていたのかしらねぇ。ホント、考えるだけで腹立つから新しい人に代わってよかったわ!」
上野と日暮里が横領していたことに関して、かなりご立腹だった。慶は笑顔で真樹に話しかける。
「でもよかった。これで真樹は学校に残るし、学校も潰れずに済んだ。これからも楽しく過ごそうね!」
慶も今の状況をすんなりと受け入れ、また真樹と学校で過ごせることを喜んでいた。そして、真樹は表情を変えずに言う。
「俺たちが、大谷津学院として最後の卒業生になる。だが、いつも通り過ごそう。3年は色々忙しくなりそうだが、悔いなく…な!」
こうして、学校経営が変わっても真樹達は今まで通り変わらず学校生活を送ろうと決意したのだった。
こんにちわ。
次回から新エピソードです!
お楽しみに!




