第296話 真樹のクーデター計画
こんにちわ。
最近暑すぎて、夏バテしそうです。
真樹が通う大谷津学院の理事長である上野と、校長の日暮里は、真樹を学校経営の邪魔者と判断し、退学にして追放しようとする意志を強く固めた。更に、担任の立石と真樹が所属する野球部顧問の関屋に対しても、真樹の退学を認めなければ教員免許を剥奪する事を通達し、彼の退学はもはや避けられない状態になった。そんな中、真樹は学校の身売りを計画し、弁護士の岩本が身売り先候補をようやく見つけてくれたのだった。絶体絶命の危機の中、真樹は今日も学校生活を送る。
-PM12:00 職員室-
「失礼します!」
そう元気な声で入ってきたのは真樹だ。真樹は職員室に入ってきた後、真っ先に立石の所に向かった。
「先生、ちょっといいですか?」
「どうしたの、湯川君?」
「お話したいことがあります。関屋先生と共に。」
「えっ?」
真樹のその発言に立石は一瞬戸惑った。それでも、ただ事じゃないことを察し、関屋を呼んできた。
「どうした、湯川。何かあるなら遠慮なく言ってくれ。」
関屋言葉に対し、真樹はこう返した。
「とりあえず、ここじゃ話せないので、場所を移動しましょう。」
真樹はそれだけ言うと、立石と関屋と共に職員室を出た。とにかくついてきて欲しいと言った真樹が来た場所は体育館だった。当然、昼休みなので誰もいない。
「湯川君、どうしたの?こんなところまで連れてきて。」
「もし何かあるなら、簡単に説明してくれ。俺ならいくらでも力になるから。」
そう言った二人に対して真樹は言った。
「学校内じゃ詳しく話せませんが、今晩お二人に時間を作って欲しいのです。無茶なのは分かってます。でも、どうしてもお願いしたいことがあるんです!」
真剣な表情で、深々と頭を下げる真樹。その様子を見た立石と関屋はただごとじゃない事を察し、冷静な表情で答えた。
「分かったわ。お話だけでも聞かせてもらおうかしら。」
「湯川の頼みなら、勿論聞くよ。どうしたんだ?」
真樹はそんな二人を見て、安心した表情で言った。
「ありがとうございます!上にバレるとまずいんで、詳しくは放課後で!」
こうして、真樹は立石と関屋に約束を取り付け、放課後まで待つことになった。
-18:00 成田駅付近の喫茶店-
「ねえ、湯川君。ここにきて、どうすればいいの?」
「俺からしても、想像できないが。いったい何の話なんだ?」
立石と関屋は真樹に連れられて喫茶店に来た。状況が読めていない先生二人に対し、真樹は真顔のまま言った。
「とりあえず、気にしないでください。そろそろだと思いますから…。あ、来ました!」
真樹の言った通り、スーツ姿の男性が現れて、真樹達の席に座った。
「やあ、湯川君。元気そうで何よりだ。この二人が前に言ってた先生方かな?初めまして!私、岩本弁護士事務所の岩本彬と申します。」
岩本はそう言って立石と関屋に名刺を渡した。2人は戸惑いながら名刺を受け取る。
「べ、弁護士の先生ですか?」
「あ、あのぉ~。失礼ですが、一体どのようなご用件で?」
二人の問いに、岩本はすぐさま答える。
「単刀直入に言いますと、このままではここにいる湯川君は間違いなく不当退学になります。そして、担任と部活の顧問である立石先生と関屋先生になんらかの圧力がかけらた可能性もあると湯川君から聞きました。そして、湯川君から大谷津学院の運営を水戸大学に売却してほしいとの要望がありました。なので、教職員であるお二人からも是非了承を得たいという湯川君の頼みがあったもので、今回はこうしてお話に伺ったというわけです。」
岩本の話に、立石と関屋は驚きを隠せなかった。そして、戸惑いながら言った。
「え?学校を身売り…?確かに私と関屋先生は、湯川君の退学を認めなければ教員免許を剥奪すると言われましたが…。」
「理事長と校長の言い分は理不尽極まりませんが…、退職届を出すことも考えていた中、これで湯川の味方になれるなら、むしろありがたいと思います。」
そう言った二人に対して、真樹は無表情のまま伝えた。
「このまま俺が退学になっても、あの理事長と校長のやり方を続けたら、間違いなく学校は潰れます。そうなると、先生たちや何の罪もない生徒たちが路頭に迷います。お願いします。是非とも、大谷津学院の身売りに協力してください。」
真樹が頭を下げながらそう言った。更に、岩本も言葉を続ける。
「理事長と校長がお二人に教育免許剥奪をちらつかせましたが、よほどの理由がない限り学校がそんなことする権限ありませんし、これは立派な脅迫罪に当たります。運営が救いようのない大谷津学院を、経営が安定していて、付属校新設を建設費や用地買収の問題を解決できていない水戸大学が買収することは双方に対してかなりのメリットがあります。お願いします。是非ともこのお話、賛成してくれるとありがたいです。」
真樹と関屋の言葉に、立石と関屋は戸惑いを隠せないでいた。少し考えた末、二人は口を開いた。
「分かりました。湯川君の担任として、そんな理不尽な退学は受け入れられません。学校の身売り、大いに賛成です。」
「僕も同じ意見です。湯川は野球部の大事な主力。こんなふざけた理由で退学にするなんて、学校上層部がどうかしています。是非とも、水戸大学へ身売りしてもらいたい。」
2人とも、学校の身売りには賛成だった。そんな二人を見て、真樹と岩本は微笑みながら礼を言った。
「ありがとうございます。このまま、あの愚か者二人に学校を独裁されるわけにはいきませんからね。本当に助かります。」
「私も本当に助かります。現理事長と校長は簡単に身売りに同意しないでしょうけど、その変化こちらで何とかします。協力、ありがとうございます。」
こうして、新たな見方を得た真樹の学校身売り計画は、一歩前進したのだった。
こんにちわ!
計画が動き始めました。
果たしてうまくいくのか?
次回もお楽しみに!




