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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode17 真樹退学?!
290/333

第290話 最後通告

こんばんわ。

今月最後の投稿です。

 4月になり、大谷津学院は始業式を迎えた。しかし、真樹にとっては新学期早々嫌な思いをしてしまった。学校一のイケメンでモテモテの男子生徒である大和田裕也に絡まれ、取り巻きの女子たちからも例によって罵声を浴びせられる散々な春を迎えてしまったのだ。そして、杜夫が持ってきた週刊誌である週刊BAKUROで大谷津学院の人気が地の底に落ちかけているということを知り、真樹自身も学校の経営が非常に危ないことに気付いた。彼の予想通り、大谷津学院は経営赤字を生み出していたのだが、そんな状況でも始業式は始まるのであった。


-AM8:40 大谷津学院体育館-

『皆さん。おはようございます。本日から新学期が始まります。新入生が入学し、3年生は進路が決まる大事な時期でもあります。そんな皆さんと、今年も無事に春を迎えることが出来て、とても嬉しく思います。』

 マイク越しに、校長がそのような話をしている。その後、校長の話が終わり、理助長の話になった。

『皆さん、おはようございます。今年も無事に新年度を迎えて嬉しく思いますが、昨年度は色々騒動があり、中には我が校の名が傷つきかねない事態もありました。皆さんには、我が校の一員として、模範的で自慢の生徒であって欲しい。私はそう思っておりますし、皆さんもそう自覚をもって行動をしてほしいと思っております。以上。』

 そんな感じで、始業式は終了した。始業式を終えた真樹達全校生徒たちはゾロゾロと体育館から去って行った。


 そして、教室に戻った真樹達。

「みんな、おはよう。初めての人もいるから改めて言いますけど、担任の立石美咲です。よろしくお願いいたします!」

 真樹達の3年A組の担任は立石になった。これで、真樹、慶、杜夫、美緒は3年間立石が担任することになったのであった。因みに、野球部顧問の関屋健一は、3年C組の担任になり、朝真樹に絡んできた裕也は隣の3年B組に所属となった。

「新学期になりまして、皆さんは3年生です。部活や趣味を頑張るのもいいですけど、進路もしっかりと考えてください。以上!」

 そう言って、朝のホームルームは終了した。その後、立石は真樹を呼んだ。

「湯川君。」

「何ですか、先生?」

 いつものように不愛想にそう返した真樹。そんな真樹に対し、立石は複雑な表情で言った。

「申し訳ないんだけど、理事長室に行ってくれないかしら。校長と理事長からの指示で、朝のホームルームが終わり次第、すぐに行くようにって伝言されているのよ。」

「…。何でですか?」

「私も分からないわ。取り敢えず、行ってもらえるかしら。」

「面倒臭いけど、仕方ないですね。分かりました。」

 真樹は面倒臭そうにそう言って、教室を出ようとした。そんな時、慶が心配そうに声を掛ける。

「真樹、大丈夫?理事長と校長からの呼び出しって、ただ事じゃないと思うけど…。」

「だるいけど、行ってくる。心配すんな。」

 そう言った真樹。そんな彼に杜夫と美緒も声を掛けた。

「真樹、本当に大丈夫か?嫌な予感しかしないんだが…。」

「湯川君、何かやらかした?ただ事じゃないと思うんだけど。」

 そんな二人に、真樹は無表情のまま答えた。

「薄々こうなることは分かっていた。とりあえず行ってくる。」

 そう言って、真樹は教室を出て理事長室へ向かった。


-理事長室前-

「失礼します。」

 金色に装飾された分厚いドアをノックして、中に入った真樹。その中に入ると、広々とした空間の中で二人の壮年の女性が厳しい表情で立っていた。一人は理事長関に座っている、大谷津学院理事長、つまり学園のトップである上野(うえの)富恵(とみえ)、その横に立っている女性は理事長の右腕で大谷津学院の校長である日暮里(にっぽり)香里(かおり)であった。理事長室に入った真樹に対し、まずは校長の日暮里が真樹に問う。

「湯川君。私たちが何であなたを呼んだか分かるわよね?」

「いえ、分かりません。」

 校長の日暮里に対し、真樹は薄々気づいていながらも敢えてそう答えた。日暮里は口調を更にきつくして言う。

「この雑誌で我が校の悪口が書かれていますが、これは全部あなたが勝手に暴露したことが原因ですよね?我が校に在籍しながら、我が校の評判を下げる行為をする事…これは完全に営業妨害です。理解できますよね?」

 日暮里は雑誌の週刊BAKUROで大谷津学院が「行きたくない学校ランキング」及び「親が子供を通わせたくない学校ランキング」でワースト1位になっているページを見せた。因みに、大谷津学院は共学化する前の15年前に制服が可愛いからという理由で、一度だけ行きたい学校ランキングの7位にランクインしたことがある。そして、その後に理事長の上野が続いて話し始める。

「あなたが学年の主席でも、学校の方針に楯突くような生徒は正直言って迷惑です。出る杭は打たれるという言葉を知りませんか?保守的で、協調性重視の日本という国で、あなたみたいな自分勝手な人間は迷惑以外の何物でもありません。」

 真樹に対して、理不尽な因縁をつける二人。そんな二人に真樹は更に挑発的に尋ねた。

「何が言いたいんですか?無駄話するくらいなら教室戻りたいんですけど。」

 真樹に挑発され、理事長の上野は更に厳しい口調で言った。

「君が揉み消せる問題を世間に勝手に暴露したせいで悪い評判が広がり、うちは2年連続で定員割れになりました。これは立派な名誉棄損。つまり犯罪行為です。湯川真樹君。これが最後の通告です。無事に卒業したいのであれば、余計なことはせずに大人しく我が校の方針に従ってください。そして、学園内に問題があっても外部に漏らさず、空気を読んで黙ることを覚え下さい。今後余計なことをしなければ、卒業までの貴方の学校生活の保障をすることを約束しましょう。」

 真樹に対して明らかに不平等な要求をしてきた理事長の上野。更に校長の日暮里を続く。

「あなたは確かに学年主席で野球部の主力ですが、愛想が悪すぎて女子生徒からの評判がすこぶる悪いですよね。我が校の方針は文武両道、人を愛し、人から愛される人間を育成する事です。いくら頭が良くても、あなたみたいに可愛げの無い、自分の事しか考えていない生徒は迷惑でしかありません。少しは大和田君を見習いなさい。彼は常日頃、皆から愛されるために女の子たちや我々教職員に対しても愛想よくふるまっています。あなたみたいな生意気な生徒は正直言って目障りなんですよ。」

 理不尽な言葉を投げかける日暮里。しかし。それでも真樹は怯まずに言い返した。

「自分はそんな馬鹿な要求飲むほど愚かじゃありません。自分は自分の正義をモットーに生きてます。校長や理事長の分際に指示される言われはありませんので。」

 真樹は理事長を挑発するようにそう言った。そんな彼に対し、頭に血が上った理事長は机を叩きながら言った。

「黙りなさい!世の中、人から好かれる者、上の指示には素直に従う者が正しいのです!去年自殺未遂起こした留学生も、あなたが女子生徒からクラゲを仕掛けられたのも、空気を読まないはぐれ者としての振る舞いが原因です!世の中は協調性第一、つまりあなたみたいに多数派に反発するものは悪なんですよ!」

 更に校長も、真樹に対して脅し文句を付け加えながら言った。

「これ以上余計な事をするなら、我が校としてはあなたをこのまま放置する訳にはいきません。それ相応の処分があること覚悟しておきなさい。最後にもう一度言います。世の中やった者が勝ち。空気を読み、余計なことをせずに立場が上の者に愛想よくすることが正義なのです。どんな理由があれ、あなたみたいに学校から嫌われる者は今後世間で光を見る見込みがない弱者、がん細胞なのです。はっきり言って生きる値打ちもありません。無事に卒業したければ、何があっても余計なことを一切しないで下さい。歯向かえば、あなたの進学や就職を一切出来なくすることなんて、簡単にできるんですから。」

 そこまで言われても、真樹は表情一つ変えずに冷静に言い返した。

「放っておいて下さい。僕は縛られることが大嫌いなもんで。あなた達みたいな独裁者に頭下げるような人間になりたくないんです。僕の進学や就職を潰す?大いに結構。好きにして下さい。じゃあ、これ以上は時間の無駄なんで教室戻ります。」

 真樹はそれだけ言ってさっさと教室に戻ってしまった。そんな真樹を見て、日暮里と上野は怒りながら言った。

「何て生意気な男なの!全女子生徒から嫌われるのも納得だわ。」

「あの生徒をこれ以上置いておくのは危険ですし、大和田君や他の女子生徒にも悪影響です。退学処分にする方向で進めましょう。」

 こうして、真樹は高校と理事長の権限で退学処分にするという話が進み始めてしまった。


 そして、理事長室から出た真樹はというと…。

「あ~、面倒臭かった。だが、このままいけば俺は退学だろうな。」

 実は真樹も校長と理事長から嫌われていることは知っており、退学や停学など何かしらの処分が下される覚悟はできていた。しかし、この程度で怯む真樹ではなかった。

「しかし、このまま追い出されるわけにはいかない。前から温めていたあの計画を実行するか。」

 真樹はそう言って、大谷津学院そのものに反撃する準備を進めていたのだった。

 

こんばんわ。

次回のお話は5月に入ってからです。

お楽しみに!

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― 新着の感想 ―
私立といえども、義務教育ではないとはいえ学習を受ける権利(憲法26条)があるんだよなあ。 いくらなんでも知らんことはないだろうから軽視してるんだろうが、それって教育者? まあ、殺してでも口封じしたいと…
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