第289話 新学期の騒動
おはようございます。
段々熱くなってきましたね。
大谷津学院は入学者減少により、経営不振に陥っていた。理事長と校長はその原因を、学校内で起こった問題を暴いて成敗している真樹にあるとした。学校側としてはこれ以上真樹を学校に置くと、隠せる問題も隠せなくなると判断し、驚異の対象とした。そのような危機的な状況でも、大谷津学院の新垣はもう始まっている。
朝、始業式に向かうべく真樹と慶が登校すると、運が悪いことに犬猿の仲であるイケメンの大和田裕也に遭遇してしまった。裕也はいつものように真樹に絡んできたが、真樹はそれをスルーした。しかし、それを面白く思わなかった裕也は、立ち去ろうとする真樹の服を掴んで足止めをした。真樹は嫌そうな顔をする。
「何、邪魔なんだけど?」
「うるせぇ!この俺様が話しかけてんのに、無視してんじゃねぇ!」
「うっざ。」
真樹は本気で鬱陶しそうに、そう呟いた。隣にいた慶もかなり迷惑そうにしてる。裕也は真樹に邪険に扱われ、湯系頭に血がのぼっていた。
「この俺様に向かって、うざいだと?誰に向かって口きいてんのか分かってんのか?」
「ただの同級生なのに何馬鹿なこと言ってんだ?」
「うるせえ!俺は見た目も頭も、スポーツも一流で女の子にモテモテ!一方お前は陰気で性格悪くて、女の子に嫌われてる!人間の立場としては、俺の方が完全に上!俺が王様なら、お前は奴隷以下なんだよ!」
「バッカみたい。今時そんなに頭沸いているやつ初めて見たわ。」
真樹は呆れ口調でそう呟いた。そんな二人の揉め合いを、近くを通りかかった他の女子生徒達も見ており、裕也を応援し、真樹をけなし始める。
「裕也君、やっちゃえ!」
「その、極悪湯川をぶっ殺しちゃえ!」
「私たちは何があっても裕也君の味方だよ!」
「死ね、死ね、湯川!」
一方的に裕也が絡んできたにもかかわらず、真樹ばかり悪者にする女子生徒たちに対し、今度は慶がキレた。
「みんな、いい加減にしなよ!真樹は何も悪くないのに、酷いことばかり言って!ここまで倫理観無くて、恥ずかしいと思わないの?」
慶は注意したものの、女子たちの耳には届かない。そして、裕也は次に慶に対して毒を吐いた。
「あー、みんな。こんなオトコ女の言うことなんて、聞く価値ないから。お前も邪魔なんだよ、鬼越!可愛く無い上に、湯川の味方ばっかりして!マジで消えろ!」
「なっ!」
慶も呆れて言葉を失っていた。裕也は尚も真樹に詰め寄る。
「とにかくだ!お前がいるせいで女の子たちが学校楽しめないんだよ!これ以上学校に居座るなら、俺がぶっ殺してやる。警察に言っても無駄だぜ!俺は金も権力もあるから、何人殺しても揉み消して罪に問われないぜ!羨ましいだろ!親無し、貧乏湯川君!」
逆上しながらそう言った裕也。教師の立石もその状況を見て慌てて仲裁に入る。
「ちょっと、大和田君に湯川君!朝から何やってるの?やめなさい!」
何とか二人を引き離し、騒ぎを収めた立石。始業式前にもかかわらず、大谷津学院の朝は非常に殺伐としてしまった。
数分後、廊下に張り出された掲示板を見て自分たちのクラスを確認する真樹と慶。すると、二人とも3年A組だった。掲示板を見て喜ぶ慶。
「やった!また真樹と一緒だね!」
「ああ。3年間同じだったな。」
そう話しながら教室に入る二人。すると、教室内には武司と伸治がいた。
「お、真樹に鬼越!おはよう!」
「俺達も同じクラスになったぜ!よろしくな!」
微笑みながらそう言う二人に真樹と慶も笑みを浮かべた。
「おお、そうだったか。よろしくな!」
「僕もよろしくね!楽しくなりそう。」
そう話しているうちに、杜夫と美緒も登校してきた。
「おお、おはよう!真樹達みんな揃ってんじゃん!」
「結局みんな集まったわね。賑やかになろそうで何よりよ。」
そんな二人に真樹はあいさつした。
「杜夫に菅野も同じだったか。この全員が揃うのって初めてだな。」
真樹の言う通り、今までは伸治と武司が違うクラスだったので、このメンバーが同じクラスに集結するのは初めての事である。そんな話をしていると、杜夫が鞄から何かを取り出しながら言った。
「そう言えば、雑誌でこんな記事が載ってたんだけどな。」
杜夫が取り出したのは『週刊BAKURO』という世間でよく読まれている雑誌だ。そして、あるページを開くと伸治と武司が反応を見せた。
「お、うちの事が載ってんじゃん。」
「通いたくない学校ランキングと、親が子供を通わせたくない学校ランキング…うちが両方でワースト1位か。やば…。」
やはり自分の学校が載っている記事には興味が湧く一同。慶と美緒もその記事を読んで反応を見せた。
「コメント見ると、全部真樹が成敗したことに関して世間が同調しているみたいだね。まあ、実際悪いのは大体大和田君達だし。」
「こう思われるのは当然と言えば当然よね。うちの学校はお気に入りには優しくて、どうでもいい人には冷たいし…。」
真樹の方も記事をまじまじと読みながら言った。
「世間が俺の味方でよかったとは思う。だが、うちの学校は違う意味でもヤバいかもしれんな。」
真樹は大谷津学院の赤字経営をすでに察知していたのだった。
おはようございます。
ライバルキャラなのに、最近裕也の出番が減っているので少し増やそうと思っております。
それではまた次回。




