第273話 多分そいつだ。
こんにちわ。
今月最後の投稿です。
木下への入試妨害騒動から数日が経過。写真部の面々は怪しい人物を見つけ出したものの、まだ犯人と断定できたわけではない。だが、真樹の予想では黒幕は木下に強い恨みを持ち、スパイを雇ってまで妨害したことから第一志望の試験本番でも何かしら邪魔をしてくるだろうと予測。そんな真樹もまだ犯人を見つけられていなかったが、そのことを頭の片隅に置きつつ、この日もいつも通り登校する。
「行ってきます。」
祖父母にそう言って家を出た真樹。駅まで向かい、電車に乗って学校の最寄り駅に到着する。改札を出た所で、いつも通り慶と合流した。
「おはよう、真樹!」
「おう、オニィ。おはよ!」
改札を出て、共に歩いて学校に向かう二人。すると、慶が入試騒動の話題を出した。
「そう言えば真樹、写真部の木下先輩…大丈夫かな?」
「実行犯は捕まえたが、裏に黒幕がいるのは間違いない。だが、それが誰だかさっぱり分からん。」
「杜夫もずっと心配してるしね。入試前にこんな雰囲気になるなんて嫌だよね。」
「それどころじゃない。黒幕が先輩の入試を邪魔する可能性も考えうる。入試前に黒幕を引きずり出すしかない。」
そんなことを話しているうちに、二人は学校に到着。そしてもうしばらくすると、美緒、沙崙、杜夫といつもの面々が出そろった。
「おっす、真樹。昨日の写真ありがとうな。俺も今度撮りに行くわ!」
「ああ。期間限定だから今のうちな。」
真樹は前日駅のイルミネーションの写真を送った。杜夫がそのことに関して礼を言うと、真樹は同時にある話題を出した。
「そう言えば、これ撮影した時に変なことが起きてな。」
真樹はそう言って、杜夫に送ったのとは別の写真を画面に表示した。
「バカ女が花壇に入り込んで自撮りしてて、管理人に注意されてたんだ。そのくせ悪態をつく。地獄送り決定だな。」
真樹が撮った写真の2枚目には、花壇に無断で入り込んだ少女と、それを注意する管理人の男性が映りこんでいた。その様子を見た慶、美緒、沙崙は顔をしかめながら言った。
「何これ?完全に花壇踏んでんじゃん。これはダメでしょ。」
「これだけマナー違反しておいて、悪態つくとか最低ね。どういう教育受けているのかしら?」
「どこの国にもいるのよねぇ。撮影のルール守らない輩は。そう言うのは出禁にしていいんじゃない?」
女性陣がそれぞれの意見を言った所で、杜夫は写真をまじまじと眺めながら真樹に言った。
「ん?ちょっと待て!真樹、その女の子の顔の所ズームしてくれ。あと、明るさも上げてくれ。」
「それはいいが、どうしたんだ?」
真樹は首を傾げつつ、杜夫に言われた通りに写真をズームして明るさを上げた。それを見た杜夫は更に続ける。
「やっぱりだ。こいつ、香取じゃん!」
杜夫の言葉に、慶と美緒が少し驚いた様子で聞く。
「杜夫、知り合いなの?」
「公津君ってこういうタイプと知り合いなのは意外ね。」
二人の言葉に杜夫は首を振りながら言う。
「ちょっと違うっつーか…。東成田の生徒で木下先輩のライバル…?それも違うか。向こうが一方的に先輩をライバル視しているんだ。まぁ、でもコンクールで先輩に勝てたことは一度もないけどな。」
杜夫のその言葉に沙崙も続く。
「とても真面目に写真撮ってるようには見えないわね。それならコンクールで負けても仕方ないわね。」
杜夫は更に香取に関することを話してくれた。
「こいつの写真…。映えばかり重視してるっつーか…たまに派手過ぎてコンセプトから逸脱することがあるんだよな。そのくせ自身だけは一丁前だから、先輩を敵視してるっつーか、正直俺から見ても鬱陶しい。」
杜夫の話を一通り聞き終えた真樹は、真面目な顔で杜夫に聞いた。
「杜夫。こいつが先輩の入試を妨害した黒幕の可能性はあると思うか?」
そう聞かれた杜夫は難しい顔をしながら答えた。
「後輩の小林が疑い始めてるよ。俺も怪しいとは思ってるけど…証拠がないから何とも言えないな…。」
杜夫の言葉に真樹は真面目な顔で答える。
「俺は犯人の最有力候補として考えてるそ。」
「マジかよ?!」
驚く杜夫に対し、真樹は更に続ける。
「確かにまだ証拠はないが、動機としては十分あり得る。昨日の態度を見た限り、まともな性格の持ち主でもなさそうだし、疑う余地は十分にある。」
「でも、どうやって証拠をつかむの?」
慶が真樹にそう疑問を投げかけた。真樹は表情一つ変えずに言った。
「口を割らせるしかないな。実行犯に。」
そう話しているうちにホームルームの時間になり、真樹達の1日がまた始まった。
一方別の所では…。
「あ~、もう腹立つ!昨日のオヤジ、マジうざい!」
ある少女が愚痴を言いながら通学路を歩いていた。そう、昨日佐倉駅前で無断で花壇に侵入し、撮影していたところを注意された少女…香取真奈である。
「本当はあのオヤジの顔を晒して、痴漢に仕立て上げてやろうとも思ったけど、私にはもっと大事なことがあるもんねー。」
彼女が昨日、文句言いつつもすんなり退散したのはこういう理由だった。
「見てなさいよ。木下希美。この私を馬鹿にした罪は重いわよ!」
そう高らかに宣言しながら、学校に向かう彼女。ただ、彼女は真樹に見られていたという大誤算にまだ気づいていなかった。
こんにちわ。
もうすぐ三月ですね!
来月も登校頑張りますんでよろしくお願いします。
それではまた次回!




