第271話 奴はまた来る…?
こんにちわ。
少し投稿の間隔があいてしまいました。
ごめんなさい。
木下が藝大受験のために提出した物と全く同じ写真が、本人よりも先に提出されるという事案が発生したことを受けて、真樹は犯人が学校内にいると推測。木下にわざと教室内で受験の事を大声で話すように指示し、部室を開けたまま犯人を待ち構えた。予想通り、放課後一人の女子生徒が部室に忍び込み、デスクに置いてあったパソコンからデータを盗もうとしたが、真樹が警報プログラムを仕込んだことで作戦は失敗に終わる。加えて、待ち構えていた真樹達にすんなり捕まってしまった。そして、その女子生徒は今、木下と共に事情聴取をしている所である。
「しかし、こんな簡単な罠に引っ掛かるとはな。」
真樹と共に犯人を待ち構えていた杜夫は、得意げな顔でそう言った。犯人の女子生徒を職員室に連行された後、念の為に真樹、杜夫、小林の3人も事情聴取を受けた。その後、直接の被害者である木下と深く話したいとの事で3人は先に帰され、駅に向かっている途中である。
「ですよね。盗もうとする方が悪いんですから。」
小林も同じく得意げな顔でそう言った。しかし、真樹は暗い顔で何か考えている。
「ん?どうしたよ真樹。」
杜夫が不思議そうな様子で真樹に話しかける。真樹は少し間を置いてから話し始めた。
「さっきの女、自分は頼まれてやっただけだったと言った。もしその言葉が本当なら、黒幕が他にいるということになる。」
真樹の言葉を聞いて、杜夫と小林は驚きの表情を見せる。
「マジかよ…!確かにそう言ってたけど。」
「でも、アイツが真犯人じゃないとすれば、いったい誰なんでしょうか?」
二人の問いに真樹は目を伏せながら言った。
「それはまだ分からん。だが、アイツが嘘を言っているようにも見えなかった。」
「えっ…。じゃあ…。」
「もしそれが本当なら…。」
杜夫と小林の言葉に対し、真樹は真剣な顔で言った。
「ああ。先輩の入試本番が危ない。」
翌日。写真部の盗難未遂事件は学校中に知れ渡ることになった。犯人は木下と同じ3年生の女子生徒だが、普段木下との絡みは無かった。その女子生徒は盗んだことは認めたものの、頼まれてやっただけという意見を貫き通していた。だが、誰に頼まれたかに関しては最後まで口を割ることはなく、結局停学処分が言い渡された。そんな話題で持ちきりになりながらも授業は通常通り続けられ、いつもと同じような放課後を迎えた。そして、部の練習がない慶と美緒が下校していた。
「そう言えば、写真部に忍び込んだ犯人、自分は頼まれたって言ってたね。」
「だとしても窃盗は最低よ。ましてや他人の入試を邪魔するなって。」
2人は朝に今回の窃盗事件に関して、真樹と杜夫から話を聞いていた。しかし、やっぱり疑問が残る。
「真樹は黒幕が他にいるのは間違いないって言ってたけど、誰が何のためにこんなことしたんだろう?」
「確かに変よね。木下先輩が誰かに恨まれるようなタイプにも見えないし。」
真面目な性格の木下は、他の学年からも悪い評判は一切聞かない。真樹もまだ黒幕の正体を掴んでいないが、慶と美緒も木下がなぜ被害に遭ったのか見当がつかなかった。
「僕みたいに、知らない間に誰かから恨まれてたとかかな…?」
「本当に嫌よね。気づかない内に逆恨みされるなんて…。」
慶も美緒も逆恨みされて散々な目に遭った経験があるので、木下に関してもそうなんじゃないかと推測した(Episode9及び15を参照)。そんなことを話しながら、二人は駅に到着してそれぞれの家に帰宅していった。
一方野球部では通常通り練習が行われていた。21世紀枠で春の選抜に行けると決まってから、真樹達は練習に身が入っている。フリー打撃の練習時、自分の番を待っている真樹に沙崙が話しかけてきた。
「またお手柄ね、真樹。杜夫と協力して泥棒捕まえるなんて。」
「ああ。だが、実行犯は捕まえたものの裏の黒幕が誰かまだ分からん。」
真樹はそう返した。沙崙も不思議そうな表情で言う。
「そんな頼みを聞く実行犯もそうだけど、何で犯人は直接手を掛けなかったのかしら?」
「可能性があるとしたら、外部犯だな。」
真樹はそう推測した。すると、自分のフリー打撃を終えて千葉と交代した武司が戻ってきた。
「お~い、どうしたよ2人とも。暗い表情して。」
「ああ。写真部の空き巣の黒幕が誰か考えてただけだ。」
真樹の言葉に武司も首を傾げる。
「マジで何なんだろうな、あれ。データ盗んで入試邪魔するって。そこまでする意味って何なんだろうな?」
やはり武司も今回の事件に不可解な感覚を抱いていた。沙崙が続けて言う。
「真樹の言う通り、外部に犯人がいるとしたらいったい誰?動機は?」
「犯人は特定できていないが、考えられる理由としては先輩の写真王の腕に嫉妬しているとかだろうな。」
そう話していたものの、結局3人とも黒幕を特定できないままだった。そんな時。
「お~い、真樹!お前の番だぞー!」
マウンドから伸治が呼んでいる。真樹のフリー打撃の順番だ。
「おっと。悪い悪い。今行く。」
真樹はバットを持ってバッターボックスに立つ。
「行くぞー、真樹!」
「かかってこい。」
伸治が投げる球を黙々と打ち返していく真樹。この日は黒幕を特定できなかったが、選抜が近い彼は、一度気持ちを切り替えて練習に集中している。
こんにちわ。
黒幕はいったい誰なのか、真樹はどうやって犯人を突き止めるのか?
次回もお楽しみに!




