第261話 見つけたぞ!
おはようございます。
最近すごく寒いので、体調気を付けていきたいです!
真樹達は莉緒の動画のコメント欄をヒントに、美緒が横浜市内に監禁されていることを突き止めることが出来た。しかし、正確な場所を絞り込むまでには至らず、助けに行こうにも行くことが出来ない。そういう訳なので、莉緒にコンタクトを取り、詳しい話を聞くことにした。視聴者である伸治に莉緒のSNSへダイレクトメッセージを送ってもらい、莉緒からはすぐに了解の返事が来たので、直接会うことになった。前回莉緒は美緒を探しに成田まで来たので、今回は真樹達が美緒の地元、船橋へ行く事になった。電車を乗り継ぎ、真樹達が西船橋駅に到着すると、莉緒は改札の前にいた。
「あ、皆さんこっちです!」
莉緒は手を振って真樹達を招く。慶と沙崙は優しく莉緒に声を掛けた。
「ごめんね。時間作ってもらって。」
「でも、どうしても聞きたいことがあって。」
伸治も続いて声を掛けた。
「メッセージ送ったのは俺。読んでくれてありがとうな。」
3人の言葉に莉緒は頭を下げながら言った。
「いいんです。皆さんなら信頼できると思ったので、私が知っている限り全部お話しします。」
莉緒はそう言うと、全員を駅近くのファストフード店へ案内した。とりあえず全員好きな物を頼み、席に着くと、真樹が先に口を開いた。
「菅野の妹よ。犯人は菅野の顔見知りの可能性が高い。ニュースでも犯人一味の顔が公開されたが、あの顔に見覚えがあるか?」
警察は今回の事を大至急解決すべき重大事件と判断し、有力な情報を集めるため美緒の顔と防犯カメラに写っていた愛理達の映像を公開していた。真樹がそのことを聞くと、莉緒は頷きながら答えた。
「はい。4人のうち3人は知りませんが1人だけははっきり覚えています。あの子は子安愛理。姉の小学校の同級生で、姉とも時々遊んでいました。」
そのことを聞き、一同は少し驚いた様子だった。そして、杜夫が続けて質問する。
「犯人の事と奴らが多分横浜にいるってことは分かったけどよ…いったいどこにいるんだ?犯人や菅野が行きそうな場所にどこか心当たりとか無いか?」
杜夫の質問に莉緒は少し考えた。そして、何かを思い出したかのように答えた。
「あ、そういえば。この間転校前の友達に聞いたんですけど、私達の小学校去年隣町の学校に吸収合併されたんです。で、元の校舎は解体されずに放置されて残っているって聞きました。もし、隠れ家にするのなら、あそこが一番可能性高いかもです。コメントにもあの辺りで見たって声ありましたし。」
莉緒の言葉を聞いて一同に一気に緊張が走った。そして、今度は武司が心配そうに話す。
「ま、まぁ…犯人像と場所は分かったとして、どうやって助けに行くんだよ。犯人に気付かれたら終わりだぜ。」
武司の言うことはごもっともだった。仮に突入前に愛理達に察知されて逃げられでもしたら、また振出しに戻ってしまうからだ。真樹も難しい表情で答えた。
「確かにその通りだ。だが、おそらくもう時間は残されていない。とにかくその場所に行くしかないだろ。今言えるのは、力ずくでも菅野を取り戻すしかないということだ。」
真樹がそう言うと、莉緒が立ち上がって言った。
「分かりました。それなら、当日私が立ち会います!っと言うより、私に案内させてください!あの辺ならまだ土地勘残ってます!」
その言葉に一同は頷いた。具体的な作戦は纏まらなかったが、場所も絞り込め、犯人像が分かった所でこの日は解散した。莉緒は西船橋駅で真樹達を見送り、真樹達は電車に乗って帰宅するのだった。電車に乗った所で、慶が真樹に尋ねる。
「真樹。美緒を助けるにしても、そのまま突っ込むのは危なくない?っと言っても、僕も具体的にどうすればいいのか思いつかないんだけど…。」
慶が悔しそうな表情でそう言うと、杜夫と沙崙も続いた。
「鬼越の言う通りだぜ。下手すりゃお前が殺されちまうぜ。」
「そうよ。確かに犯人は私たちと同い年だけど、盗難車を無免許運転するような奴らよ。何をしてくるか分からないわ。」
3人に聞かれて、真樹は少し悩みながら答えた。
「確かにその通り。俺もまだ具体的な作戦はないが、勝機はある。所詮グレた女の寄せ集めだ。ハッキリ言って頭は悪いだろう。数にはこっちの方が分があるしな。」
真樹の言葉に伸治と武司が焦り始めた。
「い、いや…数に分があるとはいえ、相手は不良グループだぜ!やっぱこえーよ!」
「確かに。ヤバい武器とか持ってたらって思うと、足がすくむわ。」
そう言う二人に対し、真樹は真顔で答える。
「だが、このまま放置する訳にもいかん。菅野を救出して、バカ女共を牢屋に入れることが先決だ。」
結局、電車の中で具体的な作戦をまとめることはできず、真樹達はそれぞれの自宅に帰って行った。
「ただいま。」
真樹は自宅に着くと、部屋に鞄を置いた。そして、祖父母である正三と多恵と夕飯を食べ、入浴後にテレビをつける。
「しかし、一体どうすれば…?」
真樹もいい作戦が思いつかず悩んでいた。そんな時、前の番組が終わり、次の番組が始まった。
「変身!ホッパーフェイス、参上!」
それは特撮番組の再放送だった。ホッパーフェイスとは名前の通り、バッタの能力を持った変身ヒーローであり、子供だけでなく大人からも人気がある。真樹はホッパーフェイスを見ながら言った。
「お前はいいよな。悪党を見つけたらすぐに飛んで助けに行けるもんな。」
真樹の言う通り、ホッパーフェイスは悪の軍団に捕まった人質を助け、下っ端をあっという間に倒し、怪人と対峙する。
「これ以上の悪事は許さん!」
「フハハハ…ホッパーフェイス、お前を倒してやる!」
怪人は攻撃したが、ホッパーフェイスは軽々と回避し、飛び上がる。
「何?」
「これで終わりだ!ホッパーキック!」
強烈な蹴りをお見舞いし、ホッパーフェイスはあっという間に怪人を倒してしまった。番組を見終えた真樹は少し感心しながら言った。
「俺もこんな風にバカ女どもを瞬殺出来たらな…ん?そうか!」
真樹は何かを思いついた様だった。すぐに携帯電話を取り出し、グループラインに思いついたことをメッセージにして送ったのだった。
そして、ここは旧東神奈川小学校の校舎内。美緒は今、完全に焦っていた。
「やだ、やめてよ!」
「ごめん、無理~!よーし、もういいわよ!」
拒む美緒をあざ笑うかのように挑発する愛理。愛理は縛られた美緒の足を木箱に入れると、取り巻きがその中にセメントを流し込んだ。
「なっ…。」
「美緒ちゃんの足は長くて綺麗だから、セメントのブーツがよく似合うと思うわ!」
愛理はそう言って美緒を茶化した。美緒は逃げ出そうにも、足を固く縛られて動かせない上、ここ数日監禁された影響で体力もすっかり衰弱してしまった。それでも美緒は反論する。
「今すぐセメントを流すのをやめて!」
「だから無理って言ってるでしょ?セメント固まったら、美緒ちゃんは泳ぎに行ってもらうわ!水泳得意だったもんね。潜水記録の自己ベストを更新した暁には、地獄に行ってもらうよ!」
もう何を言っても愛理には通じない。そんな状況になり、美緒は泣きそうな表情で呟く。
「何で…何でこうなるのよ…。もう私、死ぬしかないの?そんなの嫌。」
死へのカウントダウンが刻一刻と迫る中、美緒は目の前の状況に絶望するしかなかった。
おはようございます。
何とか今回のエピソードを年内に終わらせるため、結構急ピッチで書きたいと思います。
次回もお楽しみに!




