第259話 探しに行こう!
こんばんわ。
12月最初の投稿です!
幼馴染で非行少女グループのリーダー、子安愛理によって美緒が誘拐され、彼女は今行方不明となっている。そんな姉を探そうと、中学生インフルエンサーで美緒の妹である莉緒は、一刻も姉を探すべく視聴者に情報提供を求める動画を投稿した。投稿された動画は大きな反響を呼び、『大丈夫?』『お姉さんが見つかりおますように』等の励ましのコメントが多数寄せられた。そして、励ましのコメントだけでなく、『そういえば家の近くで似たような車を見た』『ニュースで見たけど、うちの地元で似たようなグループが悪さしている』等の手がかりになりそうなコメントも寄せられている。行き詰っている美緒の捜索状況が、また一歩前進したのだった。
翌朝、大谷津学院の教室にて。
「おい、真樹。見たかよ⁉リオリオが動画で菅野の情報提供してたぞ。」
杜夫が真樹を見るなり、莉緒の動画の話題を持ち出した。真樹は頷きながら答える。
「ああ。菅野の妹も犯人グループに報復されるリスクがあるが、コメント見る限り情報はかなり集まっているな。」
隣にいた慶も心配そうな表情で話す。
「僕も動画見たよ。え~っと…『あのグループに以前恐喝された。』『このグループ、横浜から川崎、蒲田付近で見たことある』『昨日両国駅の近くで似たような車が走ってた。』これは結構手掛かりになるんじゃない?」
慶の言う通り、愛理達のグループの目撃情報は多かった。沙崙も真剣な表情で話す。
「最近東京で頻発してる、連続恐喝、暴行事件もコメント見る限り美緒を誘拐したグループと同一犯っぽい感じね。一体このグループ、何考えてるのかしら?」
沙崙がそう話し終えると、教室に伸治と武司が入ってきた。
「真樹!リオリオの動画見たか?!あの子、動画を使って菅野を探すつもりだぞ!」
「しかも、思ったより情報集まっている。でも、肝心の場所がなぁ~。」
驚きの表情の伸治に対し、場所の特定が出来ずに残念そうな武司。そんな二人に真樹は真顔で答えた。
「大丈夫だ。大まかな場所はイメージできた。」
「えっ?!」
真樹の言葉に杜夫が一瞬驚いた表情でそう言った。そして、慶も真樹に尋ねる。
「真樹、大体の場所が分かったってどういうこと?確かにコメント欄に情報は集まってるけど…。」
慶の問いに対し、真樹は冷静な様子で続けた。
「そうだ。コメントを見る限り、学校前で攫われた菅野、そして攫ったグループの目撃場所が直近の目撃情報だと高砂や両国等都内に集中している。つまり、西に向かっているってことだ。そして、グループの起こす事件は大体神奈川県内や東京の県境周辺…。奴らは神奈川を拠点にしている可能性が極めて高い。」
真樹の推察を真面目な表情で聞く一同。すると、沙崙が何かを思い出したかのように言った。
「あ、そういえば!前に美緒と話した時、小学校まで横浜に住んでいたって言ってたわ。それと何か関係あるのかな?」
その話に関しても、真樹は表情を変えることなく続ける。
「今まで誘拐しなかったグループが急に菅野を誘拐したことを考えると、奴らは無差別に誘拐したわけではなく、最初から菅野を狙っていたとみていいだろう。犯人の素性までは分からないが、おそらく菅野が神奈川に住んでいた時の顔見知りだろうな。攫った理由までは分からないが。」
真樹の話を聞き終えた一同は一瞬何か考えるように沈黙した。そして、杜夫が真樹の方を向き直って言った。
「で、でもよ…。そこまでわかった所で俺達には何も…。」
少し悔しそうな表情で言う杜夫に対し、真樹は真顔で返す。
「ああ、今はな。だが、奴らの素性や菅野の隠し場所が分かるのも時間の問題だ。分かり次第、カチ込みに行く。」
真樹の言葉に一同は一瞬驚いた。そして、武司と伸治が慌てた様子で真樹に言う。
「お、おい。真樹マジかよ!やめといた方がいいって!」
「そうだぜ。どんな武器持ってるかわかんないのに突撃すんのはさすがに危ねぇよ。」
2人に止められたが、真樹の考えは変わらない様だ。
「話聞きく限り、あのグループの知能レベルは低い。そんな奴らに俺が負けるわけないだろ。それに、バカ女共に直接手を下す絶好のチャンスだからな。」
そんな真樹にやれやれと思いつつも、美緒を助けようという意思も垣間見られて、少し安心した一同であった。
一方で美緒はというと、まだ車のトランクの中にいた。
(いつまで閉じ込める気よ?大体どこに連れていくつもり?)
口がふさがれて喋れないので、心の中でそう言う美緒。誘拐されてから飲まず食わずで過ごしており、体力的にも精神的にも限界が近づいていた。
(も、もうキツい…。隙を見て逃げたいけど、こんな状態でいったいどうすれば…?)
長時間身動きが取れない状態で監禁され、今は真っ暗なトランクに詰められている美緒の心は、とてつもない恐怖で一杯だった。不安に駆られながら車に揺られていたが、突然車が停まった。
(止まった?目的の場所って所に着いたのかしら?)
そう思っていると、車のトランクが開いた。そして、愛理が顔をのぞかせながら言う。
「お待たせ。終点ですよ~!みんな、さっさと下ろして!」
愛理は仲間たちにそう指示し、美緒はトランクから引きずり出される。そして、そこでは更なる恐怖が美緒を待ち受けていたのだった。
こんばんわ。
今月はあまり投稿できないかもです。
申し訳ありません。
何とか年内に当エピソードを完結できるように頑張ります。
それではまた次回。




