第257話 追跡せよ
こんにちわ。
急に寒くなってきましたね。
美緒が行方をくらました翌日、学校では大騒ぎになり、警察も来るほどの事案になった。一向に行方が分からない美緒の身を案じつつ、真樹達は下校しようとした。その時、美緒が鞄に付けているキーホルダーが道路沿いの植木に落ちているのを発見し、更にそこに現れた美緒の実妹の莉緒に確認して美緒本人のものと判明。真樹は警察を呼び、更に詳しく捜査してもらおうと思ったのだった。
-16:45 校門前にて-
「通報してくれてありがとう。これは大事な手がかりになる。」
「いえ。何かあると思ったので。」
礼を言った警察に真顔でそう言った真樹。通報後に警察の捜査チームが訪れ、キーホルダーが落ちていた場所を中心に色々調べられた。その後も…。
「警部、近所の住人から、昨日18:00前位に、横浜ナンバーの白い車が1台このあたりに停まっていたのを覚えていました。このあたりではあまり見かけない番号なので頭に残っていたそうです。」
「よし、すぐに車の情報を調べろ!」
さらにその後も…。
「警部!この先のコンビニの監視カメラに、目撃者と証言が一致する横浜ナンバーの車が立ち寄ったことが確認されました。中から若い女が3人出てきたのが分かりますが、被害者は映っていませんでした。」
「もしかしたら、閉じ込められている可能性もある。引き続き頼む…。」
そして、最も重要な証言が…。
「警部。昨日向かいの道路を歩いていたという人物が、3人組の若い女が何かを担いで車に押し込もうとしているのを見たと言っております。その時、人の足の様なものが見えたと言ってます。」
「そうか。よくやった。車のナンバーと共にその3人組の素性も捜査だ!」
監視カメラの映像や近隣住人の目撃証言もあり、捜査はかなり進んだのだった。そして、刑事はリオの前に来ていった。
「妹さん。お姉さんは恐らく何者かに誘拐された可能性が高い。」
「そ、そんな…。いったい誰なんですか?」
「まだわからない。これから誘拐犯の事も調べる。お姉さんは必ず見つけるから、警察を信じて欲しい。」
「わ、分かりました。」
真樹の予想通りの結果になってしまい、困惑している莉緒。その後、警察もある程度の手がかりが集まった所で撤収していった。その時、慶と杜夫が言った。
「真樹の推測通りになっちゃったね。」
「でもまさかなぁ…。にしても誘拐犯ってマジで誰なんだ?」
二人の言う通り、誰も美緒が誘拐される心当たりがない。そこで真樹も口を開く。
「だが、刑事さんの話じゃ若い女が3人いるらしいな。うん、痛めつけ甲斐がありそうだ。」
ここでいつもの女嫌いが発動した真樹を、伸治と武司が制止する。
「おい、真樹。今度ばかりはさすがにお前でも厳しいだろ。」
「そうだぜ。相手は車持ってる上にグループなんだぜ。下手すりゃ轢き殺されちまうぞ。」
二人の言うことはもっともである。真樹は少し難しい顔をしながら続けた。
「だが、まだ証拠が足りん。どこに連れ去られたのかもわからん。」
真樹の言う通り、助けに行こうにも居場所が分からない。そんな真樹に沙崙が言った。
「こればっかりは、刑事さんにお願いするしかなさそうね。でも、美緒が無事でいてくれますように!」
沙崙は祈りながらそう言った。そんな一同に莉緒が言う。
「あ、あの…。皆さん、姉の為に色々ありがとうございました!私も探すのをあきらめません!それでは失礼します!」
そう言って莉緒は駆け足で帰って行った。いなくなった家族の無事を信じて。
「リオリオ、いい子だったな。」
「ああ、動画の時よりもしっかりしている。」
視聴者の杜夫と伸治はそう言い残した。慶は再び真樹に問う。
「でも真樹、これからどうしよう。連れ去られたってわかった以上、早くしないと…。」
「ああ、分かってる。車の場所と連れ去った女共の事が分からないとな…。」
そう言って真樹は他の面々と一緒にその場を後にして帰宅したのだった。
一方こちらは美緒と愛理達。
(痛い、痛い!無免許で運転するからこうなるのよ!)
縛られた状態でトランクに押し込められ、愛理田氏の乱暴な運転のせいで壁にあちこちぶつかりながら、口まで塞がれた美緒は心の中でそう言った。
(大体お楽しみって何よ。私をどこに連れてって、どうするつもりなのよ!)
これからどうなるかなど、今の美緒には想像もつかなかった。そして、愛理は車を運転しながらメンバーと談笑していた。
「ハッハッハー!ついに来たよ、この時が!もうすぐお楽しみターイム!」
ご機嫌な様子でそう言った愛理。そんな時、取り巻き達が聞いた。
「愛理、そういえばお楽しみってどこで何すんの?」
「まだ私達、知らないんだけど!」
「聞きたい、聞きたーい!」
そう言う取り巻き達を、愛理は微笑みながら制した。
「まぁまぁ。それはまだヒ・ミ・ツ!ついてからのお楽しみよー!」
「「「ええぇ~!」」」
落胆する3人をよそに、美緒をトランクに詰めた愛理は、そのままどこかに車を走らせたのだった。
こんにちわ。
さあ、美緒はどこに連れていかれるのか?
真樹達は美緒を見つけることが出来るのか?
次回をお楽しみに!




