第253話 いなくなっちゃった?!
こんにちわ。
今月最後の投稿です。
美緒が卒業アルバムを読みながら、かつてを懐かしんでいた次の日の朝。彼女はいつも通りに起床し、今に降りてくる。
「おはよう。お父さん、お母さん。」
「美緒。おはよう。」
「ご飯できてるわよ。」
「はぁい。」
父と母にそう言って美緒は食卓につく。莉緒はまだ居間におらず、部屋で寝ている最中だ。現在電車通学の美緒と違い、近所の中学に通っているので早起きする必要はないが、それでもいつもギリギリまで寝ている。
「じゃあ、行ってきまーす。」
「行ってらっしゃい。」
「おう、気を付けて。麻子、俺もあと10分くらいで行くわ。」
両親に見送られ、美緒は家を出た。大体いつも美緒が最初に家を出て、その後父の祐太郎、母の麻子の順で、最後に家を出るのは次女の莉緒である。美緒はいつも通り電車を乗り継いで学校に向かい、教室に入った。
「おはよう。」
美緒は教室に入って先に来ていた真樹、慶、杜夫、沙崙に挨拶をした。
「おう。菅野か。おはよう。」
「美緒、おはよう!」
「おはよ…眠い…。昨日リオリオの動画見すぎた。」
「おはよう、美緒。」
何ら変わりのないいつも通りの風景。美緒は4人に聞いた。
「そういえばみんな、進路希望の中間報告書出した?」
その答えに真樹達は顔を見合わせて答えた。
「俺は最終日に出す。どんな大学も俺なら受かるから。」
「あ、忘れてた!僕まだ全然決まってない!」
「俺は…俺の学力で入れる大学あるか分からないからまだ…。」
「私は3月で台湾帰るけど、とりあえず向こうの大学進学って出すわ。」
それぞれの答えに美緒は溜息交じりに呟く。
「もう…締め切り来週の月曜だから早く出しなさいよ。」
そう言った美緒は渡された次の日にはもう書いて提出している。委員長としての美緒はこの日も平常運転だった。
そして放課後。
「はい次!レシーブ練習行くわよ!」
「はい!」
美緒はバレー部の練習に参加しており、今は1年生達の指導をしている。山梨で行われる大会の日にちがどんどん近づいているので、美緒を含む部員たちは一層練習に力を入れていた。
「まだまだよ!今度の大会に出てくる相手は、こんなもんじゃないわ!」
「はい、すみません!」
美緒も自分の練習をしつつ、後輩の指導もしっかりと行っている。次々と練習メニューをこなし、練習終了の19:00になると皆すっかり疲れ切っていた。
「みんな。お疲れ!もうすぐ山梨で大会です!練習に力を入れるのはいいですが、くれぐれもやりすぎて怪我や病気をしない様に!以上!」
顧問がそう言ってこの日の練習は終了。美緒たちバレー部員は着換えてぞろぞろと帰って行った。美緒も学校を出て成田駅に向かおうとしていたのだが、彼女が歩いている少し前の道路に1台の車が停まった。その時は彼女はまったく気にしていなかったのだが、車から降りてきた3人は突如美緒の前に立つ。
「菅野美緒だな?」
「そうだけど、あんた達誰?」
美緒は意味が分からないといった表情で、いぶかしげに3人を見ていたが、そのうちの一人が突然美緒の背後に回った。
「…っ!!!」
それとほぼ同時に美緒の頭に衝撃が走る。背後に回った一人が、木刀で美緒の後頭部を殴りつけたのだった。うめき声すら上げられない美緒はその場に蹲る。
「よーし、連れてけ!」
殴られて昏倒している美緒に対し、3人は手足を縛って車に押し込んだ。
「よくやった。見つかる前にさっさと逃げるぞ!」
車を運転していたのは、昨日女性に暴行して現金を強奪していたグループのリーダー格、愛理と呼ばれていた少女だった。愛理は気絶している美緒と仲間たちを乗せると、車を発進させてその場を立ち去ったのだった。
-21:30 菅野美緒の自宅-
「ただいまー。」
「あら、あなた。お帰り!」
その頃、菅野美緒の父、祐太郎が帰宅し、母の麻子が迎えていた。今にはすでに夕食を食べ終えた莉緒もいる。
「美緒は?」
「それが、まだ帰ってきてなくて。」
菅野夫妻は美緒が帰ってこないことを心配そうにしている。そんな時、莉緒が口を開いた。
「ねぇ、いくらなんでもおかしくない?この時間に帰らないばかりか、ケータイもつながらないし。お姉ちゃんに何かあったのかもしれないよ。」
莉緒の言葉に菅野夫妻の表情は更に青ざめる。そして、妹の莉緒の予想は後に最悪な形で的中することを、一家はまだ知る由もなかった。
こんにちわ。
今回は物語を早めに動かしてみました。
次回は11月の最初位に投稿できたらなと思っております。
よろしくお願いします。




