第251話 気になること
こんにちわ。
最近寝不足気味です。
真樹が登校した朝、スクーターに乗った大和田裕也と一悶着あったものの、それ以外は特に何の変哲もなく時間が過ぎ、午前中の授業が終わった。そんな昼休み、真樹は慶、杜夫、美緒、沙崙のA組に加えて、B組の伸治、武司たちと共に昼食をとっていた。そんな時、ふと伸治がスマホを取り出して話し始めた。
「あ、そういえばさ。最近よく見る動画があってな。」
伸治は動画チャンネルを開き、ある動画を再生する。それを見て慶が首を傾げながら言った。
「ん、何これ?」
そこには中学生くらいの少女が辛さ100倍の激辛ラーメンを大汗かきながら食べている動画だった。因みに動画タイトルは「現役JCが超激辛ラーメン食べます!」というものだった。伸治が質問に答える。
「リオリオチャンネルって言う配信者。うちの妹の優奈が最近ハマってて、俺も試しに見てみたら意外と面白くってさ。」
それを見た美緒は一瞬むせそうになったのを必死にこらえ、水筒のお茶を一気に飲み干した。何せ、自分の妹の動画をまさか同級生が見ているとは想定していなかったからだ。そして、それを見た真樹が冷めた表情で言った。
「ああ、これか。」
「知ってるの真樹?あんまりこういうの興味ないイメージだけど。」
慶の問いかけに真樹はぶっきらぼうに答える。
「朝、電車の中でこの配信者がアップした別の動画見ている他校生二人組がいてな。なんでこんなのにハマるのか訳わかんねぇって思ったんだ。」
真樹は女嫌いの為、基本的にテレビや映画で人気の女性芸能人の事はほとんど知らない。ましてや、動画配信サイトで活躍している美女インフルエンサー等の知識もゼロである。そんな真樹に、杜夫が反論した。
「何を言ってるんだ真樹!カメラ回して、高評価貰えるものを撮影するのがどれくらい大変か分かってんのか?偉いじゃないか!可愛いし、こんな大変なことにも挑戦して!よし、俺もフォローするぞ!」
「杜夫。お前は静止画のが得意だから、別に関係なくね?」
熱くなる杜夫に真樹は少し諭したが、杜夫は止まらない。
「いや!映える物を撮るために、動画も写真も関係ない。SNSもフォローして、この子から華やかな撮り方を学ぼう。写真の腕を上げる参考になるかもしれん。」
ベクトルは少し違うと思うが、杜夫はリオリオを気に入ったようだった。そんな時、沙崙と武司が動画を見てあることに気付いた。
「にしても、ずいぶん無茶するわね。この子。あと、何か美緒に似てるわね。」
「確かに菅野にそっくりだ。替え玉にもなれるレベルじゃん!」
2人の言葉に美緒は一瞬びくついた。皆、リオリオの顔が美緒にそっくりなのは気になっていたが、実の姉妹だとは気づいていない様だった。美緒は少し汗をかきながら言う。
「ま、まぁ…。世の中には顔が似ている人は3人いるって言われてるし。たまたまなんじゃない。」
そう言って美緒はリオリオの正体が自分の妹の菅野莉緒であることを、ここでは誤魔化した。
(別に、隠したいわけじゃないけど…。大勢の前で言うのもあれだし…。ここでは黙っておいた方がいいわね。)
そう心の中で呟いた美緒。そんな彼女を、リオリオに似ていると言った沙崙と武司は不思議そうに見ながら言った。
「変な美緒。それにしてもこの子、激辛ラーメンで悲鳴上げるなんて情けないわね。おいしそうだし、帰りに同じの見つけたら買ってこ!」
「まぁ、確かに。菅野はキリっとした美人系だけど、この子はよく見たら可愛い系だな。でも、二人並んでるとこ見てみたいかも。」
そんなことを話しながら、この日の昼休みが終わった。
放課後。
「じゃあ、私はこっちだから。」
そう言って美緒は違う方向に帰宅する真樹達男性陣や、徒歩通学の沙崙に挨拶し、一人電車に乗って家を目指した。因みにこの日は慶が陸上部の練習のため、まだ学校に残っている。車内はそれほど混んでおらず、美緒も空いてる席を見つけてそこに座った。電車が発車した時、美緒の耳に対面に座る他校の女子高生の会話が聞こえてきた。
「もうすぐ入試じゃん、やだ~。」
「私も…。心配になってきた。」
「早く大学入って遊びたい!」
「ホントよねぇ。」
どうやら彼女たちは美緒の1学年上の高校3年生で、大学入試を控えている様だった。
「絶対一緒に受かろ!約束だからね!」
「勿論よ!幼稚園から一緒だったけど、せっかく志望校も同じだし、二人で合格するわよ。」
どうやら二人の高校生は幼馴染の様だった。そんな会話を聞いていた美緒は、他人に聞こえないくらい小さな声で一言呟いた。
「幼馴染…ね。」
そう呟いた後、何故か幼少期の事を思い出していた。
「美緒ちゃん、遊んで~!」
「いいわよ!何する?」
美緒は幼稚園の頃から、体を動かすのが好きな活発な女の子だった。そんな彼女は幼稚園で仲良しの女の子がいて、よく遊んでいたのを思い出した。家も近かったので、幼稚園以外の時間もよく互いの家を行き来していたものだった。そんな時代が美緒にもあったのだ。
「そういえば、あの子。今頃どうしているかしら?」
昔の事を思い出しながら、美緒はふとそう言った。当時は仲よく遊んでいたが、今は連絡するすべもなく、どこで何しているかもわからない。そんなことを気にしながら、美緒は家路につくのだった。
こんにちわ。
最近、どうすれば面白い話が書けるかお悩み中です。
最後まで面白くできるように努力します。
それではまた次回。




